第63話 リルの秘密
いつもご愛読ありがとうございます。
今回の話も最初の20行くらいエッチ話が
入っていますので、不快に感じる方は、
飛ばして読んで頂くよう宜しくお願いします。
俺は頑張ったんだ!頑張っても世の中にはどうにもならないことがある。人とは常にそんな戦いの中で生きているんだ。負けるな俺、燃え尽きるまで抗うんだ!
「これは……穢れてしまったというべきかしら?」
「蒼字くん、あれ!聖域と精◯をかけた感じ?」
「意味わからん!かけとらんわ〜!いや……ま〜…かけましたけど……あんたらもうちょっと動揺せいや!」
暴発して謝るべきか怒るべきかわからん状態。
俺達は身体を洗い直し、改めて話をする。一花さんには、俺のことをナイショにしてもらうようお願いした。最初は反対されたが最後はしぶしぶ納得して約束してくれた。
「一花さんお願いしますよ!喋っちゃダメですからね!」
「分かってる!約束したから大丈夫だよ」
一花さんは温泉を出ていった。
「それじゃ〜私達もあがりましょうか」
「そうですね。少しのぼせました」
フラフラしながら俺達も温泉をあとにする。
次の日……
俺って基本的にこれでお役目を果たしたよな。この後どうしよう。今のセレーナ様には護衛が俺しか居ない。離れるのはマズイよな。
「どうしたのそんな悩んだ顔して?」
セレーナ様がコチラにやって来た。
「セレーナ様、この後どうしますか?」
「ん〜祝福の儀式が終わったから私は帰国する予定だけど、蒼字はついてきてくれないのよね?」
「そうですね〜待っている人が居るんで帰らないと行けないですよ」
「あら……蒼字そんな人いたのは?」
「多分セレーナ様が思っているような人じゃないですからね」
「ふ〜んつまんない!ま〜その話はいいか、この後の
ことだけど、私の新しい護衛が派遣されてはいるけどもう少し時間がかかるのよね」
「……その人って信用出来るんですか?」
「大丈夫よ。そう簡単に操られるような人達じゃないから安心して。蒼字にはそれまででいいから護衛をお願いするわね」
「了解です。それまでお守りします。セレーナ様」
「うむ!宜しい」
セレーナ様は満足そうに笑っていた。
…………………▽
「いいんですかね。こんなことして、怒られませんか?」
「大丈夫よ!謝れば許してくれるわ」
「……怒られるんですね」
俺達は城下町の商店街を歩いていた。何でこんなところに居るかというと、セレーナ様が遊びに行きたいと言ったから、最初は反対した。でも聖女の立場になると街にも出ることも出来ないとシクシクと泣き真似をするので面倒になって行くことにする。守りきればいいわけだしOKでしよう。
「ん〜〜いい天気、気持ちいわ!それにしても良い国、みんな活気があって生き生きしている。平和な証拠ね」
セレーナ様はさっき買った肉串を食べながら歩きご満悦、今はリル達が出している店に向かっている。
そうそう説明しないと、今俺は白ずくめの格好をしていない。冒険者の格好をしておりセレーナ様が代わりに変装をしている。町娘のような格好で髪型を変え眼鏡をかけている。これが意外とバレない。こんな所に聖女様が居るとは誰も思うまい。
「お!やってるやってる」
少し先に人集りが出来ている場所があった。
今日も調子良さそうですな〜。
「おーいリル、レイチェル、チーちゃん」
「蒼字さん今までどこに行ってたんですか!」
あれ?リル怒ってる!
「連絡がないから心配したんですよ!」
「いや〜手紙を置いておいただろ。しばらく帰れないって」
「それならそれで理由とかいつ帰るとか書いてくれないと心配するでしょー!」
「あ!スイマセンでした」
いかん、これは言い訳してはいけないやつだ。
「お嬢さん許してあげて、蒼字は私のわがままに付き合ってくれてたの」
「え!?蒼字さんこの人だれ………あれ?セレンさん」
俺はリルに首を絞められそうになっていたが突然リルの動きが止まった。
「……リルちゃん?リルちゃんじゃない。久しぶり」
「セレンさんお久しぶりです」
二人は突然喋りだす。え!?え!?知り合い?
「あの〜お二人は知り合いなんですか?」
「えぇ、前にお世話になった事があってね。1年くらい前かな〜リルちゃん大きくなって、もうお店を出して夢への第一歩って感じかな〜」
「はい、まだつい最近開いたばかりですけど少しは自信がつきました。前よりずっと成長出来てる気がします」
「うん、良かった。そうだ!ライドンさんにも挨拶したいんだけど、どこにいるかしら?」
俺達がやや動揺していると、リルが口を開く。
「父は先日亡くなりました」
下を向き暗い顔をするリル。
「そうなの……ごめんなさいね……そっか、ライドンさんともう一度お話したかったわ」
セレーナ様は昔を懐かしむように空を見る。
「今は蒼字さん達に協力してもらって楽しく商人としてやってます」
笑顔でリルが話をすると笑顔でセレーナ様は答えた。
それからリル達はまだ仕事中だったので俺とセレーナ様は一度離れることにした。
「驚きましたセレーナ様、リルと知り合いだったんですね」
「うん、前にこの町に来た時に城を抜け出してお世話になったことがあって」
前にも抜け出したんかい。
「ライドンさんは色んな国を廻っていたから、興味深い話が多くてね。とても面白い方だった……ライドンさんは冒険者としてもかなりの腕だったのに何があったの?」
「分かりません、相手はリルを狙っていたようですが、詳しいことは分かりません」
「蒼字はリルちゃんのことどこまで知っているの?」
セレーナ様の意味深な言葉に「特別詳しく知らないですよ。ただ随分と重たそうな称号を持っていた気がしますが」と答えてしまう。
「そう、やっぱりあの話は本当なのね。リルちゃんはライドンさんの実の娘ではないことは聞いていたけど、正直信じられないわ」
「竜皇女……リルは竜人族の王族なんですか?」
「え〜私が聞いた話が本当なら、ライドンさんは嘘をついてはいなかったのね。一体何があったらヒト族のライドンさんがリルちゃんを育てるようなことになるのかしら?」
「聞いたことはないんですけど、リルはそのことについてを知ってると思いますか?」
「いいえ、教えていないはずよ。ライドンさんはリルちゃんを自分の娘として育てたかったと言っていたから、そのことについて話していたとは思えない」
「セレーナ様は色々と聞かされていたみたいですね。そんなに長く一緒に居たわけじゃないでしょ」
「会ってすぐに私が聖女ってバレちゃったの、それでリルちゃんに何かあったらお願いしたいと言われていたの手紙と一緒にね」
「手紙?」俺は首をかしげる。
「もしも自分に何かあったらリルの事を頼むって土下座されちゃった。その手紙は今開ける必要があるわね」
「セレーナ様手紙を確認しましょう!」
「ごめんなさい。今持っていないの。戻らないと見れないわね」
それはそうだよな。常に持ち歩くものじゃないし。
「大丈夫よ!戻ったらすぐに確認するわ」
「セレーナ様お願いします。ところで話が変わるんですけど、セレンって偽名ですか?」
「もちろん、いくら変装してもそのまま名前を言ったらバレちゃうし」
「ですよね〜」
話が落ち着き別の話をしていると、
「あ〜ん、お前達か〜ここ最近デカい顔して商売をしている。バカなヤツらってのは〜」
大声が聞こえ振り向くと3人の大男が商品を蹴飛ばし壊していた。
「やめて下さい!」
リルが怒鳴って抗議する。
当然だがかなり怒っている。
「なんだ〜!クソガキ、調子に乗ってるな。いいぜ!痛い思いをしないとわからないみたいだな」
男達はニヤニヤしながら拳を振り上げ、リルに向かって振り下ろすとリルは手のひらで軽く受け止めた。
「なに!?ふ、ふざけるな!」
男は再び拳を振り上げるが、
「えいー」可愛らしい声とは裏腹に強烈な掌底が男の腹部に当たり纏めて3人共吹き飛び伸びてしまった。
リルの力は異常だからな。
ま〜ああなるわな〜。
「チッ、テメェらはどんだけ役立たずなんだ!こんなチビにふっ飛ばされるなんてよ」
そこにさらに大柄の男が現れる。話の雰囲気からすると伸びている三人の関係者のよう。男は虎の獣人で歯をむき出しにしてノシノシと重い足音をたてこちらに歩いてくる。
「おい!チビ、分かってるのか?俺達に逆らうってことはサルエム商会に楯突くってことだ。どうなっても知らないぜ」
「そんなの知りません!あなた達こそこんなことをして商業ギルドに通報されますよ!」
「ハッ、関係ないね。俺達の恐ろしさを教えてやるよ」
商業ギルドでもサルエム商会を抑えられない?弱みでもあるのか?随分と強気な発言だな。
「もう一度言ってやる。さっさと店を閉めろ」
「い、い………いやです」
リルは先程の態度に威圧され萎縮してしまうが、なんとか抵抗していた。
「ハァーア、どうやら痛い目にあいたいらしいな?」
「そうなわけないてしょ?あんたアホか?」
俺はそこに割って入った。
「蒼字さん……」
「リル、いいのか、そんな弱気じゃ国一番の商人になんかなれないぞ!大丈夫さ、こんなヤツいくら来ても、俺がなんとかするからよ」
俺は出来る限りリルを励ますつもりで声をかけたら………予想以上に効果があった。リルは「フン」っと気合を入れ自ら獣人の大男の前に立つ。
「あなたにも!サルエム商会にも負けないんだから、さっさとあっち行けバカネコ」
「ハァ!お前死んだな!」
こめかみをピクピクさせ、ネコさんは怒っている。
獣人の男は前かがみになり、リルに向かって一気に突進すると、「えーーい」リルの拳がネコさんの顔面を捉え、大きく吹き飛び建物を飛び越え見えなくなった。
「………ま〜予想通り?」
バカだね〜リルの力はドラゴン並なんだから、まともにやって勝てるわけないのに。
リルはこちらに振り向き頭を下げる。
「蒼字さんありがとうございました」
「んっ、ん〜…リル俺は何もやってないぞ、全部リルがぶっ倒してるからな」
感謝されたが、いまいち嬉しくない。
「そうですけど、ありがとうなんです!」
満面の笑みのリル。
「はぁ〜どう致しまして?」
なんと返事を返していいものかと思っていると、その姿を見てセレーナ様は笑っていた。




