表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/346

第79話 サマリンの現状と動き出した蒼字医療団


 オルトロスを倒すと戦局は一気に傾き、魔物を殲滅することが出来た。今は怪我人の治療と遺体の処理が行われていた。



「来てくれたか、助かる」


 俺は気まずい顔で、

「ガルムさん悪いんだけど、俺達だけなんだ、どちらかと言うと現地調査が主の目的なんだ」


「そうか、ま!気にすんな!実際俺達は助けられたわけだしそれに『電影の騎士』様が来てくれたんだ。100人力だぜ!」


「やぁ、やめてくださいそんな昔のこと」

 キャンベルさんは恥ずかしそうに声をあげる。


「わるいわるい、嬉しくてな、つい思い出しちまった」


「ガルムさん…それってもしかしてキャンベルさんの二つ名ですか?」


「そうだ!カッコイイだろ!俺が付けた!……は!?」

 腰に手を当て自慢気に話をしていると、横から「バチバチ」と音がした。

「そうでしたか!ガルム、貴方が……」

 何かに納得したキャンベルさんの腕が光っていた。


「ま、待て話せば分かる……オギャーー」

 ガルムの黒焦げ、いっちょあがり〜……

 ガルムの制裁が終わった……

 しかしタフなガルム、すぐに復活!


「あたうたそあ……まだ口がピリピリしておへ、まだ上手く喋れね〜わ……良いじゃね〜かよ!『電影の騎士』はカッコイイだろ、俺なんて『飲んだくれのガルム』だぞ!上級冒険者に付ける名前じゃね〜だろ。誰だよ!まったく」


「あ〜それ私ですね。適当に付けたやつです」


「……………え!?」ガルムの顔が無表情から驚きに変わり最後に真っ赤な顔で怒り出した。

「てぇ、おまえか〜キャンベル〜」

 ガルムは飛びかかるが「シュンッ」と軽やかに躱しキャンベルとガルムの追いかけっこが始まった。


「意外だ!……あの二人、仲が良かったのか?…いや…それよりも」

 キャンベルさんの素の反応に俺は心底驚かされる。



 しばらく動き回り、

「はぁ〜はぁ〜はぁ〜、くそ〜相変わらずの軽やかな身のこなししやかってぇ〜腹立つが捕まらん!」


「ガルムの動きは昔から直線的過ぎます。それで躱してくださいと言っているようなものですよ」


 確かにガルムさんの動きは直線的であるが、速さは一介の冒険者の比では無い、実際躱すのは相当困難、つまりキャンベルさんの動きはそれ以上と言うことか。


 冒険者の一人がこちらに走って来た。

「ガルムさん、すまないがサマリンに急いで戻りたい。来てもらえるか?」


「あ〜分かった。一度戻るか、これは急いで対策を打たんと身が持たんからな」


「悪いな。ガルムさん」

 冒険者はガルムの了承を得るとそのまま冒険者が多く集まっている場所に戻る。




「ガルムさん現状は芳しくないみたいだな」


「ま〜な、とにかくお前達にも意見を聞きたい。まずはサマリンに戻るぞ」




 俺達はサマリンに向う。サマリンは砦のように高い壁に覆われ、ちょっとやそっとのことでは魔物の侵入を防げそうな構造で作られていた。しかし、幾度の魔物の襲撃により所々損傷して隙間が空いている。このままではそう長くは保たない。


 門をくぐり中に入ると、砦の中は酷い状態だった。建物はボロボロに崩れ多くの人がその瓦礫を片付けていた。


「なんで!!砦の中なのに……」

「あれだ、地上だけじゃね〜だろ!空からな……さすがにここの設備じゃ〜な、カバーしきれねぇ〜だわ」

 そうか、キメラやグリフォンのような空を飛べる魔物もいる。耐えてるようで被害はかなり出ているんだな。



 門を通り、商店街だったと思われる大通りを抜け目の前には大きな建物が現れた


「ここがこの砦の冒険者ギルドだ」

 ガルムさんの案内でギルドに入ると、濃い血の匂いが、そこら中に怪我人がおり通路にまで、怪我の具合はかなり悪そうだ、まともに動けない人ばかり、医師や回復魔術師、治療薬のすべてが足りていない。応急処置で手一杯みたいだ。


「1ヶ月前だ、町の近くで魔物の目撃情報が増え出始めたのは、最初は依頼を増やして対応してたんだが、そのうちおかしいことに気がついた。倒しても倒しても一向に減る様子がない、それどころかその勢いはどんどん上がりやがった。今は国王軍と冒険者で協力してなんとか砦を守っている。……だが時間の問題だ。対策を打たなければいずれ疲弊して押し切られる」


「でも、希望はあります!」

 40後半のスレンダーなメガネをかけたイケオジが俺達の話に入ってきた。


「ギルマス、こんなところで良いのか?」


「もちろん、現場に出ていた冒険者を出迎えるのも長としての務めですからね」


「ふん!そうかい、今回もなんとかなったよ」


「ガルムさんには感謝しかありません。貴方がいなければここはもっと酷い状態だったでしょう」


「はぁ!大した事ねぇーよ!……それで希望ってのはあれか!」


「はい、勇者様この砦に来られました」


「そうか……これで希望は()()だな」

 ガルムはニヤリと笑う。




………………▽


◆さくらの視点


「アルヴィア姫、応援を呼びましょう。早く怪我人の治療をしないと……」


「さくらさん、落ち着いてください。それはもちろんです。すでに手配は済んでいます。ですが……早くても1週間はかかるでしょう。それまでこの砦を守らなければなりません」


 

 私達の護衛として国王軍の中でも腕利きの50名を引き連れて来ましたが、回復魔術師は数名、回復魔法には大量の魔力を消費するため、とてもではないがこの人数の怪我人に対応出来なかった。どうすれば……


「アルヴィア姫、さくら、一花いちかさん、私達が今出来ることをしよう。私達には治療が出来ない。なら早く原因を見つけてそれをぶっ飛ばせば良いんだよ!そうすればこれ以上の被害は出ない!

 陽菜乃ひなのから強い意志、覚悟を感じる。

 私は無言で頷いていた。


 私達はまず冒険者ギルドから情報を得るため向かい。ギルドに入るとそこには驚くべき光景が広がっていた。



…………………▽


◆キャンベルの視点


 想定していたより被害が大きい、応援要請は必要、でもそれだけではダメね!教会から回復魔法が扱えるシスターと司祭様を呼びないと、死人が増える一方だわ。


 私は冷静に周りを見渡しているとふと蒼字そうじの様子がおかしい。何かを考え悩んでいるようだ。この状況を見て悲しんでいるのかもしれない。ここは私が受付嬢として冒険者の心のケアを、いえ、同じパーティの仲間として話を聞かねばいけませんね。


「そうじー……」

「良し!決めた!」

 私が声をかけようとした時、突然何かが吹っ切れたような顔で蒼字そうじが声をあげた。


 蒼字そうじは声をかけかけた私に気が付き、


「キャンベルさん、これをお願いしても良いですか?」

 蒼字そうじは私に200枚程ある薄い紙を渡した


「それは『絆創膏ばんそうこう』と言って『キュア』と同程度の効果があります。軽傷の方にこれを使ってください」

 これは確かリルちゃんの店が出してる話題の商品。


「ジャンヌ!」

「は!何でしょうかご主人様」


「ジャンヌも回復魔法は使えるな」

「はい、しかし……申し訳ありません。あまり得意では」


「いや、気にするな。まずはできる範囲のことをやろう。俺も今やれることをすることに決めた」

「はい、分かりました」

 ジャンヌはすぐに怪我人の下へと移動する。


 私も今できることをしないといけない。

 ジャンヌを追うように私も怪我人の下へと向かう。


◆ガルムの視点


「ガルムさん、ここのギルマスにお願いして貰いたいんですけど」


「何を頼むつもりだ?」

 俺はアゴに手をあて考えるように話を聞く。


「どこかの小部屋を借りたくって」


「は?そこで何するんだ」

 

「怪我人の治療をしようかと」


「はぁ!?お前回復魔法まで使えるのか」

 俺は驚いた!

 元々こいつは筆を使うかなり特殊な戦い方をするし、召喚魔法も使う。さらに回復魔法だと!?いくら何でも多彩過ぎる。本当にこいつ……何なんだよ。


「全く、分かった待ってろ。今すぐギルマスを呼んでやっからよ」


 その後ギルマスに話を通し小部屋を借りることができた。



「ガルム……本当に……この方なんだな」

 ギルマスのナトリが戸惑いながら聞いた。俺としても今の状態では自信を持って返事がしにくい……

 蒼字そうじは何故か黒ずくめの格好をして顔も見えないかなり怪しい姿をしている。

 

「な〜その格好………どうにかならんのか」

 俺は不満を蒼字そうじに言うと、

「すいません、出来るだけ正体がバレたくないんです。協力してください」


「なんなんだよ!仕方ないな!」

 俺は不満を持ちつつも、今は怪我人の治療を優先したい。我慢することにした。


「ガルム、患者だ、どこに運べば良い」


「あ〜こっちのベットに頼む!」

 患者を二人の冒険者がベットに運び終わるとナトリ以外は出ていった。


「すいません、ナトリさんも出ていって貰えませんか」


「悪いが、そうはいかない。私はここのギルマスです。冒険者の彼を見守る義務がある」

 ナトリは強い口調で蒼字そうじ言い放ち睨みつける。


「………ナトリさん、ここで見たことを公言しないで頂けますか?」


「助けて頂くのですもちろんです。約束しましょう」


「そうですか、それは助かります」

 蒼字そうじはそう言うと、患者に向かい合い。


『治癒の朱墨しゅずみ


 一瞬だった、患者には左肩から右脇腹にかけて大きな切り傷があったが、それが綺麗さっぱりと消えてしまった。これは魔法か?……魔法なんだよな……


 患者は怪我が治ったことを泣いて喜んでいた。そんな姿を私は呆然と見続けていた。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ