第8話 リルの夢
「お〜デカいな。ここが王都ラダマンテュスか!」
俺達はあの後、行商人の馬車に乗せてもらい。とうとう王都ラダマンテュスに到着することが出来た。
見た印象だか、とにかくデカイ!さすがは王都と言われるだけのことはある。20メートル程の真っ白な城壁に囲まれ、その周辺には深い堀、町への入り口には大きな橋がかかっており沢山の人が往来していた。
「な〜リル、俺って普通に入れるの?なんかあそこの門で止められそうなんだけど?」
正門では兵士と思われる門番が立っており、なにやらやり取りをしており、受付してから町に入っているようなんだが。
「取り敢えず入ることは出来ますよ。まずは仮の通行証を作らないと入れませんので。門の奥にある詰所で発行して貰い、その後正式にこの町に住む場合は身分証明書を発行しなければなりません」
「なるほど、それじゃまずは詰所の方にいくか」
……………▽
詰所では少々面倒なことになったがなんとか仮の通行書を発行することが出来た。やっぱりこの格好が良くなかった。どこから来たのかと聞かれた際も事前にリルに適当な町を聞いていたのだが、どうしてもこの格好が嘘くささを感じさせて、兵士さんの視線が冷たかった。しかし元々入る為の制限に引っかかるような物は特に持っていないので、止める理由もなく通して貰えた。
「お〜〜中もいい感じですな〜」
THE!異世界と言った感じか見た目は中世ヨーロッパと言った感じだが、歩いている人達が違う。ヒト族だけではなく、獣人、小人、ドワーフその他分からないが沢山の種族が行き来している。これはすごい‼
「蒼字さん、これからのことなんですけど、まずは行く予定だったパンさんに会いに行きたいんですけど宜しいですか」
「もちろん良いよ。どうせ俺いま文無しの行くとこなしなんで、リルが頼りなんだよ!」
「それではすいませんけど行きましょうか。あと蒼字さんの魔石を売ればある程度はお金になりますので、当面の生活費は問題ないと思いますよ!」
「マジかよーラッキー!助かるよリル」
「いえ、蒼字さんが倒した魔物ですから気にしないでください」
俺達はパンさんの店へと向かう。歩いていると途中沢山の屋台があり見たことのない食べ物が並んでいた。匂いだけでも分かる!美味い!あとで是非とも食べに行こう。
そうこうしていると、パンさんの店に到着、どうやら椅子やテーブル、食器など家具のたぐいの物を売っている雑貨店のようだ。
「すいませ〜んパンさんいますか?」
「ごめんなさい〜父は今でかけ…リルちゃん!?」
「あ!チーちゃんお疲れ様、そっかパンさんいないのか」
ガッカリしているリルに構わずチーちゃんという子共はリルに抱きつき、楽しそうに喋っている。
なんか邪魔したら悪いな〜と思い、店の中を見させて貰うことにした。
商品を見ていると何に使えばいいのか分からない商品が沢山おいてある。なんか面白いな〜。
「なんだコレ、家具の中にただの四角い箱が、金属で出来てるみたいだけど、開けてみようかな」
「ゴハッ」
蒼字の奇声に気がついた二人が駆け寄って来るとぶっ倒れていた。慌ててチーちゃんが起こしてくれて「すいませんすいません」と謝られる。
なんでこんなところにびっくり箱パンチバージョンが置いてあるんだ!
「蒼字さん大丈夫ですか?」
「あ〜大丈夫、思っていたより痛くはない。それよりなんでこんなところにこんな物が置いてあるんだ!」
「その〜すいません、それ母のイタズラ商品なんです」
「は?」なんじゃそりゃ〜!
チーちゃんは申し訳無さそうにしていた。
チーちゃんは見た目からリルよりやや年下の女の子、栗毛色のおさげでクリクリした目をしている。パッと見小動物的に可愛いいな。
それにしても今この店にいるのはこの子だけか、まだ小さいのにしっかりしているな〜。
俺は一人感心していた。
「その〜母はイタズラ好きでよく父を驚かそうと自分で作って仕掛けるんですけど、父は慣れてきたせいか引っかからないで、そのまま放置されるからお客さんがたまに引っかかることがあって困ってるんですよ!」
なんて迷惑な話だ。客足に影響が出るだろうが!
「お〜い帰ったぞ!チアンナ〜どこだ?」
「父が帰って来たみたいです」
店の入口から男の声が聞こえる。チーちゃんすぐに父親だと分かり入口の方へと駆けていく。蒼字とリルはチーちゃんを追いかける。
「父さんお帰り〜!」
「ただいま…リルちゃん?もしかしてそこに居るのはリルちゃんか!」
パンさんはリルに気がつくと驚き大声でリルを呼んだ。
「パンさんお久しぶりです」
リルはニコリと笑って対応するが、パンさんは何故か目から涙を流し腕で拭っている。
「リルちゃんは無事だったんだな。良かった良かったよ」
その理由はすぐにパンさんが説明してくれた。リルの父親と馬車が街道で見つかり、それについての情報が屯所に掲示されたのだが、それを見たパンさんは慌てて屯所で話を聞くとすでに遺体も含めすべて回収されたことを聞く。詳しく話を聞くとそこにはリルの遺体がないことに気がつき、もしかして生きているかもしれない。パンさんは冒険者ギルドに依頼しようとしていた所だった。
「それで父さん朝から怖い顔してたのね!」
「悪いなお前には知られたくなくてな、顔に出てたか」
パンさんにはどう話をして良いものか、考えつつも今までの経緯を正直に話した。
「そうか、リルちゃんも辛いだろうが、挫けちゃいけね〜ライドンはリルちゃんの幸せを願っている。もちろんおじさんも協力は惜しまないからな、住むところとか食べ物も気にするな。ずっとここにいても良いんだからな」
「パンさん……ありがとうございます。大丈夫です。私は父…ライドンの娘です。絶対に負けません!」
「うんうんそうだな。あいつは諦めが悪い男だった。……ん!リルちゃんまさかライドンの意思を継いで」
「はい、父さんの夢は国一番の商人になることです。それは同時に私の夢でもあります。だから諦めるつもりはありません。父さんの分も私が夢を叶えてみせます」
パンは呆然としたが、ライドンの娘だと思うと自然と納得できた。そしてライドンの事を思い出しリルを応援したいと強く思った。




