第84話 ジャンヌ VS 轟魔のキロス
アルヴィア姫率いる国王軍と勇者達は衝撃音と
立ち上がる煙に向かい進行していた。
「あちらの方向にまた煙が上がっています」
兵士が指差す方向を見たアインは兵士達を止めた。
「全員戦闘態勢、敵が来るぞ!」
アインの命令で兵士達は剣を抜いた。
前方から煙をたてオーク軍が押し寄せてきた。
国王軍とオーク軍は乱戦となった。
飛び交う怒号、飛び散る血飛沫、その中でアルヴィア姫は
冷静に状況を見ていた。姫という立場では本来おかしい
事だが、アルヴィアは多くの戦場におもむき、指揮を
取った経験を数多く持っていた。
「アイン、オーク達の動きに違和感があります」
「気が付かれましたか?」
「全体的に消極的です。オークが守りに入っています。
まるで時間稼ぎをしているようてす。後方に回り込もうと
しているかもしれません。警戒して下さい」
アインは数人の兵士を引き連れ後方に向う。
「レミ、遠方からの攻撃に警戒して下さい。
陽菜乃、恐らく近くにオーク達を指揮している
魔物がいるまずです。探してください」
レミと陽菜乃はそれぞれ指示に従い動く。
「アルヴィア姫、私はどうすれば!」
さくらは指示を仰ぐが、
「さくらさんと一花さんにはここに
いて頂きたいと思います。私には大した力がありません。
私を守って頂けますか」
「はい、もちろんです」
その時、何故かアルヴィア姫が少し悲しい顔をしたように
さくらには見えた。
その後、アルヴィア姫が予想したように後方から
別のオーク軍が攻めてきた。戦局が均衡している状況から
指示を出していたゴブリンは焦り、姿を出して
しまった事で陽菜乃に発見され、遠方から
の狙撃で絶命、指揮官を失ったオーク軍は統制が
取れなくなり一気に国王軍に押され殲滅された。
さくらと陽菜乃は城でのアルヴィア姫しか
知らない。あまりのギャップに初めは驚いたが、
その姿に何か並々ならぬ思い、凄みを感じて、
指示に従いついていくことにした。
姫という立場で何故戦場に行かなければならないのか、
そこにアルヴィアの心の闇が潜んでいた。
………………………▽
ジャンヌ VS 轟魔のキロス
(リビングアーマー)
「フン!」
斬撃が地を走り抜ける。
ジャンヌは躱しながら軽やかな足取りで接近
幾重の剣を一瞬で交える。
「ん!強い!我を相手にここまで耐えるか」
剣の構えを崩さずジャンヌを見据える。
「思っていたより力業一辺倒な剣士ではない
ようですね。もっと簡単に崩せると思ったのですが」
「カハァ、楽しいね!魂を売ってまで剣士を続けて
いるのに強敵に出会えず退屈をしていたのだ、
我を楽しませろ」
「愚かな魂を売ってまで戦を求めますか」
「はっ、お前とて同じであろう、死んでもなお剣士で
あろうとして戦場に戻ってきておるのではないか!」
「違う!………あなたとは違います。
私は戦いを終わらせたいから戦場に赴きました。
強者との戦い、あなたの言う事も分かりますが、
私が強さを欲する物ではありません」
「ふざけた事を、ならば何故戦う」
「恩義!私を救ってくれたご主人様の為なら
私は何でもします!ご主人に尽くすことこそ
私の欲する物、そしてご主人様に害する者は
私が打ち倒します!」
「フン、忠義か我には分からんことだ!
ま~良い!我は強者を求める者、いざ勝負!」
キロスは一直線にジャンヌに向かい剣を交える。
激しく高速の打ち合う
「フフッ見える見えるぞ!貴様の剣筋が」
打ち合う中徐々にジャンヌが押され始める。
「ん!?」ジャンヌは剣を弾き距離を取る。
「フッ、どうした?何故距離を取る………気がついて
しまったか、私の剣速が上がりこのまま打ち合えば
いずれ捉えられると」
「……………」ジャンヌは黙って話を聞く
「我の固有スキル『加速する刃』は打ち合うことで
剣速が上がる!貴様はいずれその速度に対応出来ず
切り刻まれるのだ!」
「…………あなたは剣士なのですか?あなたの顔は
ただの殺戮者にしか見えません」
「ぶっブフ、アッハハハ、そうかそう見えるか
仕方ないではないか楽しいのだ。特に貴様のような
強者が徐々に刻まれ恐怖する表情は堪らなく面白い」
キロスはニヤニヤとした顔を隠さず
楽しくて仕方ないと笑っていた。
「どうやら、剣士から屑に成り下がったようですね
私が切り払ってあげましょう」
「いいぞ!諦めるにはまだ早いぞ、もがく貴様を
私は見たい」
キロスは一歩足を踏み出した。
その瞬間、視界が上下左右に視界が揺れた。
「コロンコロン………」
「な、何が起った、身体が動かん!…………!?」
キロスは横になった視界の中で自分の身体と
光の大剣を持つあの女を見た。
「馬鹿な!?我は切られたのか?」
首から失った自分の身体が地面に倒れた。
「き、きさま〜今まで手を抜いていたなー」
怒りの形相で睨みつける。
「貴方とはもう話したくありません。剣士の名が穢れます」
『ターンアンデット』
キロスを浄化し消し飛ばした。
「あ!あれ?もしかしてもう終わったか」
ジャンヌを追いかけ合流
「ご主人様、敵を撃退することが出来ました」
「そうか、お疲れ!かなり強そうだったから……」
俺はジャンヌに向ってちょいちょいと手を動かす。
ジャンヌは疑問に思いつつも俺の前に立つと、
俺は上げていた手をジャンヌの額に近づけ
「あい、へ?」ジャンヌから変な声が漏れる。
俺はデコピンをした。
「ジャンヌ!心配したんだぞ!良いかこれからは
俺達に一言言えよ!ジャンヌが強いのは知ってるけど
心配はするんだ!今のは無理する場面じゃない」
「……………はい!申し訳ありませんでした」
ジャンヌは初めは呆然としたが、すぐに笑顔になり
頭を下げた。
「今後気をつけてくれればいいよ。
それにしてもジャンヌは強いな〜ジャンヌが俺の式に
なって心強いよ。これからも宜しくな」
俺は手を出すと、ジャンヌは膝をつき手を胸に当て
誓いを立て始めた。
俺としては握手したかっただけなんだけど……
ちょっと俺の思いとズレているジャンヌさんでした。




