第65話 20〜29階層快進撃
俺達は現在ダンジョンの20階層に居る。以前使った転移装置?を使えばなんと20階層まで一瞬で移動出来た。これでかなり時間短縮と体力も温存出来た。
まず目指すのは………レイチェルの家。
「30階層に行くなら色々と準備するからちょっと待ってて」
レイチェルは家の中に慌てて行ってしまった。
「ここがダンジョンなのね。初めて来たわ」
セレーナ様は興味津々で周りを見回している。
「セレーナ様、ここは魔物が出ないですけど、あんまりウロウロしないで下さいよ」
「はいはい、分かりました」
聞いてるんだか分からない軽い返事をしてセレーナ様は歩いていく。不安だ。
「蒼字さん私も付いていくんで大丈夫ですよ」
「あぁ、それにしてもリルも良かったのか?この場所はリルのレベルだと結構キツイかも知れないぞ」
「大丈夫です!お父さんに武術は習ってましたから、魔物の一匹や二匹倒してやりますよ」
リルは腕を交互に動かし空手のような型をとる。
安心させるためのアピールなんだろうけど、まだまだ小さな女の子、心配しないのは無理だ。俺がしっかりと守らないとな。
「それじゃ頼むリル」
……………………▽
それからしばらくしてレイチェルが出て来た。
「ごめん、待った〜準備完了だよ」
パッと見は何も持っていないが、レイチェルはマジックバックならぬマジックブレスレットと言う物を持っており、話によるとトラック数台分の荷物がそのブレスレットの中に入っているそうだ。不思議!?
「それじゃ行くけど、みんな油断しないでくれよ。取り合えす俺が先頭で行くからみんなはついて来てくれ。レイチェルはここより下層に行ったことがあると前に聞いた覚えがある。知ってることがあれば事前に教えてくれ、セレーナ様は30階層に着いたらお願いすると思うんでアンデッドを倒してください。リルは基本援護をして貰うつもりだけど、リルでも倒せそうなヤツがいたら回すから倒してくれ。それじゃ〜まずは21階層だ」
俺達は20階層の階段を降りる。20階層の魔物はビックオーガやサイクロプス等、大型のパワータイプがうごめく階層だった。特にサイクロプスは階層ボス、まともに戦えばかなり面倒くさいと思っていたのだが……
「えーい!」
可愛らしい声とは裏腹に「ドカン」っと車でも衝突したような恐ろしく重い一撃がサイクロプスに炸裂「ドシーン」と音をたて倒れ消滅、魔石が現れると「キャ~」と歓喜の声を上げリルは魔石を手に取った。
スゲーパワー、一体どこにあんな力があるんだよ?現状は俺が敵を捕縛してから、リルが攻撃をするスタイルでやっているのだが、この階層にあっていたようで次々と倒し魔石もいっぱい、リルはウハウハしている。順調!順調!
それにしても、俺もずいぶんと強くなったみたいだ。サイクロプスを難なく捕縛出来るようになった。そうだ!久しぶりステータスを確認するか。
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『ソウジ サナダ』 Lv:43
種族:ヒト族
年齢:17
職業:冒険者 ランクB
称号:女神のうっかりの産物
∶霊能力者
∶筆使い
∶天運
加護∶女神のうっかりで祝福
魔法:なし
HP:23000(+0)
MP∶2125000(+0)
気力∶55500(+0)
魔力(霊力):148000(+0)
筋力:19800(+0)
耐久:16300(+550)
敏捷:21100(+220)
運 ∶3250(+0)
スタミナ∶9850(+0)
技能:固有スキル『書道神級』
『霊との対話』Lv.8
『除霊』Lv.8
∶コモンスキル『剣術、槍術、体術等……』Lv.4
『言語理解』Lv.2
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Lv40オーバーだぜ!スカイドラゴンがかなりの経験値になったようだ。軒並み能力アップしている。これで戦いの幅が広がるな。
あと気になるのは称号の天運、これは加護にある女神のうっかりで祝福されたことが起因しているな。祝福の儀式で俺にも恩恵があった。
まったくあの駄女神は………あざース。
それから俺達は順調に下層を進み。
とうとう25階層に着いた。
「あら?………大きいわね!首が痛くなりそう」
セレーナ様は見上げないと見えない程大きなオーガを見て、首をトントン叩いている。
「あれってなんて言う魔物なんでしょか……ビックビックオーガーでしょか?」
「いやいや、ビックビックビックオーガくらいは大きいと思うよ!」
リル、レイチェル、ビックの数で大きさを表現してるんだろうけど、名前はジャイアントオーガ、パワーとリーチの長さが問題だな。
「よーしやるか!」
「蒼字ちょっと待って、最初は私に行かせてよ」
「あ?レイチェル、良い作戦でもあるのか?」
「ふっふっふ、任せてよ!リルのあの力があればあんなヤツ楽勝だよ。だから安全にまず一撃を当てよう。私があいつを撹乱するからさ」
「レイチェル、今度は何を出すつもりだ?」
なんか、不安だ。
「ふっふっふ、私は昔から援護と撹乱が担当だからね!面白い物出しちゃうよ〜」
レイチェルが不敵に笑う。
やや失敗の匂いがするが期待しよう。
レイチェルがマジックブレスレットに手を触れると何かが出て来た。
「レイチェル、これなにかな?」
見た感じただの黒いボールにしか見えないけど……「これは名付けてボンバーガンVer.4、これは遠隔操作により指定位置に転がり移動させ起爆することが出来る優れ物さ〜。相手の誘導に使ったり、ぶつけて大ダメージ与えたりと大活躍の道具だよ」
Ver.4つまりその前に3つ同じ物があるということだよな。
「レイチェル、これは改良版みたいだが問題はないんたろうな?」
「フフッ、もちろんだよ。これを作るまでにどれだけの苦労があったか、Ver1は爆竹レベルの威力しかでなかった。Ver2は威力を上げる為、火の魔石を入れ過ぎてクレスごと爆破、あとでメッチャ怒られた。Ver3は遠隔操作が暴走してレビィごと爆破、あとでメッチャ怒られた。殺されそうになったよ」
「そして四度目の正直ってか!」
「そう……完璧さ〜」
「…………」
コイツ、きっと前のVerの時も同じ事を言っているんだろう。つまりこれは未だ成功はしていない。気をつけよう。
「レイチェル、一応確認するが動作確認はしたんだろうな」
「完璧さ〜」
ドヤ顔のレイチェル………ますます信用できん。
「わ、分かった。取り敢えずやってみろ」
「よ〜し、いっけーボンバーガン!」
ゴロゴロ転がり移動を始めるボンバーガン、見る限りでは予定の位置で停止、遠隔操作は上手く行っているように見える。これなら行けそうだな。
「蒼字大変だ!?失敗した!」
「なに!?伏線回収が早いぞ!レイチェル」
もうちょっと期待させろ!
「ボンバーガンに………充電するのを忘れていた。起爆が出来ない!」
「……………レイチェルのアホ〜」
完全にヒューマンエラーじゃないか!
ツッコミでも入れさせたいのか!
「いくぞ〜符術……火札操演」
俺はボンバーガンに火札を飛ばし、無理やり着火「ドーン」と爆発音が鳴り、ジャイアントオーガはその音に反応してそちらを向く。リルは走り出しジャイアントオーガの背後を捉える。
「はぁーー」リルの渾身の右ストレートが炸裂、ジャイアントオーガは耐えれず転倒、リルはすかさず追撃、「えいえいえーい」可愛らしい声で拳の連撃、ジャイアントオーガの雄叫び声が響き渡る。
「良し、このまま倒し切るぞ!」
俺が筆を構え術の体勢にはいるが、「シュー」と音をたてジャイアントオーガは消滅した。
「えっ!?……もう倒しちゃったの?」
「蒼字、リルちゃんかなりレベルが上がったんじゃないかしら、かなりいい音で殴ってたわよ」
セレーナ様の言う通りかもしれない。リルが一人でジャイアントオーガを倒すだけのダメージを与えてしまった。どんだけ力が上がったんだ?
「蒼字さーん見て下さい。この魔石、大きいですよ〜凄いです!」
リルは直径30cmくらいの魔石を抱きかかえている。ジャイアントオーガの魔石だな。今まででダントツに大きい。
「確かに大きいな!高く売れそうだ!」
「それくらいの大きさと魔力保有量なら5千万リオンはしますね」
「えーーーやったー!」
リルは大喜びで飛び跳ねている。ただ本人は気がついていないようだが飛ぶ高さが尋常じゃない。十数mは飛んでいる。レベルが上がってせいか、反応は可愛いが行動が伴わなくなってきた。
…………………▽
それから26〜29階層はさっきまでとは真逆大型の魔物から小型で素早い魔物の領域、ここでは案外苦戦した。攻撃が当てにくく数で攻めて来るから体力が奪われる。特にリルはさっきまで大味の戦いをしていていたからずいぶんと苦戦していた。
「えい、やー、とりゃー」
リルの攻撃は躱されているが、徐々に動きを読んで当たり始めている。
「ふっふっふ、これでも喰らえ〜『ライトニングボール』」
指先に挟んだ小型の黄色いボールをぶん投げるレイチェル、飛び跳ねる猿型の魔物に電撃が走る。
ボールの間に電気が走る仕様のようだがうっかりなレイチェルには注意して投げてもらうようあとで言っておこう。
俺は二人のフォローをしつつセレーナ様の護衛、
そして俺達はなんとか魔物の動きに適応し30階層に到達した。




