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第68話 35階層 大司教リッチ


「アランさん、リッチですか」


「そうだ、だからこちらの手はある程度読まれてしまう。俺の攻撃もことごとく防がれた。今思い出しても震えが止まらない」

 アランさんの身体は本当に震えている。当たり前かアランさんはそいつに殺されたんだから……


「アランさん、聞きたいんですけど、何で元大司教って分かったんです?」


「あぁ…大司教になると特別な宝石がはめられたネックレスを授かる。私には分かる。あれは間違えなく星竜の涙だった」


 何でわかったかはわかったけど星竜の涙って何よ?


「ふっふっふ〜どうやら蒼字そうじはわからないようだね〜」

 レイチェルが教えたくて仕方なさそうなので聞いてやる。


 星竜とは聖神教会で崇めているドラゴン、数千年前に存在したと書物に残っているが誰も見たことがない伝説のドラゴン、書物によれば神の世界、天界へと上がったと言われている。

 星竜の涙は星竜が放つブレスの残骸、その残骸には特別な魔力が内包されていると言われている。


「で!その涙にどんな力があるのよ?」

 俺は肝心なことが分からないのでレイチェルに聞くが、「ん、それ以上は知らないよ!その辺の情報が案外出てこないみたいで、私も知りたいんだよね〜セレーナ」


 レイチェルはセレーナにすがるように抱きつく。


「教えて、教えて〜」


「良いですよ!」あっさり〜。


「それって教えて良いんですか?」

 

「別に良いわよ。星竜の涙には反射の効果があるの」


「反射?って攻撃を弾くんですか?」


「そうよ!ただし聖魔法のみだけどね」


 そこにアランさんが入って来た。


「だがリッチが持つことは脅威だ!アンデッド系の魔物は聖魔法に弱いが他の属性の魔法には耐性がある。しかも物理攻撃無効化だ。まさに無敵だよ」

 アランさんは膝をつき頭を抱えていた。



「セレーナ、行くな!お前まで殺されてしまう」

「………んーー大丈夫よ!なんとかなるわ」

 セレーナは少し考えて笑顔で答えた。


「何故!?そうなる。話を聞いていたよな」

 アランさんは驚きおののいているが、

「アランさん、心配するのは分かるのだけど、私はこのパーティならなんとかなる気がするのよ」

 なんかそんなこと言われると嬉しくなってニヤリとしてしまう。周りを見るとリルもレイチェルも笑っていた。


「そうだなここまで来たんだ!タダで帰れるかー!」

「「帰れるかーー」」リルとレイチェルはのってくれた。


「アランさん、そうみたいだから私達は行くわ」

 アランさんは呆然としていた。




……………………▽


「アランさんも来られるのですか?もしあれでしたらあげましょうか?」


「いや、いい、このままあの世に行くわけにはいかん!セレーナの無事を見届けんと成仏出来ん!」

 左様ですか、相手はリッチか……どちらかと言えば俺の専門の相手だけれど、アランさんの話を踏まえるとかなり厄介だから出来れば戦わずして成仏してくれないかな〜。


蒼字そうじずいぶんと浮かない顔しているけど、アンデッドと戦うのは嫌なの?」


「嫌というか……倒すより助けてあげられないかな〜と思いまして、アハハハ」


「そうね。出来れば対話で解決出来れば良いんどけど……そうよね!」

 セレーナは蒼字そうじが優しい青年だと再認識し嬉しくなり抱き締めた。


 俺は理由がわからずビックバーンに翻弄される。




 35階層に進むと特に瘴気が強く感じる場所があったので俺達はそこに向かうことにする。


「まさか、こんなところに立派な洋館があるなんて」

 目の前にある真っ白な洋館に階層主が居るようだ。俺達は何処から入ろうか迷いつつも真正面の扉から入ることにした。


 入ると中は真っ暗でほとんど見えない。


「暗いね〜ライト」

 レイチェルがビー玉サイズの玉に投げ天井にくっつくと光を照らし始めた。


「レイチェル、サンキュー……へー光の魔法か〜」


「違う!違う!あれは私が作った魔道具だよ」


「へ〜すげぇ!レイチェルは天才だな〜」


「うっ……」

 何故かレイチェルは下を向いて固まった。


「あ…、えっとレイチェルさんどうされたのかな?さっきの休憩中に食べすぎて苦しいのかな〜?」


 俺は近くに行き背中をさすってやると、

「うっうっ」再び耐えるような苦しい声をあげる。


 なんか……悪いものでも食べたかも……と考えていると、


「そうじ〜ありぐぁとう、ぞうじだけだよ!そう言ってくれるのは〜」

 

 泣きながらレイチェルに抱きつかれた。何故だ!と疑問に思いながら、レイチェルの凹凸おうとつ部分に反応、決して大きくはないが痩せ型のレイチェルはおうとつがはっきりしてなかなかである。


「レイチェルどうした?何があったんだ、うわ〜」

 今度は凸が顔面に接触、やわぃ……です。


 それからなんやかんやでリルがレイチェルを引き剥がしてくれてたので、それからなだめて落ち着かせることが出来た。



「アハハ、ごめんね!ついつい嬉しくなっちゃって」


「何が嬉しかったんだよ!びっくりしたぞ」

 不覚にもドキドキさせられたではないか!


「だってさ〜クレスとレビィは全然褒めてくれないんだよ〜。私は頑張ってるのに、あの二人が凄すぎるんだよ。だからさ〜蒼字そうじが褒めてくれて私、すっごく嬉しかったんだ!」

 レイチェルは満面な笑顔で教えてくれた。


「お、おう。それは良かった。レイチェルも普通に凄いヤツだと思うんだが、その二人はそれ以上になるとどんなやつか気になるな」


「うん凄いんだよ!二人はね………」


「お喋りはそのぐらいにしろ!何か来るぞ!」

 風太が何かを感じ取ったようだ!



「ぐぉーえ〜」

 風太………撃沈!現れたのはヘドロのような動く物体?そしてとにかく臭い!俺達も鼻をつまんでいるが、鼻の利く風太にとってはたまったものではない。


「お、オェ〜何だよこの腐敗臭!」

 フラフラとしながらなんとか意識を保ち、敵の姿を見る。


 そのヘドロのような物体の表面には悲痛な顔がうねっており、俺もそうだが全員顔が引きつらせ目を背けそうになる。


「これは怨霊の集合体です。肉体ではなく魂が腐敗して異臭を放っています。これは非常に危険です」

 

 セレーナから聖なる波動が放たれる。


「聖なる光よ、我らを守りたまえ『ホーリーエリア』」


 光の円が描かれ、俺達を包む込むと一気に異臭が無くなり。体調まで回復した。


「セレーナ様、ありがとうございます」

 俺はお礼するとすぐに走り出す。


 こいつは数十人の怨霊によって存在している。しかし必ず核となる存在がいる。そいつさえ断ち切れば、あとは拡散して消滅する。


「墨帯!からの『ステータス 転記』」

 放った墨帯は一直線に怨霊に刺さり、転記によって核の存在を把握する。


「バランさん、あなたが核ですね!申し訳ないが強制退場して貰うよ!」

 刺さっている墨帯に俺は霊力(魔力)を加え無理やり怨霊の集合体から引っこ抜いた。


「オロロロロー」

 正直何言ってるか分からんが、呪いの言葉を発しながら、バランさんの魂が現れ、俺は右腕に霊力(魔力)と想いを乗せ、


「改心せんかーー」ぶん殴った。


「オー痛ってーー」バランさんは意識を取り戻す。


「良し!チャンスだ!セレーナ様浄化をお願いします」


 セレーナは呪文を唱え……『ターンアンデッド』


 バランさんは光により浄化され消えた。その他の怨霊達はそれぞれ意識を取り戻し、セレーナ様が光の道を作ると天にあがって行った。


「も〜う、あれ臭すぎなんだよ!前の時も居たけど最悪だね」

 レイチェルは鼻をつまみながら文句を言いっている。


 俺はレイチェルを見て違和感を感じた。

「気になってたんだけどさーアランさんが戦った階層主とレイチェルが戦った階層主って違うんじゃないのか?


「たぶん違うと思うよ!私が戦ったのは聖騎士のアンデッドだったから!」


「おい!?階層主って同じじゃないのかよ?」


「ん〜一般的なダンジョンはそうなんだけど、ここは少し違うんだ!面白いよね」


「それはどういうことなんだよ?」


「簡単に言うとここは階層主は一体じゃないってこと、数体の階層主がランダムに変わって現れる」


「なんで、そんなことが?」


「それは分からない。けどレビィが言うには、ここにはダンジョンで亡くなった人の魂が集まる場所らしいから、アンデッド系の魔物が新たに生まれて階層主も複数体現れたんじゃないか、そんな感じで言ってたかな」


「確かにそうかもしれません。ここは魂を呼び寄せる。磁場の様な力を感じます」

 セレーナ様は周りの気配を感じていた。


「ん!?皆さん、恐らく別の階層主がこちらに来ます」

 セレーナ様が何かを感じ取ったようだ。


「あ〜お…お…お〜」

 アランさんが震えあがりまともに喋ることが出来なくなっている。


「コイツがアランさんを………」

 現れたのは全長3メートル程の骸骨、動きにぎこちなさはなくまるで普通の人の様に歩いている。




「久しく見た、生者か……贄となるがよい」

 こちらに杖を向けて呪詛を唱え始める。


「いけません!皆さん私の後に下がってください」

 セレーナ様は『ホーリーエリア』を展開するが俺はそこに入らなかった。なぜかと思うかも知れないが俺にはそれが大したことがないように感じた。


『呪詛返し』

 俺は筆で打ち返す。

 それがリッチの顔面に当たり、

「アギャーーアタタタタ〜」

 顔面を抑え転げ回るリッチさん。


 お〜効いてる効いてる!流石に俺の攻撃、当たればそれなりに効くみたいだな!


「な!何故私の攻撃を弾くことが出来る。何故だ!」


「お、おのれ〜『呪詛 特大玉』」

 さっきより遥かに強い呪いが飛んで来た。


『呪詛返し』俺は難なく弾く。

 今の俺の霊力(魔力)なら余裕だわ〜。


「アギャーー』

 リッチさんは目ん玉を飛ばして驚いている。


『アーアーアー苦しい〜」

 首を押さえ苦しむリッチさん。


 全員その姿を見て唖然としていた。



「くそ〜何者だ。私の攻撃が効かないなどあり得ん!」

 リッチさんはなんとか立ち直り諦めず、次の魔法を発動した。



「死霊よ集え、生きとし生ける者を喰らうのだ!」


……………『ダークイーター』


 数百の死霊を召喚し俺達を襲う。


「俺は少し変わったかもな、なんとかなりそうだ」

 霊力(魔力)を筆に集中させ筆先が白色に変わる。


『遥かなる静寂の癒しを……天の国』


 白い世界が死霊を飲み込んだ。


「それ以上動くな!リッチ、それ以上見たくない!」

 

「バ、バカな!?」

 リッチの身体を幾重もの墨帯が絡まっていた。


「諦めろ!そして魂を弄ぶな!」

 俺はトドメを刺すため筆に霊力(魔力)を再び込めた時、白い影が横切った。


 レイチェルから声が漏れた。

…「やっぱり来たんだね!今度こそ助けに来たよ!」


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