第75話 メイドのルビー
「ご主人様、お目覚めになりましたか」
「あー痛くない、ジャンヌが治してくれたのか?」
頭を擦りながら起き上がる。
「すいません、私また暴走しちゃって」
リルが膝枕をしてくれてたのか、通りで寝心地が
良い訳だ。
「リル、気にすんな!誰にでも苦手なものはある」
「エッチ、へんた〜い、スケベ太郎!」
「おい!おまえ、変な言いがかりはやめろ!」
さっきのメイドが自分の身体を抱くように腕を動かしモジモジしてとんでもない発言を言っている。
「何で普通に動いてるんだよ!お前が悪霊か!」
タッタッタとメイドは歩いてくると
「えい」鋭い拳が俺の頬を殴った。
「痛ってぇー何すんだ!」
「え!?……イラッとしたので……」
真顔で答えるメイド
「アタタ、何だ悪霊じゃないのか?悪かったけどいきなり殴ることはないだろ………ジャンヌそれ以上はするなよ!」
メイドの首元には鈍く光る剣先が、
「ご主人様に手を出すとは万死に値する。
今すぐお前の首を切り落とす!」
「だから、やめろっての」
俺はジャンヌの頭を軽くコツンと叩いた。
ジャンヌは「へっ?」とした顔でこちらを見ている。だから美人は得だな〜も〜。
俺はジャンヌからメイドに向き直し。
「それでお前はなんなんだ?人……ではないと思うんだが」
正直見た目は人としか思えないのだが、何故か生きる者の気配がない……いや薄い気がする。
「わたしは女神テュケ様が作ったゴーレムです」
はぁ?…テュケ………駄女神じゃん!
「そうか…駄めが…じゃなくて女神テュケのゴーレムね!それで何でこんなところに居るんだよ?」
「ここにいる理由はわかりませんね……確かテュケ様に紅茶を出そうとしたところでお腹が減ってスリープモードに入り寝てたらここに居た感じです」
きっとこいつもアホなんだな。
「そうか、それでやっと回復出来て動けるようになったわけだ」
「そうです!そこに居る。物騒な聖女から発せられる殺気…ではなくて、聖なるオーラが私の目覚めるきっかけになったみたいですね。個人的にはあと100年くらい寝たかったのですが」
こいつ…ぐうたらする気満々かよ!
100年は寝過ぎだぞ!
「そうか、分かった。今回の案件に関係ないなら100年でも200年でも好きに寝ろ!それじゃーおやすみ〜」
俺は手を振って後退りすると、
……「ガシッ」肩を掴まれた。
「なんだ、まだ用でもあるのか?」
俺が振り向くと………「?」…「そこには誰も居ない……」しかし何故か肩には握られた感触があるので肩に目線を移すと、「何で手がここにある?」
「おい!ワザとか?手だけ飛ばしてくるな!ホラー感があり過ぎてリルが怖がるだろ」
「ロケットパーンチ」真顔で冗談いうな!
「少し話があるから聞いて」
「悪いな俺達は早く悪霊を探して除霊したいんだよ。つまり忙しんだ」
「わたしなら分かるよ。教えてあげよっか?」
「マジでラッキー、教えてくれー」
「エーータダではム〜リムリですかね ┐(´ー`)┌」
コイツ、態度が腹立つな!女神仕込か!
「どうすれば良い」
「話は後でする。急ぎならまずはそっちから片付けする!」
テクテクテクとそのままメイドは歩いて行った。
俺達は仕方なくついて行く。
「うさぎの人形……これだけ種類が違うな!」
「あれは……覚えがありませんな、私が買ってきたものではありません。先代の物かもしれませんな」
ファビー伯爵は首を傾げる。
「ククッ…なんだバレてしまったか」
うさぎの人形がカタカタと動き喋りだした。
「人間どもめ、おまえ達は我らを見てふるえあかっておれば良いものを、仕方がない我が直接遊んでやろう。ボロボロになるまでな、ケタケタケタケタ」
「お前は悪魔だろ、何でこんな所に居るんだ?」
「フッ教えてほしいか、それガ……」
「じゃま!」
メイドは「ペシッ」と悪魔の頭を叩くと消し飛んだ。
「おい!なんで殺したんだよ!」
「邪魔くさかったから?」
「そんな理由で殺すな!なんか言いかけてたぞ!」
「じゃ〜メイドだけに掃除しないといけないので?」
「真顔でふざけんな!お前は殺し屋か!」
「は〜、冗談も通じないとはヒト族は堅物になったものです」
「はいはい、もう良いですよ!」
とにかく原因は突き止めて排除した。つまり解決!わざわざ面倒なこいつを相手にするのは止めだ、この屋敷は俺達のもの、ここからはウキウキモードに変更だ!
「よ〜し、それじゃ〜帰るか!」
「ガシッ」………「なんだよ!冗談はもう良いぞ」
肩を再び掴まれた。今度は振り向いてやらん!
「逃さない」
「げ!?何する離れろ」
メイドは俺の腰にしがみつきやがった。
何のつもりだ!
「まだ!話をしてない!だから逃さない」
「……そう言えば、さっきなんか言ってたな。
なんだよ!聞くから離れろ」
メイドは話を聞くと言うとすぐに離れた。
「それで話ってなんだ?大したことは出来ないぞ」
「傍にいてほしいの!」
メイドは可愛らしいポーズで甘えるような声を出す。
「嘘くさいわ」
「あて!?」
俺はメイドにゲンコツをかました。
「酷い!女の子にゲンコツとかひっど〜い!」
「うっさいわ!いちいちからかいに来んな!」
「そう言ってもしばらくは離れることが出来ない!」
「なんでだよ!」
「お腹が空くから」
「…………は!?言ってる意味が分からないもう少し分かりやすく説明してくれ」
「私は現在ギリギリの魔力で稼働している状態なのです。あと一日もしないうちにスリープモードに移行してしまうのです。つまり腹が減ったら戦は出来ぬ!」
「何が出来ぬ!だよ。つまり魔力不足だから魔力をよこせってことだろ」
「そんなところでしょ┐(´ー`)┌」
いちいち仕草が腹立つ。
「それで、どのくらい魔力を渡せばいいんだ。一応魔力には余裕があるから、たぶん大丈夫だぞ」
「それはちょっと難しい、しばらく一緒に居てくれればいいです」
「いや、いちいち一緒に居なくても魔力をやるって」
「無理なんだな〜これが w(°o°)w」
イラッとする。こいつわざとやってるな!
「それでは説明します。簡単に言うと変換効率が良くない。貰った魔力が10として1も自分の魔力に出来ない。大量に貰ってもただの垂れ流しになる」
「つまり徐々にしか回復出来ないと」
「そうそう、だからしばらく近くに居れば回復出来るから傍にいさせて欲しい」
「はぁ〜」ため息をつきつつ、何となくだが何を言っても離れなさそうだ。仕方ない。
「良いぞ。その代わり働いて貰うからな!メイドだしせっかくだからこの屋敷の管理を頼む。掃除とかな」
「分かった。それなら得意分野、任されよう!」
それから俺達はパンさん達に挨拶をして屋敷で住み始めた。家を出た時はチーちゃんに泣かれちゃった。毎日会うことになるからそんなに寂しがることないよと言って説得した。
…………………▽
屋敷住み初めての最初の食事で事件は起きた。
「う…ま…い………ガクッ」
レイチェルがフォークを片手に倒れた。
「う、美味い!?」
いつも騒がしく食べるレイチェルが気を失う程の感動を与える美味しさ、駄女神が造ったゴーレムだからドジっ子キャラになるかと思っていたのに驚きだ!?
「美味かったよ。ルビーどうしたらこんなに美味くなんるだ!」
「最高の味を出せなければテュケ様の食事係になれない。私は料理の腕を磨きまくった」
「成る程、なんかうるさそうだもんな、あの女神」
「テュケ様は食事だけはこだわりが強い方でした。ウザかったです。部屋はすぐに汚すし、ウザかったです。部屋は汚れていても気にしないので、たまーにほっときました」
「ルビー……やっぱり駄女神なのか?」
「駄女神ですよ!天界では常識です」
「そうか……常識なんだな、それならなんで女神なんて」
「力」………「テュケ様は天才ならる神才!天界でその力に叶うものがいないと言われる程に強い力……………『運』によって女神になったのです」
「ルビー……………ふざけてるの?それとも本気?」
「本気も本気です。『運』より強い力がどこにあるというのてすか〜」
ルビーの言うことは分からなくはないが、『運』だけで女神なられても困るんだがな〜。
「話が変わりますが、あちらは宜しいのですか?」
「あ〜あれね……今はどうにも出来ないかな」
俺は少し困った顔で答える。ルビーの目線の先にはリルとジャンヌが居た。どうもあまりの美味しさにショックを受けているようだ。俺としてはルビーの料理は確かに激ウマではあるがリルとジャンヌが作るメニューとは別物、ルビーが作るのは高級料理でリルとジャンヌが作るのは心をホッとさせる家庭料理、そんな感じだから気にしなくてもいいのだが、かける言葉が思いつかん。
「あの〜本当に宜しかったのですか、一緒に食事を
しても……」
お!ジャンヌが目を覚ましたな。ただまだ言ってるよ。ジャンヌは真面目すぎるんだよ!
「ジャンヌ異論は認めないぞ!俺達は一緒に住んでいる家族なんだ!式神も含めてだ!」
「しかし、恐れ多いといいますか……」
「恐れ多いって……ジャンヌ……風太先輩を見ろ遠慮など微塵もない」
風太は食べ慣れない高級料理を一心不乱に食べている。
「ん?なんだまだ言ってるのかジャンヌ、お前は間違っているぞ!確かに主人に従うことは重要なことだが、お前は蒼字の事を本当に考えているのか?」
「もちろんです!ご主人様に為に……」
ジャンヌは強い思いで風太に告げる。
「それならば、ジャンヌはまず蒼字のことをもっと知れ、お前に足りないのはまずはそこだ!それさえ出来ればジャンヌ、お前は蒼字にとって最高の式神になれるであろう」
「!?……分かりました風太先輩!私、やります」
「良し、私もジャンヌを応援しよう」
「はい、ありがとうございます」
なんかあそこで勝手に盛り上がってるけど、俺が言いたい内容からズレてるから、もっと気軽に行こうぜ!ジャンヌの場合堅苦しいとかむず痒いとか、あと俺ってそこまで大したことしてないよ!ジャンヌの方がすごいんだからね!他の人が知ったら、俺どうなるのよ。
「なかなか面白いパーティてす」
「お!ルビーもそう思うか、フッ……俺は結構好きなんだよ。お前もしばらくはパーティの一員だから宜しくな!」
俺は軽く笑いルビーに握手を求めたかった。
「承知しました」
ルビーは俺の手を握ってくれた。




