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第78話 カルディア辺境伯領の魔物達


 王都を出発して1週間が経ち、

 目的地のガルディア辺境伯領に入った。


「ん〜ここがガルディア辺境伯領ですか、魔物が大量発生しているとは聞きましたけど……魔物の巣窟では?」


「えぇ、ここで間違いありません。以前来たことがありますから……まさかここまで酷いとは」


 俺達はオオカミのような魔物に囲まれていた。ざっと30匹はいる。まだ入ってすぐだぞ。これだと周辺の町にも被害が出てるかもな。


 魔物を一掃しサマリンへ急ぎ向かう。



……▽


「またかよ。でもちょっと感動!有名な魔物だ」


蒼字そうじ何が感動ですか!キメラですよ!B級上位パーティで戦う魔物が多数、群れでいるんですよ!」


 現れたのはキメラ、空中を優雅に舞い、獲物である俺達をどう料理してやるか吟味しているようだ。


「空中にいる相手はやり難いな〜しかも8体か、上手くやらないとな」


「…………うん、一人受け持ち2体で行こう!」


「何を言っているんです蒼字そうじ?」

 キャンベルさんは首をかしげた。


「風太、ジャンヌ、キャンベルさん四方に散って、一人2体誘導して倒して………宜しく〜」

 蒼字そうじが走っていくと、それを見た風太とジャンヌは別の方向に、

「ちょっと、本気ですか!?」

 キャンベルも仕方なく逆方向へと走っていった。



 俺はある程度離れた位置で止まり、

「お〜し、いい感じに二体ついて来たな」


 一体が地面に降り立つと、

 直後口を開き火を吹いた。


「火炎放射か!」

 俺はそれを横に避けると、もう一体が急降下、鋭い爪をたて俺を襲って来た。

「筆ブレード」………「カキーン」

 金属が接触するような音が響く。


「へっ、なかなかの力だが!しか〜し、俺はこの世界に来て力が激上がりしてるんだよ!」

 キメラの攻撃を受け止め、無理やり弾き返す。


 キメラもこんなに小さいやつに力負けするとは思っていなかった為、簡単にバランスを崩す。


「隙あり!『縛筆』」キメラ一体を墨帯で捕縛。


 もう一体が突撃してくる。俺はそれを素手で受け止めると、しっぽが俺の側面から毒を飛ばしてきた。


「危な〜噛まれるかも思ったら飛ばしてくるかよ」

 俺はバックステップを数回して攻撃を回避、距離を置くと再びキメラは突進して来た。


「今度は近づけさせないよ!『点撃 散らし墨』」

 複数の墨球が弾丸の如く飛んで行き、キメラに炸裂、動きが止まったところで『縛筆』で捕縛。


「ふ〜終わった。速さはあるけど力は、そうでもなかったな、さて他のみんなは……」


「ご主人様、任務完了です!」

蒼字そうじ終わったぞ〜」


「お〜す、ジャンヌ、風太お疲れ〜」

 二人も問題なく倒したようで特に怪我もしていなかった。


 キャンベルの方を向くと丸焦げのキメラが2体転がっていた。


「キャンベルさん〜お疲れ様」


蒼字そうじあなた無茶をしますね!と言いたいところですが、どうやら無茶ではないとあなたは判断したようですね」


「もちろん、このパーティなら楽勝だと思いましたよ」

 俺は自信満々で言った。



………………▽


◆キャンベルの視点(キメラとの戦闘直前)

 

 え!?分散して戦う。そんな無謀てす!キメラは力も速さもあり遠距離攻撃をする術を持った魔物。弱点らしい弱点のない強敵です。それを一人で2体同時相手するなんて………しかし既に賽は投げられました。

 私は出来る限り早くキメラを倒し援護に向かうことにする。しかし状況は想定外になる……ジャンヌがかなり腕の立つ剣士なのはは分かっていたが想像以上、キメラを2体同時に一撃で斬り伏せた。そしてワンちゃんも、ジャンヌと同じく式神と聞いていたが、見た目とは違い確かな実力を持っていた。風を纏い特攻、キメラにも負けない力とそして多彩な風の操作力でキメラをすれ違いざまに首を切り裂き絶命させた。

 そして蒼字そうじも難なくキメラを捕縛……初めはなんて無謀な指示を出す……リーダーとしてはあまりにも雑な指示と感じたが、これは個々の実力を把握したうえでの指示だったと今なら分かる。


 このパーティはまだ……恐らく実力を見せていない……これは楽しみ。



……………▽


蒼字そうじの視点


「この辺に居るとどんどん魔物が集まって来そうだからさっさとサマリンに向かいましょう」


「風太〜宜しく〜」

「たまには蒼字そうじがやれよ!」

「俺がやるより風太の方が乗り心地が良いんだよ」

「そんなこと言って面倒ごとを押し付けているだけじゃないだろうな」


 ブツブツ言いながら風太は風魔法を使い。

 俺達を浮かせ風に乗せてくれた。



「すごい制御力、ワンちゃん上手!」

 キャンベルは手を叩き称賛する。


「ワンちゃんではないぞ!キャンベル」

 風太は軽く抗議する。


「ま〜それは置いておいて」

「置いとくんな!」

 風太のツッコミをサラリと躱し次の話をする。


「先程は失礼しました。風太さんの風魔法かなりの練度を感じます。今で見た風使いでは群を抜いています」


「確かに風太が使う風の絨毯は乗り心地が最高!揺れないし、落ちないし、柔らかいし〜」


 俺達は風太の風魔法に乗っているが、傍から見ると、3人と一匹の犬が座った状態で水平に移動しているように見える。端から見たらかなり怪しい光景。


「ちなみに風の絨毯じゃなくて『浮風歩行』だからな」

「ん〜風の絨毯の方がおしゃれじゃないか?」

「技名におしゃれとかいらん!」

「風太……お前も時代について行かないとな!」

「お前もついて行けてないけどな!」

 俺と風太が不毛な話をしていると、


「見えてきましたサマリンです。しかし、その前に一仕事しないと入れないようです!」

 キャンベルさんは戦闘態勢に入り、俺は前を見ると大規模な戦闘が行われていた。

 魔物がざっと数百体、それに対して兵士、冒険者は百人くらい、やや押され気味か……


「どうやら一体面倒なヤツが居るようだな」

 巨大な犬が冒険者を噛みついており、周りの冒険者も応戦しているがビクともしていない。


「オルトロス!!」

 キャンベルさんは顔を歪ませる。


「キャンベルさん、アイツヤバいんですか?」


「地獄の魔獣……Sランクに該当します」


「そうか……それは強そうだ、ちなみにデーモンロードとどっちが強いんですか?」


「デーモンロード!?それは別格です!ランクで言えばSSランクになります」


「そっか……」

 

「ご主人様、私が行きましょうか?」

 ジャンヌがそくざに進言する。


「いや、あいつは俺がやるから風太とジャンヌは他の冒険者達の援護を頼むわ……キャンベルさん行きましょう」


「え!?…は、はい」

 

 俺と少し反応が悪いキャンベルさんはオルトロスがいる場所に向かう。



……▽

 そこには見知った顔が居た。

「ん?……あ!お〜いガルムさん、セラさん、ソーラさん」


「あ〜」ガルムは不機嫌な顔を向け、「あ!?蒼字そうじくん」セラさんは笑顔で手を振り、「これは助かりました!」ソーラさんは冷静に発言する。


「皆さん、良かった!無事のようですね」

 俺はみんなに声をかけたけど、ガルムさんが大声をあげるもんだから、全てかき消されてしまった。



「おぉーーキャンベル〜とうとう冒険者に戻る気になったかめでてぇーな!」

 

「勘違いしないで下さい!これはギルドマスターの命で、仕方なくやっていることです。嬉しそうにしないでください」


 ガルムは満面の笑顔をキャンベルに向け、キャンベルさんはやや照れているようなムスッとしているような複雑な顔をしている。


「ガルム、戦局はどうなっています?」

 やや命令口調のキャンベル


「いいね〜その強気な発言!昔を思い出すぜ!」

 

「無駄口叩いている暇があるなら早く答えなさい!」


「お〜よ!あまり良くないな。コイツが暴れ過ぎだ!セラ、ソーラ、行くぞ!」

 いつになく気合が入っているガルムを見て、

 それぞれ戦闘態勢にはいった。


 オルトロス、この戦場を荒らす強敵の魔物、見た目は体長5〜7メートル程の双頭の犬恐ろしいのは鉄をも切り裂く鋭い爪と高速の機動力、一瞬でも気を抜けば殺されるかもしれない。


「セラ、ソーラ援護を頼むぞ」

 ガルムはオルトロスに突撃!


 オルトロスはガルムの動きを見て側面に移動し爪で攻撃を仕掛ける。

「させません!」……『オーラシールド』

 

 ソーラが盾で受け止めると同時にガルムは飛び上がりバトルアックスを振り下ろす。オルトロスは後方に飛び退き高速で走り回り撹乱する。


「響け、風の嘆き『サウンドショック』」

 セラの魔法でオルトロスの動きが止まる。

「この魔法は耳が良いと特に効くわよ!」


 並行感覚が取れなくなったオルトロスに向ってガルムは必殺の一撃を繰り出した。


遠投鬼絶えんとうきぜつ

 バトルアックスを全力で振り回し、強力な斬撃を飛ばした。「ザシュッ」……オルトロスの首に致命傷と言える深い切り傷が……しかし双頭の頭を持っていたためか止まらない。ターゲットをセラに変更、高速で動くオルトロスにガルムとソーラは追いつくことが出来ない。セラが魔法を放つ体勢に入ったがすでに目の前に牙が!?


「隙ありです!」

 オルトロスの頭部側面を光が貫通、オルトロスはそのまま倒れ動かなくなった。


『………サンダーショット』

 キャンベルの剣先がバチバチと音を立てていた。



「……………俺の出番は…なし?(・o・;)」

 キャンベルさんに良いとこ持っていかれた。

 

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