第40話 盗まれた伝説の剣キャリーちゃん
「あんたこれはどういう事だい」
ややご立腹なサリーさん
「えっとですね……何から話せばよいやら」
「大体あんたに任せたのは貸した本を取りに行くことだけだよ!どうしてこうなるかね〜」
「え?……あ〜そうだ俺お使いを頼まれてたんだ。アハハ、忘れていました」
「あ・ん・た・ね〜………」
サリーさんが握りこぶしをぷるぷるさせている。
おっとこれはまずい雰囲気かもしれない。
そんな事を考えていると、村人の女性達が一斉に膝をつき土下座をする。
「サリー様突然のお願い大変申し訳ありません。私達はお金も行く宛もありません。どうか私達に仕事をください。お願い致します」
「はぁ〜あんたは本じゃなくて面倒ごとを持ってきたみたいだね」
「アハハハ、すいません」
ため息をついたサリーさんにギロッと睨まれ笑って誤魔化す俺。
「あんた達立ちな!仕事はいくらでもある。やる気があるならいくらでもやるから死ぬ気で働きな!いいね!」
「「「はい」」」
村人達から気合の入った良い返事が返ってきた。
……………▽
「本当に何から何までお世話になってしまい。なんとお礼を言ってよいか」
サリーさんのはからいで明日にも仕事を用意してくれることになり当面の目標であった仕事は見つけることができた。
「気にしないで下さい。そんな大したことはしてないんで、俺は出来ることをしただけてすよ」
「そんな事はありません。私達を助けて頂いたうえにドラゴンの報酬まで頂くなんて………この恩はかならずお返しします」
「そうですか………」
「はい、もしよければ夜のお相手もしますよ!」
「えーーー!?」
「ふふふ、冗談です」
「うっ…ひどいですよ〜」
「ふふっ、いつでも呼んで下さいね!」
村人の女性はニコッと笑い一礼して帰っていった。
オレってからかいやすいのかな………
俺はそんな事を考えながら歩いていると、
いつの間にか目の前に人が立っていた。
「兄ちゃん良いもの持ってるね!」
その人は通り過ぎる瞬間ボソッと喋った。
「へ⁉」振り返るとそこには誰も居なかった。
不思議に思ったが考え事をしていたので見間違えたと思い帰宅する。
……………▽
「ただいま!」
「お帰りなさい!」
家に着くとリルが出迎えてくれた。
「サリーおばあちゃんの依頼終わった………の?」
「どうしたリル、そんなに不思議そうな顔して」
「あ!お帰り〜蒼字、その背中のイカしてるね!」
はぁ?レイチェルが言っている意味が分からず背中を触ると、「え??」おかしい……背中にはキャリーちゃんがいるはずなのだが手から伝わってくるのはゴワゴワする感触。
「………モップだ!………床とか掃除するモップだ!清掃………モップだーーーってなんでやねん!!」
俺はモップを叩きつける………がそれより!
「キャリーちゃんはどこだ!」
どっかで落っことしたか!急いで来た道を戻るが、
「いない!」
一体どこにいったんだ…………そう言えばさっきの男、アイツが怪しい!
「やるか!」……『リアルマップ 転記』………
……………「ダメか!………もしやとは思ったけど」
条件を満たしていない。つまりアイツの姿を俺はちゃんと見れていない。
先日の村人を探すことが出来ない時と同じ、
俺はその人達を知らなかった。
どうもこの力使うにはいくつか条件があるようだ。
「風太いけるか?」
「クンクン…………無理だな。こいつ途中で匂いが変わっている。何者だ?」
「そうか風大でも追えないのか……」
困ったぞ、追う方法が無くなった。
それにアイツ何者だ只者じゃない……………あ!
サクさんが言っていた盗賊ミン!
確かこの辺に潜伏しているって言ってたし、
なるほどアイツを探すのは一苦労しそうだぞ!
「じゃ〜諦めるか?」
「風太そうは行かないよ。キャリーちゃんを探そう」
「ま〜そうだな」
俺と風太は周辺を探し回るがなんの手がかりも見つけることも出来ず帰宅、みんなに相談することにした。
「そいつを見つければ良いんだよね。さっきのモップを持ってきてよ!」
レイチェルがすぐに何かを思いつく、
すぐにさっきのモップを持ってくる。
「レイチェルこれで良いか?」
「うん、これだ!これならいける」
なにか機械を取り出しモップに当てると、
そのまま外に出ていったので俺達もついて行く。
「ここは………雑貨屋だなレイチェル」
「そうここの匂いが一番強いつまり犯人はここで買った‼」
「おう!………そうだな多分、で犯人は?」
「ここには居ないようだ。それならー次だ!」
どうやらさっきの機械は匂いを検知する機械のようだ。なるほどモップから追う発想は思いつかなかった。これはイケるかもしれない。
「レイチェル、ここは?」
「犯人の匂いが次に強い場所だよ!」
「そうなのか……ここは俺が襲われた場所だな……」
「よ〜し次だ!次こそーー」
…
……
………
…………
「あれ?早かったんですね見つかったんですか?」
チーちゃんが居る……つまり家に帰ってきた。
「ごめんよ〜蒼字〜ボク無能で〜」
レイチェルは膝をつき絶望している。
いや、そこまでのことじゃないから落ち着こうか。
「匂いで追うのは無理だ!俺でも無理なんだからな」
風太からのアドバイスあざーす!
「蒼字さんサクさんに話を聞いたほうが良いんじゃないですか?なにか分かるかもしれないですし」
「そうだね。行ってみるか」
協力願いされてて逆に被害にあってるって、
なんか行くのが恥ずかしいんだけど……
サクさんが居る衛兵の詰所に向う。
俺、リル、レイチェル
「お!蒼字くん、どうした突然」
「え〜……っと実はですね」
「…………そうか蒼字くんもやられたか、確かにあの剣か立派だったから狙われたんだな!」
そうだよね伝説の剣だもん当然か……
あとでキャリーにしばかれるだろうな〜。
「そうかこれで6件目か……」
「やっぱり他にも被害者が」
「まあな!こっちも見廻りはしているんだが、被害者の話からそれぞれ犯人の姿が全然違う。男、女、大人、子供時には、老人ここまで違うと警戒するにも姿がこれだけ違うとお手上げだよ!」
「サクさん〜こないだの気合はどこにいったんですか?」
「いや……諦めたわけじゃないぞ!ゴホン」
動揺するサクさん。
う〜ん困ったぞ。他にいい方法はないか。
「蒼字さんキャリーちゃんを探すことは出来ないですか?」
リルの一言はいつも心に響くぜ!
って!俺はアホか!
なんで気が付かなかったんだ。
キャリーちゃんなら検索できる可能性が十分あるぞ!
「待ってろよ〜キャリーちゃん!」
………………▽
ここは王都より少し離れた廃墟
「ここにキャリーちゃんが居るみたい」
『リアルマップ 転記』に見事にヒット!
………現在潜伏中
「ね!ね!あそこに立てかけてるのじゃない」
「あ!本当ですよ蒼字さん」
レイチェルとリルが見ている先に輝かしく光を放つ剣が、間違いなくキャリーちゃんだ!それにしてもオーラをかなり放ってるけど、やっぱ怒ってるよな〜。
「よ〜し持って帰るか」
「蒼字さん待って下さい」
俺は立ち上がりキャリーちゃんの方に行くとリルに止められた。
「待ってたら来るんじゃないですか?盗賊ミンが」
「そうだよ!蒼字せっかくだから捕まえちゃおうよ!」
確かにここで捕まえれば今後の被害をくい止めることが出来るし、ミン捕まえてやるぜ。
俺達はドアから離れている瓦礫の隅に隠れる。
「えへへ、なんか楽しいね!かくれんぼみたいで!」
レイチェルは緊張感がない。
「レイチェル油断するなよ〜」
軽く注意をしておく。
「アハハ、ごめんごめん昔を思い出して、あの時は楽しかったな〜クレスとレビィはいつもずるいんだよ!クレスは闘気をわざと放ってさビクッとした気配を感知して探すし、レビィなんか魔法で植物を操ってツタをそこら中に伸ばして巻き付けて探すんだよ!ボクはいつも木にぐるぐる巻にされて大変なんだから」
流石レイチェルの友達、なかなかハードな遊びをしている。そんな話をして待っていると、外から人が入ってくる音が、俺達は気配を殺して隠れる。
中に入ってきたのは身長の高い髭を生やした老人の男。
あいつがミン……俺が見た男じゃない。
情報通り姿を変えることが出来るのか。
男は椅子に座りため息をつく。
コップに手をかけ口につけるといつの間にかその姿を変えていた。
「おい、嘘だろ………」
ミンの姿は少女に変わっていた。
歳はリルと同じくらいで目つきは鋭く黄色の髪を後に縛り腰の辺りまで伸ばしている。
「どうします………捕まえますか?」
リルは少し腰をあげ飛び出す準備をする。
「う〜ん、いやちょっと待って少し考えさせて………」
俺がリルを止めていると突然ドアが開き
「おい、どうだ調子は?」
長身でガタイの良い獣人の男が入ってきた。
「兄ちゃんは無事なんだろうな!」
「クッ大丈夫だよ!お前がしっかりと働いてれば何もしない。とは言っても暇だろうからあいつにも働いてもらってるけどな!」
「兄ちゃんに手出したら殺すぞー」
「はいはい、随分と反抗的だね!可愛がりたくなるだろ!」
獣人の男は少女に手をあげようと拳を向けるが直前で止める。
「ふん〜お前を怪我させても得はねえか、いいか兄ちゃんを無事に返して欲しければしっかりと働けよ」
獣人の男は盗品を持って外へ出て行った。
「…………くそ〜兄ちゃん兄ちゃん」
少女は机に顔を伏せて嘆いている。
「なんだ、脅されてるのか?」
少女はバッと顔を上げ俺から距離を取る。
「誰だ!テメェー」
「誰だはないだろ、まだ一日くらいしか経ってないぞ。俺の剣盗んでおいて」
「おまえ、盗んだ物を取り返しに………」
「もちろんキャリーちゃん救出もだけど盗賊ミン、君を捕まえにも来たんだよ!」
「ハッ、お前なんかに捕まるかよ!」
一瞬消えたかと思うほどの速さでドアへと走りノブに手をかけ開けようとするが、
「アァ〜なんだコレ、固くて動かないぞ!うーんうーん」
ノブを必死に下げてドアを開こうとしている。
『縛筆』
ノブから黒の帯が現れ少女の手を縛る。
「な!?なんだコレ、離せ離せーー」
ジタバタ暴れる少女
取り敢えず…………盗賊ミン確保だな!




