第55話 聖女様との攻防?
「裏切り者?どういう事ですか!」
「聖女様が誘拐された件なんだがな。どうやら国王軍から情報を漏らした奴がいるらしい。つまり悪魔崇拝者が紛れ込んでいる」
「その情報の出どころは?」
「先日の聖女様誘拐の協力者が護衛の中に居た。そいつを取り調べて分かったことだ」
「そこまで分かったなら国王軍の裏切り者も分からなかったんですか?」
「あ〜残念ながらな、取り調べは魔道士による催眠魔法で聞き出していたんだが、途中で邪魔が入ったらしい。いきなり苦しみだしてそのまま死んだ。どうやら
情報漏えいを恐れて呪いをかけていたようだ」
「つまり聞き出せたのは裏切り者がいることだけですか、それは困りましたね!」
「あ〜だから俺達は護衛をこなしつつ怪しい奴がいれば捕縛することの依頼が追加されている」
「……オーバンさんってなんで選ばれたんですかね」
「………!?どういう意味だ?」
「え!いや……だって考えるより感じろ派の感覚派
ですよね!」
「ほーーなるほど蒼字には、俺が考えなしの馬鹿に見えるってことか!」
オーバンさんの顔が怒りの形相に変わり、さらに周りのハゲが大笑いするもんだから、余計に怒って顔が真っ赤に…………ゲンコツを頂きました。
「あ〜痛って!それでどうするんですか?」
「あ………それは〜〜蒼字が考えればいいんじゃないか」
「何ですか!結局何も考えてないじゃないてすか!」
「おう!感覚派なんで〜お前が考えろ!」
酷い!オーバンのアホ!と内心思う。
「ま〜何にしても状況を見てからですね!敵は味方側に居るとなるとしかも国王軍、俺達よりも聖女様に近い位置にいるわけだから出来れば接近しないと何とかなりませんかね〜その辺……」
「なるわけないだろ!俺達は一介の冒険者だ!仮にギルマスにお願いしても俺達には無理だ!」
「そうですよね。それじゃ〜仕方ないか、取り敢えず聖女様の近くに護衛を付けておくんで、何かあっても初動は防げます。俺達は後手になりますが、そこでなんとかしましょう!」
「どうするんだ?」
「それは企業秘密ですよ。任せて下さい」
風太を近くで護衛させれば問題ないだろう。
……………▽
そして、今は50m程離れた位置でパレードの人混みの中、これはあまり宜しくないな。さらに離れるが聖女様が見える位置に行かないと行動に支障が出る。
オーバンさん達を連れて人混みから離れて少し経つと国王軍の人が声をかけてきた。何かあったのか?
「すいませんがそちらの冒険者の方、聖女様がお呼びです。ご足労願いますか」
俺に突然声がかかった何故だ?
「あ、は〜何のようでしょうか?」
呼ばれた事に違和感を感じ動揺する。
「すいません、それはわかりませんが是非貴方に
お話があるとのことで来て頂けませんか!」
オーバンさんは俺の傍に来て、小声で、「おい、蒼字チャンスだぞ!ここで上手く取り入れば俺達ももっと近くで護衛出来きるぞ!」と言っている。いや、セレーナ様はハゲ共とは違う。つまりこれはバレたか?
俺は歩きながら考える。いやいやいややっぱり違うよな!あんな遠いところから分かるわけがない。無駄に動揺するな!逆にバレやすくなる。
俺はできるだけ自然な対応をする事を心掛けた。
「聖女様、呼んで参りました」
兵士はセレーナ様が乗っている馬車に声をかけると返事が聞こえ扉を開いた。
「ありがとう御座います」
セレーナ様は馬車を降り俺の前に立つ。
俺は慌てて挨拶をする。
「聖女様私に何か御用でしょうか?」
「はい、お会いしたかったです」
俺はゾッとして冷や汗をかく。
「は、私のようなものにお会いしたいなど、大変光栄で御座います。それでは失礼します」
そそくさと帰ろうとすると、
「あらあら、もう行ってしまうのですか?もっとお話をしたいの馬車の中でお話をしましょう」
護衛の人は驚き、それはダメではと声をかけるが
話を聞かない。
「聖女様、私のようなどこの誰だか分からない人を近くにおくのはまずいと思います。ほら兵士さんもダメだと言ってますしね!」
「いえ、良いです!入って下さい」
「しかしですね!」
「入りなさい!」
「いやいやしかしですね」
「早く入れ!」
「…………はい……行かせて頂きます」
俺は根負けして馬車に入るのだ。
馬車に入りしばらく沈黙が続き、
「はぁ〜なんで分かったんですか?」
俺は状況から判断し諦めた。
「ふふっそんな顔しないで下さい。私は貴方の顔をやっと見られて嬉しいのですよ」
「そうですか〜ご期待に応えられて嬉しいですよ」
「ふふっそんなに見つかったのが意外でしたか?」
「教えてもらえます。何でわかったんですか?」
セレーナ様は少し考えて、
「そうですね〜教えてあげても良いですけど、その前に貴方のお名前……教えて頂けますか」
「アハハ、良いですよ!もうバレちゃったんで、俺の名前は蒼字と言います。先日はお話できずすいません。色々と諸事情がありまして話すとあとで面倒なことになりそうで………」
「そうですね〜一国のお姫様誘拐は大罪ですよ!やっちゃダメです!」
俺はダラダラと汗をかく
「ふふっ大丈夫ですよ。言いませんから、命の恩人を売ったりしません。神に誓ってです!」
宣誓っといった感じで軽く右手を上げる。
「はぁ〜助かります。追いかけられるのはゴメンですからね」
俺は胸を撫で下ろした。最悪俺は逃げるとしても、もしかしたら周りの人に迷惑をかけてしまうかもしれない。本当によかった。
「ありがとう御座います。セレーナ様、それで俺をどうやって見つけたんです?」
セレーナ様は笑顔で教えてくれた。
「覚えていますか?私が貴方にバフをかけたこと」
「あ〜確かに悪魔と戦っていた時にかけて頂きましたね!瘴気の耐性とか呪いに強くなるやつですよね」
「はい、それと祝福の加護も少し与えておきました」
「それって確か勇者に与える物じゃないですか!」
「はい、実際は勇者に与えるものに比べれば遥かに弱い力ではありましたが、貴方には強く残ったようです」
「ん?つまり、運が上がっている………『ステータス 転記』」
…………「うぉーー運が1000、十倍になってる!」
俺は両手を上げ大喜びするなか、セレーナ様が浮かない顔をしていた。あれ?なんかやらかしたか……
「蒼字、貴方は自分でステータスを確認出来るようですね?しかも運気が1000ですか、どおりで貴方を見つけるのが簡単に出来たわけです」
神妙な面持ちで問いかけられるが、ステータスは完全にミスった。確か教会の司祭様以上じゃないと確認
することが出来ないはず。
「貴方には驚かされてばかりですね。先程も言いましたが貴方に与えた祝福は勇者に与えるものより遥かに弱い。それにもかかわらず運気が1000、かつて私が与えた祝福の効果で最も高いてす。四桁はなんて初めてです」
「え、そうなんですか?何でそうなるんです」
「それはわかりません。私がかけた祝福は数日ほどしか効果が出ないものでしたが………」
「え!?それじゃ下がっちゃうですか?」
そうだよな〜そんな上手くいくわけないか〜
「いえ、恐らく効果は残ると思います。蒼字さんから感じる運気は弱まる気配がなくより強くなっているように感じます」
「そうなんですか!ラッキー得した!」
いや〜セレーナ様にバレた事で一巻の終わりかと思ったけど運が上がった効果か良い方向に進んだ。
「これは神のご加護でしょうか?」
「いや!ないない!」即座に否定する。
「なぜです?」
「さ〜なぜでしょね〜」
聖女にやや失礼だったかやや不貞腐れた反応をしてしまった。
「それで蒼字さん、貴方は何者なのです?アルヴィア姫から聞いています。エクスキャリバーを持ってきたと、しかもアーサー王に頼まれて」
「あ〜偶然会って頼まれただけですよ。セレーナ様も見えますよね幽霊」
「見えますが、そこまではっきりとは、それにおかしな事があります。これはアルヴィア姫が言っていた事ですが、何故貴方がエクスキャリバーを持てるのかということです」
俺は少し考えて思った女神のおかげとか思いたくない。
「さ〜知りませんな!」
とぼけることにした。
「嘘、下手ですね!」
「日頃から嘘つかないんでね」
もちろんの如く即バレした。
そんなことより俺の話なんてどうでも良い本題の話をしないと、
「セレーナ様は聞いていると思いますが狙われています」
「聞いています。ですから貴方が来たのですよね!それなら安心です」
セレーナ様は満面の笑みを向けて言うが、今回はそんな単純な話ではない。
「言っときますけど今のところはいい考えが見つかりませんから、出来るだけ近くで護衛するくらいしかないんですよ」
「ん〜ではまずはそうしましょう」
こうして聖女様の一言で俺は聖女直属の護衛任務に付くことになった。




