第81話 黒ずくめの男
「腹いっぱいになったし、行くか!」
「ご主人様、準備は出来ております。行きましょう」
俺はイスブルに向う前に仮眠をとり腹ごしらい、その間にジャンヌとキャンベルさんは回復薬、食料を準備してくれていた。
俺達は早速ギルドを出て、イスブルに向う。
その時、僅かな違いでギルドに入った者達がいた。
「ギルマス〜ギルマス〜どこですか!」
ギルドの職員が走り回り大声でギルマスを探して回っている。なにやら随分と慌てている。そこにせっせと何かの準備で指示を出してたギルマスがやって来た。
「ギルドマスター……アルヴィア姫と勇者様が来られました!」
「な!?この忙しい時に……いやこれは丁度いいかもしれない。分かった!いますぐ行くから応接室に案内してくれ」
◆アルヴィア姫の視点
「お待たせして申し訳ありません」
応接室にギルドマスターが慌てて入ってこられた。
「突然の訪問にご対応ありがとうございます。冒険者ギルドで集めた魔物襲撃についての情報を共有させて頂きたく、こちらには来たのですが……」
私はさくらさん達の方向を向き、まずはさくらさん達が気になっている疑問を聞くことにする。
「まずは、ギルドのホールに怪我人がおられましたが、どうなったのでしょうか、昨日見た時には100人以上は居たかと?」
「あ〜それに関しては先程解決しまして、今は皆、次の襲撃に対応するために準備をしております」
さくらさんが少し前のめりになり、
「あの〜重傷の方ばかりだったかと、とても動けるとは思えません」
「そうですね、驚かれるのも無理はありませんが、患者の治療を行って頂ける方が見つかりまして、助かりました」
そこに陽菜乃さんが割って入る。
「それっておかしくありませんか?しっかりと見てはいなかったけど、とてもじゃないけど簡単に治せるような怪我じゃなかったわよ!上級回復魔法でも難しかったと思う」
「……あれは奇跡としか言いようがない」
ギルドマスターはどう答えるか迷っていた。
そこに先程案内をしてくれたギルド職員が、「本当なんです!治療をすると指示を受けて私は重傷患者を運んだのですが、部屋に入ってものの10分もしないで何ごともなかったように元気に出て来たんです!驚きました!」
私は驚き、さくらさん達と同じ様に表情をしていた。
陽菜乃は驚きからも、今度は鋭い目つきになり、「あり得ない!そんなの聖神教会の司教以上か聖女でもない限り無理、それに100人以上なんて誰にも出来ないわ」
陽菜乃の意見はもっともです。そんなことが出来る者は国王軍にも居ません。それにそれを無償で行ったと言うではありませんか、恐らく請求されれば億単位の金額を請求できたでしょう。まるで聖人君子の様な方です。
「その方は、今どちらに居られるのでしょうか?」
私は是非とも会って見たくなった。
「すいません、私も今どこにいるのかは?それにどうも正体を隠したかったのか黒ずくめで顔も見えませんでしたしすぐに居なくなったみたいです」
ギルド職員の一言に私もさくらさん達も驚きを隠せませんでした。
◆蒼字の視点
俺達は風太の魔法『浮風歩行』でイスブルへ移動、移動中はかなりの魔物達がいたので、蹴散らしていたが、きりがないので途中からは、逃げながら移動、なんとかイスブルに到着する。
「森に着いたとたんにいきなりかよ。面倒そうだ」
目の前には、オルトロスが2体、絶対に逃さないために強力な魔物を配置したな。
「大きい犬っころめ。すくに早く見つかったが、俺達の匂いでも嗅ぎつけたか?」
「ご主人様、ここは私達にお任せを!」
ジャンヌが前に出る。
「蒼字はこの後も探索の魔法で魔力を使わなければなりません。極力魔力を温存しておいてください」
キャンベルさんもジャンヌに続いて前に出た。
なんかこの二人格好いい、俺は場違いなことを考えていると、二人の戦いは始まった。
ま〜言うまでもないか、圧倒的……だった。
二人共恐ろしい剣速でオルトロスを刻み。
無傷で戻ってきた。
「ご主人様、遅くなりました」
「ジャンヌ大丈夫だから、遅くないから、むしろ早いから、良くやった」
その一言にジャンヌは嬉しそうに笑った。
本当に可愛いやっちゃ。
「このまま入ると危険かもしれないわね」
「キャンベルさんなんとかなりますよ!風太宜しく〜」
「蒼字軽く言うな!こっちは結構神経使うんだからな」
『風陣』
俺達の周りに風の渦が発生し風の薄い膜が出来た。
「これで匂いは漏れない。相手がオルトロスだよりならこれで防げるでしょ」
「分かったわ、それでいきましょ」
キャンベルさんが納得してくれたので、早速森の中に足を踏み入れた。
森の中は思っていたより薄気味悪いということはなく。森林浴をしている気分になってきた。
「おい!蒼字検索しろ!お前忘れてるだろ」
「あ!悪い風太、ボケっとしてたわ!
『リアルマップ 転記』」
「…………あ!あったわ、ここで間違いない!」
森の中央付近に多数の黒丸が集まっている。これがレベル50以上を表しているなら面倒な事になった。100体近くいるぞ!さすがに全部を相手には出来ない。
「これは引いた方が良いかもしれませんね……」
キャンベルさんはアゴに手を当て考え込む。
「ご主人様、私が先行して確認に……」
「ダメだ!ジャンヌ、無茶すんな!一人なんて余計ダメ」
ジャンヌは忠誠心が高過ぎて、俺のために役に立とうと無茶をする傾向がある。ここはご主人様として部下を守らねば!
さてどうする。このまま引き下がるのも悪くはないが、応援を待って攻め込むのか?残念なことだがあれだけの数の高レベルの魔物をサマリンの冒険者が相手に出来るとは思えない。被害がかなりでそう、俺達で高レベルの魔物を排除して、その他の魔物はサマリンの冒険者に………
俺が考え込んでいると勇ましい雄叫びが聞こえる。
「え!?なんでこんなところで人の声が…」
「分からないけど、行きましょ!もしかしたら魔物に襲われているのかも」
キャンベルさんに促されて俺達は声がした方に向かうとそこには、意外な人達が居た。




