第41話 盗賊退治と人質救出
目の前には少女がぐるぐる巻に縛られ椅子に座っている。
まさか盗賊ミンがこんな小さな少女だったとは想像もしていなかった。
「おい!放せよ!」
この子威勢がいいな!捕まってるのに全然怯えていない!相当強い心を持っていないとこうはいかないんだけど。
「あのさ~ちょっとは落ち着きなよ。これだと話もできないだろ」
「うっせぇ!お前と話すことはない!」
この子の目が言っていた。絶対に負けないと!
「はぁ〜じゃー勝手に話すな。俺達はさっきの獣人が持っていった剣を取り返しに来た。あとついでに盗賊ミン……君を捕まえてきたんだけど…」
「ちげよ……ミンじゃない」
「へ?」
「私はミンじゃないって言ってんだよ!」
「…………あれ?名前間違えちゃった。メンだっけムンだっけ?あかんは思い出せん」
「ちげよ!お前はアホか、私は盗賊ミンじゃない。私は娘だ!」
「え!?娘さんなの!ミンじゃないの?、でもま〜そうだよな。15年も捕まってないって言ってたし話の辻褄が合わないよな。それでなんでこんな事やってるんだ?」
「はーん、なんでそんな事お前に話さないといけねーんだよ!」
この子は素直じゃないな〜。
本当は助けてほしいくせに。
「そうなのか?さっきの話だとお前のお兄さんが捕まってるじゃないのか?助けたいんじゃないのか?」
「お前達聞いてたのか〜!」
顔を赤くして怒っている。
「え!アハハハごめんね。聞いちゃったんだ!それでなんだけど、お兄さん助けようか?」
「はぁーお、おまえな、なにいってるんだ〜……」
さっきと違って凄くしどろもどろに答えている。
助けて欲しいけど信用が出来ないから心の中で葛藤しているのかな?
「いや、だって困ってるだろお前、だから手を貸そうかって言ってるんだけど、どうよ!」
「ふん!信用できるか…………」
顔を横に向けて目を逸らすが、なんとなく分かる。
目を合わせてしまうと助けを求めたくなるから我慢するために横を向いている。本当は助けて欲しいけど素直になれないんだな。
「そうか、仕方ないな。出来れば協力して欲しかったけど、もう勝手にやるからヨロシク!」
「は!?ちょっと待てお前言ってる意味………あ、あ〜」
俺は問答無用で少女の手を掴み連れて行く。
……………………▽
俺達は黒幕のアジトに向かった。
「コラー放せ放せよ!」
うるさい少女だ。あ、そうだ……
「君、名前は?」
「名前、なんで教えないといけないんだよ!い~だ!」
「いちいちなんて呼べばいいか考えるのが面倒くさいだろ。そのくらい教えてくれてもいいじゃないか〜俺は蒼字なんでヨロシク」
「勝手に名乗るな!私はお前を信用しないからな!だから教えない!」
「は〜い分かりました。じゃ行こうか」
俺はガックリと肩を落とし前に進む。
「ちょっと待てなんでこっちに行くんだよ。お前達アイツらのいる場所がわかるのか?」
「…………………」
「コラー話を聞けーーー!」
「うるさいな〜名前すら教えてくれないのになんで答えないといけないんだよ!」
「う!そ、それはだな〜………あ〜〜分かったよ。名前は教える。だからあいつらの居場所を教えてくれ」
「お!本当か…ん?君、あいつらの場所知らないの?」
「知らないさ、私はあいつらの仲間じゃないからな。それで教えてくれるのか!」
「おう!良いぞ!あいつらのアジトは……………」
……………▽
「そうか、そんな所に、確かにあそこは王都でもあまり人通りが少くって静かな場所だ。周りにもあんまり人が住んでいないから隠れるには良いかもしれない」
少女は歯を食いしばり悔しそうにしている。
もしかしたら密かに探していたのかもしれないな。
「そんじゃ!アジトに行こうか!」
「ちょっと待て!」
え!?まだ何かあるの?
「ミンクだ!」
「………お!ヨロシクなミンク、さっさと兄ちゃん助けて飯にするぞ!」
ミンクは蒼字の対応に目をパチクリさせていた。
………………▽
アジトの前に到着、建物は2階建てのかなり広そうな建物、倉庫として使われているみたいだな。
「な〜お前達行くのはいいが、あいつらはその辺のゴロツキとは違うぞ。多分闇ギルドの連中だ!手を出したらただじゃすまない」
「ん、じゃ〜リルとレイチェルはここで待ってた方がいいか」
「絶対に行くよ!」
「私もです!そいつ等は許せません!」
道中でミンクが事件に関わった理由を聞いて二人共やる気満々、止まらないねな。こりゃー………
ミンクは兄と二人だけでとある村で静かに暮らしていた。ある日何処から漏れたのか、盗賊ミン情報を手に入れた奴らが二人を襲った。再び盗みをやらせる為に来たようだが盗賊ミンつまり彼ら二人の父は既に他界しており仕事をさせることが出来なかったが、そこで目についたのがミンクだった。彼女は『継承スキル』として父の『固有スキル』引き継いでいた。
他者に姿を変えることが出来る『見えざる者』
誰よりも早く走る『韋駄天』
この二つのスキルで盗賊ミンは15年の長きに渡り逃走し続けていた。
その力を持ったミンクは兄を人質にされ仕方なく盗むを各所で行っていた。
つまり可哀想な娘なので是非とも助けたいと全員一致したわけだが、以前の事件と同じく人質がいるので無闇に突っ込む訳には行かない。
「お!お帰り風太、中はどうだった?」
そのことをあり事前に霊化した風太を建物に送り込んで調査をさせていた。
「蒼字急いだ方が良さそうだ。こいつの兄は体調があまり良くない」
「兄ちゃんがどうしたんだ、お、教えてくれー」
俺の胸ぐらを掴む勢いで詰め寄るミンク
「落ち着けミンク、どうもお兄さんの体調が良くない。出来るだけ早く助けた方が良さそうだ」
「くそ、兄ちゃん……あいつら兄ちゃんは身体が弱いんだぞ丁重に扱うって言ってたのに!」
「ミンク急ぐんで覚悟しろ!兄ちゃん助けに行くぞ!」
「分かった!私が出来ることは何でもする」
さっきまでとは違って協力的だな、なら……
「ミンクの速さを使えば撹乱出来るはずだ状況によっては頼むわ!」
風太をお兄さんの元に送り、俺達は建物に突っ込んだ!
「誰だテメェーら、こんな事してただで済むと思ってるのかーー」
中にはいかにもゴロツキと思わせる風貌の輩が10人程居た。ちなみに突然怒っている理由はリルがドアをふっ飛ばしたから、相変わらずどこにそんな力があるの?
「はーー」
俺とレイチェルをよそにリルが無双状態、千切っては投げ千切って投げと戦っている。俺はリルを墨帯で援護しつつ敵を縛っていく。
「兄ちゃんーーー」
ミンクが高速移動で走っていく。
「ミンク待て!一人で行くな!」
俺の声を無視して奥へと進む。
ミンクを追いかけ進むと黒いマントをつけた大男がミンクの首を締めていた。
「おい、ミンクを放せよ!」
「あぁー餓鬼が生意気なことを言うんじゃない。ミンクもお前逆らってるんじゃねーよ!」
男はミンクを壁に叩きつけ、ミンクは痛みで動くことが出来なくなる。
「ミンク、そこを動くな!俺がやる」
男は首をコキコキと鳴らしながら面倒臭そうに俺に向かって腕を前に出す。
「餓鬼!生意気だって言っただろ」
「な!?」俺の身体は男の腕に吸い寄せられる。
そして直前で腕を引き顔面殴ったかに見えたが、
俺は墨帯を使って腕を止める。
「何だこれは」男は驚いていたがかまっている暇はないので、顔面に蹴りを入れた。
「ガハッ」吹き飛ぶ男
「ふん、変わったスキルを持ってるみたいだけど、引き寄せるだけじゃ、大したことないね!」
「やってくれたな!これでも喰らえ」
男はナイフ十数本を空中に投げるとすべて俺の方へ飛んできた。
「磁力かなんかの能力か?」
ま〜その程度の攻撃は墨帯で蹴散らすがな!
「バカな!俺の奥の手が………」
なんだコイツ、大したことないな。
『点撃 散らし墨』
筆を軽く振り墨が無数に飛び散る。
その墨はまるで銃の弾丸の如く男を襲い、男はぶっ飛んで気を失った。
「ミンク大丈夫か?」
俺はミンクに手を差し伸べる。
ミンクは倒れている男を見て、
「お前そんなに強かったのか?」
「ん?そうか大したことないぞ!」
俺は笑って答えた。
「そんじゃ兄ちゃんの所に行こうか」
「あ!兄ちゃん」
…………▽
「兄ちゃん………うっうっ」
ミンクは兄を見て感激し涙を我慢できずにいた。
「嬢ちゃん、気持ちは分かるがすごい熱だ!早く治療をしないといけない」
「あ!うんそうだな。ワン公の言う通りだ!早く医者に見せないと!」
「安心しろ!蒼字が居る」
…………『治癒の朱墨』
ミンクの兄にあった多数のスリ傷が治り顔色も良くなった。
「………う〜ん、すまない取り敢えずは大丈夫だけど、医者に見てもらって安静にした方が良さそうだ。体力の消耗までは回復しきれなかった」
「ううん、蒼字ありがとな!」
ミンクが初めて笑顔を見せてくれた。
「おう!良かったよ!………それとキャリーちゃんを探さないとだな!」
は〜また怒られるんだろうな〜覚悟しとくか……
俺は気が重いなかキャリーちゃんを探した。




