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第72話 美しき化け物


「あら、もう来てくれたの?」

 セレーナ様が二人に声をかける。


「ねえさん、いくら何でも不用心過ぎるよ。あんな事があったんだからじっとしててよね」

 細身で長身の男がセレーナ様と話をしているけど、知り合い…だよな。



「セレーナ様、この方達はどなたですか?」


「ごめんさい、久しぶりだったから、つい話し込んじゃって、この二人は私の弟よ」

 

「えっ!?」俺は驚きつつ改めて二人を見る。二人共40代後半くらいのイカしたおじさんに見えるけど。


「はぁ!?そういえば!」

 セレーナ様って見た目は30歳くらいだけど、実際は50歳オーバーだったけ。


蒼字そうじなんか変なことを考えてないかしら?」

 ついつい気になりじーっと見てしまい。変な目をしてしまったようだ。ヤバい!?


「ま〜いっか、みんなに二人を紹介するはね。こっちのガタイの良いのがレットン、そっちの長身はハーストン、二人は私の護衛のために急遽来てもらったの」

 

 俺は二人を見て成る程と思った。見ただけで分かる。この二人ならそう簡単には遅れは取らない。確かに安心してセレーナ様を任せられそうだ。


「ねえさん!なんだこのガキは、まさかこいつらとダンジョンに潜っていたとか言わないだろうな!」

 レットンが俺達を凄い目つきで威圧するように見る。


「え〜そうよ!それに何か問題でも?」


 ハーストンがその言葉に反応して前に出る。

「ちょっと待ってくれ。ねえさんは本当になにを考えているんだ!前から言ってるけどもう少し自分の身を心配してくれ、こんな子供とダンジョンに潜るなんて、どれ程危険な事か分かっているよね!」


 レイチェルはムカッとした顔をして、リルは威圧され顔をしかめる。そして俺はごもっともと納得する。


「何を言っているの?私は大丈夫だし、ここにいる人達はそんなにヤワじゃないわ。ハーストン、見た目だけで決めつけるのは良くないわよ」


「話をすり替えないでくれ、こんな子供にねえさんを……」


「ハーストン!」

 セレーナ様はハーストンが話をしている途中で止める。


「それ以上言うと怒るわよ!二人共、ここにいる人達は私の命の友人であり、パーティにも入れてくれた大切な方達なの、侮辱するようなことを言うのは許しません!」


「ハーストン」

「分かってるよ!にいさん」


 レットンがハーストンに声をかけ、ハーストンが話をする。


「悪かった。確かに強いのか弱いのか見た目で判断するのは良くなかった。謝罪する。すまなかった。これで良いかいねえさん」


「はい、良く出来ました。それじゃ一度城に戻った方が良さそうね」


「そうしてくれると助かるよ」


 セレーナ様は俺達の方に向き直し、挨拶をして、「また後でね〜」と言って二人と共に行ってしまった。



 さて俺達は……「帰るか!」




………………………▽

 

「ねえさん、本当に心配したんだからね。やっぱり他のヤツには任せられないよ!」


「ごめん、ハーストン」


「しかし、今回のことは裏で手を回されとったみたいだ。俺達を遠ざけねえさんを狙う計画だった。他にも邪教徒が混じっておったわ」


「そう、ありがとうレットン、今回のことを踏まえて何かしらの対策打つ必要性があるわね」


「ねえさんはいつも無茶し過ぎだよ!上級悪魔を多数相手にして疲労してたのに、勇者の祝福なんて、他の暇そうな聖女に任せとけば良いんだよ」


「確かに、デーモンロードを相手にしたそうだが、ねえさんが万全な状態ならともかく、かなり部の悪い戦いになったはずだ。良く無事に戻ってこれたな」


「ま〜ね、使徒様が現れたから」


「そうだ!?それだ!それは事実なのか!」

 

「落ち着いてよ。にいさん」


「お、おう、悪いついな!」


「フフッ、レットンは相変わらずの使徒様ファンね」


「仕方ないだろ。子供の時からの憧れは案外大人になっても変わんなかったんだよ!テンション上がっちゃってよ」


「どうせねえさんのハッタリだろ」


「なんだよ、そんなのか?」

 レットンはガッカリとする。


「そうね、確かにあの時は面白半分だったけど、今は本当に彼が使徒様かもしれないと思っているかな」

 セレーナは小声で言って笑顔で歩いて行った。

 

 

……………………▽


 それから数日後、ハワイラン草をラン丸薬に生成してくれる薬師を探し生産しまくりである。ラン丸薬は一個作るのに意外と時間がかかるので、商業ギルドにお願いして薬師を片っ端から紹介して貰った。おかげでかなりの量がすでに完成、あとはどうやって聖神教会に送るかだが、あれからセレーナ様からの連絡はなく、こちらから連絡を入れるのも難しく。


 どうしたものかと考えていると、


「号外、号外だよ〜」

 ん?なんだろう、俺は騒ぎの中心地に向かうと、「えっ!?」号外を配っている人に紙を貰い。見るとそこには聖女セレーナ様が明日帰国する情報が載っていた。

 これは唐突だな。急ぎの用でも出来たか?ま〜それは良いけど、ラン丸薬の件は今日中に話しておかないと、どうするかな………



……………………▽


 これが一番騒ぎになりにくいはず。

 俺は白ずくめの男もとい使徒様として城に入る。門番の人にかなり怪しまれたが事前に通行許可を判断する特別なメダルを貰っていたので難なく通して貰った。

 そのまま、セレーナ様が会ってくれるということで、兵士の方に案内され着いたのは豪華な一室。


「ごめんなさい、わざわざ来てくれたの?」

 豪華なソファに座り書類に目を通しているセレーナ様、そしてその両脇にセレーナ様の弟さんが居る。


「なんだこの怪しさしかない奴は」

 レットンさんからものすごく睨まれる。


「にいさん、またねえさんに怒られるからやめなよ。変なことしたら殺せば良いんだから」

 ハーストンさんは笑顔でえらく物騒な事を言いやがる。こえ〜……


「二人共席を外してくれない」

 

「出来るわけ無いだろねえさん。話はここでするんだ」


「もうちょっとくらい良いでしょ」


「ダメだ!悪いがコイツが敵でないと判断出来ない」


「はぁ〜ハーストンは頭固いわね!」

 ため息をついてセレーナ様は立ち上がる。


「例の件よね!ごめんなさい。見たら分かると思うけど自由が利かなくてね。今はゆっくり話をするのも難しいから悪いんだけど………ここに届けてもらえるかしら」

 セレーナ様は紙を取り、さらさらっと書くと、それを渡してくれた。そこにはラン丸薬を運搬して欲しい

住所が書かれている。


 俺は無言で頷きそのまま一礼して部屋を出ようとドアに手をかけると、「バン」っとレットンさんにドアを押さえつけられた。

 

 俺に何でこんなことをするの?と思いつつレットンさんを見る。

 

「な〜そんなに焦って帰らなくて良いんじゃないか、使徒様よ!」

 これは、俺……絡まれてる?


 俺はセレーナ様の方を向き、なんとかしてくださいと目線を送る。


「レットン、どういうつもり?」


「どうしても許せなくてな!使徒様が穢れる」

 このおっさん何言ってるの?


「ごめん、レットンは使徒様のファンなのよ。あなたが使徒様の偽物だと思ってら居ても立っても居られなくなったみたい」


「ねえさん余計なこと言うなよ!恥ずいだろが」

 レットンさんは少し顔を赤くしている。

 意外と可愛い人だ。


「……レットンさんすいません、色々と事情がありましてこれからは自粛しますね」


「つまり偽物だと認めるのか?」


「ま〜好きでやってたわけじゃないんで、たぶんこれが最後になると思いますよ」


「は〜良いだろう。何にしてもお前はねえさんの命の恩人らしいからな、今回は見逃そう」

 ふ〜良かった。許してくれないかと思ったぞ。


「じゃ〜それでは失礼しま〜す」

 改めてドアに手をかけ開けると、「ガン」っとハーストンさんに足でドアを止められた。


 今度は何なのよ〜。

 俺はジトッとハーストンさんを見る。


「少し聞きたい、あなたが使者様とは思っていませんが、話によるとエクスキャリバーを扱ったそうですね。あなたは何者です?」


「………さ〜ただの一般人でいたい人ですけど」


「……………」俺意外の3人は無言になり、

「クッ……アハハハ、も〜うどこにこんな一般人がいるのよそれは無理な願望よ!」


「えーー俺は静かに暮らそうと思ってたんですよ!」


「うふふ、ムリ!私がそうさせないと思うから」


「そっとしておいてくださいよ」

 俺がガックリしている傍で笑うセレーナ様。


「分かりました。あなたについては後々教えて頂こうと思います。今はねえさんを守る事に専念しましょう」

 ハーストンは顔に手を当てながら今回は諦めて

くれたようだけどそのまま諦めて欲しい。



……………………▽

 

 は〜終わった。

 あの二人プレッシャーかけ過ぎだよ。疲れた……


 俺は廊下を歩いていると、目の前から一人の女性が護衛を連れてこちらに歩いてくる。豪華な服装、きっと位の高い人なんだろうと思いつつ見た瞬間にわかる程の絶世の美女……そして


……………………………………………………

 なんだ!この化け物、これは人なのか?

……………………………………………………


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