第67話 リルとセレーナの無双劇!?
ホブゴブリンが剣を振り上げリルを襲う。
リルは冷静に剣筋を見切り、ギリギリで躱してからホブゴブリンのアゴを突き上げる。
弾き飛ばした動作の隙を狙い。さらに3匹のホブゴブリンがリルを囲うように移動し攻撃を仕掛ける。
「吹き飛べ!」
「邪魔だー」
俺と風太が突撃2匹のホブゴブリンを吹き飛ばし、もう一匹はリルの右ストレートで沈黙した。
「風太、盾だ!」
炎の矢が空から降って来た。
風太は『風陣』を発動し俺達を守るように風のドームを形成、ゴブリンマジシャンの攻撃を防ぐ。
次にホブゴブリンが多数俺達を囲むように接近したので、『風陣』の形態を『風刃』に変化させ、周りのホブゴブリンを切り裂く。
「よし!チャンス」
俺は跳躍し一気にゴブリンキングに接近、
『一文字 一閃』を放つが、盾を持ったひときわ立派なゴブリンに防がれる。
「コイツなんだ?」
「そいつはゴブリンジェネラルだよ〜」
レイチェルが遠くから俺の疑問に答えてくれた。
「ギャギャ」
ゴブリンキングが跳躍し真っ赤な斧を振り上げ攻撃を仕掛けてきた。俺は筆から墨を出し剣に変形させ攻撃を防ぐがすごい力で耐えきれず吹き飛ばされた。
「こら!油断してるんじゃない」
風太が風の力を使い俺を受け止めてくれた。
「サンキュー助かった」俺は地面に着地する。
「あれ、リルは?」
着地するとリルの姿がない。まさかと思ってみるとゴブリンキングに向かって走っていた。
「やべぇ、リルが一人で向かってる。風太、リルのフォローに向かうぞ!」
リルがゴブリンキングに立ち向かう。それを防ぐためゴブリンジェネラルが再び前に出て盾を構えるが、リルはお構いなし、盾をぶん殴ると盾ごと2匹のゴブリンジェネラルは吹っ飛んだ。うぇぇ〜い!?
「今度はあなたの番です!覚悟しなさい!」
リルは懐に潜り込もうと接近、しかしゴブリンキングは斧で横に振り、リルを懐に入れさせない。
「リル、無理をするな!一旦離れるんだ!」
俺はリルに声をかけるが、特に反応を示さず再び接近、ゴブリンキングは斧をリル目掛けて振り下ろす。
「アーー」……………「パキン」
リルの拳が光ったと思ったら、そのまま素手で斧に目掛けてぶん殴る。ゴブリンキングは唖然としていた。斧の先がないのだ!?
「はぁーーー!」
懐に潜り込んだリルはゴブリンキング腹部を連打で殴る。
「ギョギョギャギャ」
苦痛の声を漏らす中、連打の勢いは止まらない。ゴブリンキングが魔石に変わるまでそれは続いた。
俺達はその姿を唖然と見る。
魔石になり対象を失ったリルは動きを停めた。
「やりました。蒼字さん〜」
嬉しそうに飛び跳ねて報告するリル、さっきまでの雰囲気は一切なく。いつもの可愛いリルの笑顔があった。俺達は驚きながらも元のリルで良かったと安心した。
「リル……身体の方は大丈夫か?」
俺は恐る恐る声をかける。
「え、何がですか?身体は…………絶好調ですけど!」
リルはなぜそんな事を言われるんだろうと思いつつも身体を動かし確認、特に問題はないようだ。
「リルちゃん、手を見せてください」
セレーナ様はリルの手を持ち確認する。
「ケガはなさそうね。リルちゃん、無茶し過ぎよ!みんなを心配させちゃダメじゃない」
セレーナ様はリルを叱る。
「ご、ごめんなさい。戦闘に入ったら周りが見えなくなっちゃって、そのまま攻撃しちゃいました」
リルは申し訳無さそうに頭を下げる。
セレーナはその姿を見てリルを優しく抱き締めた。
「い〜いリルちゃん、今みたいに危ないことをすると、私はと〜ても心配になるの、それにリルちゃんに何かあったらライドンさんが悲しむわ!だから気をつけてね」
「心配をかけてごめんなさい」
「分かってくれれば良いの、こういうことは全部蒼字に任せれば良いんだからね!」
「うん、うん、良いよ良いよ俺がやるから」
なんでやねん!っと思いつつも、リルになんかあったらと思うと怖いので任されます。
30階層の階層主を倒した俺達は休息を取ることにした。それぞれ食事、寝床の準備を分担して行う。
それにしてもさっきのリルはおかしかったか?
あんまり覗きみたいで嫌だけど確認しておくか
『ステータス 転記』
………………………………………………………………………
『リル ファフニール』 Lv:45
種族:竜人族
年齢:13
職業:商人 駆け出し
冒険者 ランクD
称号:王家の血を引く者
加護∶竜神の加護
魔法:キュア
HP:81500/81500(+0)
MP∶1000/1000(+0)
気力∶22500/22500(+0)
魔力:800(+0)
筋力:220000(+0)
耐久:40000(+15)
敏捷:12000(+5)
運 ∶300(+0)
スタミナ∶8500(+0)
技能:固有スキル 『竜神の怒り』Lv3
∶コモンスキル『竜装体術』Lv.4
『言語理解』Lv.3
『高速暗算術』Lv4
『料理』Lv5
………………………………………………………………………
以前見た時に比べて30レベルも上がってる。全体的にステータスも上昇、特に上がっているのが筋力、以前戦ったドラゴン以上ってどんだけだよ!これならゴブリンキングを倒せるのも頷ける。あとは大きな変化はないか………ん?体術が竜装体術に変わっている。これは……どういう事だ?
あれこれと考えても分からないものは分からん、とにかくリルはかなり強くなっているから良かったな。
30階層で休憩後、俺達はさらなる下層へと降ることにした。
「うぎゃー」リルの叫び声が響き渡る。
リルはあっちこっちと逃げ回っていた。
「そういえばここからはアンデッド系の魔物が居る階層でだったっけか」
リルはゾンビを見ては叫び逃げているので、暴走している。危なっかしいから墨帯で確保して、
「セレーナ様、お願いしまーす」
「はいは〜い、聖なる光よ安らかな眠りを与え給え『ホーリー』」
セレーナ様の頭上に光の玉が現れ、優しい光が周りを照らす。
「ウォロロ〜」
ゾンビ達は光に照らされ溶けるように消えていった。
「ヘェーハーヘェーハー」
冷静さを取り戻し深呼吸をするリル。
「リル、怖いのは分かるけど暴走したらダメだ!冷静な対処が出来ないのは命に関わる」
俺は厳しいかも知れないが、リルのことを思えば言わなければならない。心を鬼にして言った。
「違うんです……」
「ん、違う……何が?」
「怖いんじゃないんです。気持ち悪いんです」
自分を抱くように腕を交差させブルブルと震えるリル。
「ま〜そうだわな〜ゾンビは色々と見えちゃいけないところが見えてるからな〜あとベタベタするし……」
「ん〜〜まさかここに来て戦力外となるとは、やっぱり聖女様のご登場だね!宜しくセレーナ」
レイチェルは聖女だからと言って特別視はしない。タメ口上等いつもの雰囲気で喋っていた。
「そうね!リルちゃんのためにもに人肌脱ぎますか!」
腕を捲って気合いを見せる。
聖女様らしくないですよ〜と俺は思ったが口には
出さなかった。
「はい、護符!はい、護符!」
こちらの世界に来て初めて除霊を行った。
こんなにバリバリ動いている死体なんて元の世界には居なかったが、ゾンビ共には効果はあった。今回のフィールドは俺にとってもラッキーかも知れない。
31階層ではゾンビの軍団に襲われたが、セレーナ様が無双されて難なく突破。
32階層では同じくゾンビの軍団ではあるが、剣や盾を持ったゾンビナイトや杖を持ったゾンビマジシャンがいたが、これまたセレーナ様が無双し難なく突破。
33階層ではなんとドラゴンゾンビが現れた。これには驚いたがやっぱりセレーナ様が無双して難なく突破。
34階層ここでトラブルが発生。さっきまでのゾンビではなく。幽霊が現れた。これももちろんセレーナ様が無双することが出来たのだが、なんと現れた幽霊にセレーナ様の知り合いが居たのだ。
「アランさん、まさかこのようなところに………」
「すまんなセレーナよ!おかげで自我を取り戻すことが出来た」
40後半〜50前半の壮年の聖剣士の男が、ゆらゆらと揺れながらセレーナ様と喋っている。出て来た時は、真っ赤な目をして剣を振り上げ襲ってきたが、セレーナ様のおかげで今は普通に会話ができている。
「アランさん、あなたが行方不明になって十年が経っています。何故このようなところに……」
「偶然にも新しいダンジョンを発見してな、仲間と共に何度もダンジョンに潜っていたのだ」
「おじさん何で、ギルドに言わなかったの?その頃に発見していたらもっと早くみんなが探索出来たのに」
レイチェルは疑問に思う。
「恥ずかしながら、我々はダンジョンの素材を独り占めしようとして、ギルドには報告しなかった」
情けないとばかりに顔を下に下げる。
「おじさん酷いよ!もっと早く見つかっていたら色々な発見が出来たのに!」
レイチェルは怒っていた。しかしお前が言うな!お前こそ独り占めしていただろうが!と俺は心の中で叫んだ。
「セレーナ、35階層には行くな!いくら君でも危険過ぎる」
「アランさんは……35階層で亡くなられたのですか?」
「あ〜悔しいが、俺達のパーティはそこで全滅した。階層主のアンデッドは聖魔法が効かない」
「そんな!?アンデッドに聖魔法が聞かないなんて」
「仕方がない……相手は元大司教様だからな」
どうやら次の相手はアンデットと化した聖職者、こちらの手の内がバレていることもあり強敵になりそうだ。




