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第77話 キャンベルさん奮闘


「パッカパッカ」馬の蹄の音が聞こえる。

 考えてみると初めてだな馬車での遠出だな。


蒼字そうじ様、すいませんうちのアホのギルマスが無理なお願いをしてしまい」

 キャンベルさん色々漏れてますよ。


「良いですよ。それは、それよりキャンベルさん俺の言ったこと覚えてます?」


「あ!すいません………蒼字そうじさん」


「そうそう、それで良いです。何ならさん付けもいりませんから」


「はい、了承しました」


「固いかたいよキャンベルさん、俺達はパーティなんです。一時的だとしてもそれは変わりません。これはもっときつくいかないと駄目ですね。敬語禁止だ!」


「えーー!?」

 キャンベルさんは今まで見たことのないレアな表情を見せてくれた。




…………………▽


 時は遡り、ギルマスの部屋での出来ごと。


「何故、私が蒼字そうじ様とサマリンへ向かわなければ行けないのですか!」


「君も知ているだろ、サマリンが今どうなっているかを」


「それは知っていますが、何故私が?」

 確かに受付嬢であるキャンベルさんが行く必要はないと思う。意味も分からないし危険だよ。


「キャンベルくんには、あちらの現状を把握してもらい場合によっては指揮を取ってほしい」


「ですから、私は受付嬢であって()()()()()()()()()()()!」


 ん?キャンベルが元冒険者!?


 ギルマスはま〜ま〜と抑えるような仕草をして話を続ける。


「僕が思うに今回の任務には君が適任者さ、元Sランクの冒険者であり王国軍副団長を務めた君の実力と指揮能力がね」


「…………え!?うそ〜スッゲ〜」

 俺は大声で驚いた。



蒼字そうじ様、そんなに驚かないでください。副団長を務めたのもほんの一年で大したことは…」

 キャンベルさんは恥ずかしそうにしている。

 しかし!


「何言ってるんですか!副団長ですよ!どのくらいすごいか分からないですけど、すごいことは分かります」


「いえいえそんな〜……」

 キャンベルさんは意外と恥ずかしがり屋さん?


「もう、良いかな話を進めて……」

 ギルマスは気を使って待っていてくれたようだ。


「キャンベルくんが戦場に行きたくないのは分かるけど、そろそろ良い頃だと思ってね。声をかけさせて貰ったよ。君にも思う所はあるはあると思うけど、今回のことは放置出来ないと僕は思う。すごく嫌な予感がするんだ」


「はぁ〜あなたがそのように感じるのであれば、きっと今回の案件は急ぎ解決しないといけませんね。分かりました。お役に立てるか分かりませんが、その任務務めさせて頂きます」


「うん、宜しくね!それじゃ〜今から君たちにはパーティを組んでもらいサマリンに向かってほしい」


「了解致しました」

 キャンベルさんはコ・チ・ラに向き直し、

「それでは蒼字そうじ様、短い間ですが宜しくお願い致します」


「……………ダメですね!」

「え!?」

「パーティですよ。つまり仲間、そしてこれから一緒に戦う者として固すぎる。まずは様付け禁止です!」


「え!?」

 キャンベルは蒼字がそのようなことを言うとは思っておらず驚いていた。




…………………▽


 などと言うやり取りがあり今に至る。


「キャンベルさん、諦めて頑張ってください」


「分かりました善処します……そうじ」

 そんなにガックリしなくても……


「キャンベルさん、ちなみにどのくらいでサマリンに着くんですか?」


「そうですね……軽く見積もっても1週間以上はかかると思います」


「そっか…ガルムさんなら大丈夫だと思うけど、心配だな」

 サマリンに先行して行っている冒険者の中にはガルムさん達も居た。Sランクパーティの実力者ではある彼らでも何が起こるか分からない。


「ガルムは日頃は飲んだくれですが、戦局の判断は的確ですから大丈夫ですよ」

 キャンベルさんが俺のぼやきを聞いて声をかけてくれた。


「さすがは名受付嬢、冒険者のことなら何でもご存知ですか」


「いえ……そんな…ガルムとは昔パーティを組んでいた時期がありましたので、いつも酔っぱらっているのをたしなめていました」

 うん……ガルムがしばかれている姿が思い浮かぶ。


「ご主人様、そろそろ喉が乾いたかと、ハーブティーで御座います」


「!?」

 ジャンヌが突現れキャンベルさんはビクッと反応、一瞬剣の柄に手をかけ動きを止める。


「ありがとう、キャンベルさんの分もお願い、それとそこまで気を使わなくていいよ。飲みたくなったら勝手に飲むからさ」


「え!?これもダメなのですか……」

「いや…ダメなわけじゃないよ」

「それは良かったです!キャンベルさんの準備もしますね」

 嬉しそうにハーブティーを淹れるジャンヌ、色々と気を使ってくれるのは嬉しいけど、こっちとしては申し訳なくって、それで断り続けたら、最近悲しそうな顔と声を出すようになる。おかげでノーと言えずしかもその仕草が可愛いいからより断われん、むしろみたくなる〜。


「あの〜蒼字そうじ彼女は一体……?」

 それは……気になるよね。突然出て来たしね〜……


「彼女はジャンヌって言います。えっと俺の式神ですけど、なんて言ったらいいのかな……召喚獣の人版みたいなものですかね」


「そうですか……すごいですね。蒼字そうじは召喚士でもあるのですか、ギルドでも二人しかいないのですが」


「へーでもいるんですね。今度話してみたいです。紹介してください」


「え〜あちらの了承を得られれば紹介致します」


 それから次の町に着くまでに何度か魔物に襲われたが、キャンベルさんの実力は本物だ!正直こえ〜。


 キャンベルさんの武器はレイピアのような細い剣、高速の突きと雷属性の魔法を身に纏い高速移動、相手に一切反撃させない超攻撃型スタイル。




 宿が決まり、食堂で食事をしながらコミュニケーションタイムとしたが、


「ジャンヌさん、あなたの剣術は素晴らしいです。あれ程完成された型は初めて見ました。かなりの訓練をされたのですね!」


「そんな大したことはありませんよ。キャンベルさんもあの体術には驚かされました。速さの中には鋭さがありまさに天雷の如くです」


 二人は気が合ったようで、キャンベルさんとジャンヌは剣術について語り合っている。二人共楽しそうなので俺は風太と骨付き肉について語った。


……………▽


 それから4日目、大体半分くらい進んだところで問題が起きた。



「放置は出来ません」

「もちろんです!キャンベルやりましょう」


「………………」

 たった4日で二人は親友になった。生真面目で正義感が人一倍強い二人は何を言っても止まることはないだろう。ま〜放って置くつもりはないけど。

 

 訪れた村で盗賊が襲撃したようで、女、子供を攫ったらしい。それが起きたのが俺達が来る1時間前らしい、今から追えば十分助けられる。


「それじゃ〜風太宜しく」

「風太先輩お願いします!」

「ワンちゃん頑張るのよ!」


「おい!?蒼字そうじ、この二人の圧が強いぞ!なんとかしてくれ!」


「早くした方が良いぞ!そのうち二人に首を締められるかもしれんぞ」


「分かった分かった!怖いから今すぐやるワン」

 キャンベルさんとジャンヌから熱い視線を受け焦る。


 風太は二人の強い眼力に押され速攻で盗賊のアジトを発見する。



……▽


「さてと、どう攻めるか、まずは情報収集からだな。風太」


「おい、蒼字そうじ……二人共居ないぞ?」


「ん?……はぁーー!?」

 俺はアジトと思われる洞窟の入口を見ると二人は堂々と歩いて向かっていた。


「ううぉーい、何してんだ!あの二人は!?」

 ヤバい!少し感じていたことだが、あの二人同調してどんどん感情が増幅、暴走モードに入っとる!



「なんだ〜テメェーら」

「おいおい、待てよ!すげー美人だぜ!捕まえてヤッちまおうぜ!」

 監視役の二人の盗賊に見つかった。そいつらは仲間を呼ばず二人に向かっていく。


「あなた達、先程近くの村を襲撃した盗賊で間違いありませんね」

 ジャンヌさんそんなストレートな質問します?


「なんだ〜村人の生き残りか、あいつら〜こんな上玉を見逃したのかよ。バカだね〜」

 一言言わせて貰おう。

 お前達はも◯死ん◯いる。


 二人は一瞬にして丸焦げになり倒れた。


「行きましょう。ジャンヌ」

「えーキャンベル」

 二人はアジトに入って行った。


「風太……頼むわ」

蒼字そうじ投げやりはやめろ!行くけど、お前もちゃんとついて来い」

 風太は風にまかれ消えた。


「あの〜アホども、後で説教だ!」


 俺も二人を追ってアジトに侵入する。



………▽


「あ〜やっぱりこうなるよな〜」


「だーーバケモンだ〜!」

「助けて〜ゆるじて〜!」

「ギャーー死んじゃう〜!」


 盗賊達の悲痛な叫び声がこだまする。


 キャンベルさんとジャンヌが盗賊を圧倒、100人近く居たんだけどバッタバッタと倒れて減っていった。


「………ここは……任せるか」

 俺はトボトボと村人が捕まっているであろう牢屋に向って歩く。………「こっちかな?」


 それから5分もしないうちに盗賊は殲滅した。

 村人達は全員無傷で救出され事なきを得た……が!


「ドアホ!暴走しすぎだ!」


 キャンベルさんとジャンヌは正座で反省中。


「すいません、ご主人様……くっ……切腹して…」

「お前はサムライか〜やらんでいいわー!」


「すいません、昔の……冒険者時代の血が騒いだというか、まさか私がこうなるなんて……不覚!」

「不覚!……じゃないわ、あんたは案外いつも暴走しとるわ!」



「ま〜そのくらいで良いだろ!村人は全員無事だし飯にしようぜ!」

 

「は〜そうだな!腹減ったし飯にするか」

「ご主人様、失態をおかした私をお許しになるのですか?いえ、ダメです!私に体バ……」

 またアホなことを言い出しそうなので、口を押さえてジャンヌを引っ張り食堂に向かった。



蒼字そうじ、あなたは私が思っていた以上に面白い人ですね」

 キャンベルは彼等の後ろ姿を見て笑った。


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