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第4話 あの可愛いリルはいずこへ?


 牢屋を脱出した蒼字そうじとリルは慎重に隠れながらに進む。しばらく牢屋がいくつか続きその先で問題が発生した。


「なにあれ!こわ」

 牢屋の先には筋骨隆々の斧を持った門番が立って居た。しかも普通の人じゃない、あれはミノタウロスだ。


「リル、あれも獣人なの?」

 なんとなくだけど気になったから聞いてみた。

「いいえ違います。あれは魔物ですけど……」


 当たり前のことだったみたいで、リルが少し呆れたような顔をしている。

 

「オホン、リルさん次はどうしようか」

 誤魔化しながら、さっき素晴らしい作戦を立ててくれたリルにまた聞いてみる。しかしリルの反応がおかしい、もしや私みたいな小さな子に聞くなんてダッサ〜と思っているのでは、いやリルはそんな悪い子じゃないはず。


蒼字そうじさん蒼字そうじさん」

 リルの表情がなぜか青ざめている。なんでだ?


 リルが指を差すその先に目線を向けると、くっさい息がかかる程近くに牛顔があった。


「うぎゃー」ミノタウロスは2体居たのだ!


 俺はリルを抱えて走る。しかし位置的に挟まれた状態になりすぐに足を止めた。


 ミノタウロスは意外にも襲いかかっては来ない。もしかしたらリルに危害を加えないように命令されているのかもしれない。


 しかし逃がしてくれるわけでもないか、徐々に2体のミノタウロスが接近してくる。これは悠長にしている場合じゃないか、俺は懐から筆を出し構える。


蒼字そうじさん?」

 不安そうな目で蒼字そうじを見るリル。


 この技は人に向けて使うなって言われていたけど、魔物なら問題ないよな!


………………▽回想

「この術は人に決して向けてはならんぞ!」


「じいちゃん今度はなに教えてくれるんだ!ワクワク」

 ※当時10歳の蒼字そうじ


「もちろんカッコいい技じゃ期待せい!だが危ないから真面目にやるんだぞ。良いな!」


「我ら霊能力者は霊と対話し浄化また状況に応じては除霊することもある。そのどちらも霊力を扱いのだが、妖怪を相手にする場合少し対応が変わってくる。

 対話が可能であれば良いのだが、殆どの場合はこちらに耳を傾けることはないじゃろう。その場合は滅する必要がでてくるが、妖怪は実体を持っていることが多い。ではどうやって倒すかだが、どう思う蒼字そうじ


「う〜ん……実体があるなら蹴るとか殴るとか?」


「そうだな間違っちゃーいないな、けどな、素手でゴリラやライオンと闘うくらいのリスクがあるからやめとけ、人とは身体能力が違う」


「え〜それじゃーどうするんだ?じいちゃん」


「霊力を実体化させるんだ。こうやってな!」

 じいちゃんの手のひらに丸い光の玉が現れた。


「おー!じいちゃんスゲー」


「そうだろうそうだろう、それじゃー 蒼字そうじもやってみるか、霊力を感じることはできるからまずは身体の一部に纏わせる練習、うまく行ったらさっきじいちゃんがやったみたいに放出して維持、最後は物に纏わせれれば一人前だ!最初のうちは難しいから日頃から身に着ける物にしろ、やりやすいから蒼字そうじなら筆とかが良いんじゃないか」


「おーし、じいちゃん俺!か○は○波か波○拳を打てるようになるぞ!」


「おお、夢は大っきい方がいいな!でもあんなの打ったらその瞬間に霊力が切れて死ぬけどな。ハッハッハ」

 


……………▽


「じいちゃん、ミノタウロスなんて妖怪みたいなもんだし問題ないよな」

 俺は筆を斜め後ろに構え霊力を纏わせる。

「リルしゃがめ、早く」

「はい‼」急いでリルはしゃがんだ。


「うまく行ってくれよ!」筆を横に一直線に引き回った。


…………『一文字 一閃』…………


 墨で空中に『一』を書くように黒の刃が飛来、2体のケンタウロスの腹部に赤い線が入り上半身がズレ落ちた。


「スッゲー」あまりの威力に自分でドン引きする。

「なんでやった本人が驚いてるんですかー」

「え!うんその思いの外ね。威力があったんでね。びっくりしてた」

 異世界に来て牢屋での出来事から身体能力が急上昇していることが分かっていた。だから今の技もかなり手加減したんだけど、それでこの威力、もう少し力の調整をしないとな。


蒼字そうじさん魔石拾っても良いですか?」

 リルが目をキラキラさせている。魔石とは?

「お、良いけど魔石なんてどこに落ちてるんだ?」

蒼字そうじさんの目は節穴ですか?それとも頭?」

 リルになんか凄くトゲのある言われかたをした。

 さっきまでの可愛いリルはどこに行ったの〜。


「魔物を倒したんですからあそことあそことにあるじゃないですか!良く見て下さい」


 ホントだ。赤い5センチくらいの宝石が落ちている。ゲームでもあるけど魔物を倒すと宝石が貰えるんだ。いっぱい倒すと大金持ちになれそう。


「な〜リル、魔石って売れるのか?」

「はぁー」今のドスの効いた声はどこからだろうな〜聞こえない聞こえない。しかしリルの呆れ顔を見た瞬間俺は崩れ落ちた。初めに会ったリルじゃない。


「その、ずっと気になってたんですけどもしかして蒼字そうじさんって勇者様ですか?」


「え?」崩れ落ちていた身体を起こし、

「いや、違うよ。俺は勇者じゃない。けど異世界人なんだ」

「やっぱり、とてもお強いですし服装も見たことないです。あと言動が頭がおかしいな人だと思いました」


「リルさんもう許してくれる。これ以上へこみたくない」

「あーーすいません蒼字そうじさんが異世界人って知らなかったのでこちらの常識がなかったんですね」


「そうなんだリル、ここを出たら色々教えてくれる」


「はい‼喜んで」

 笑顔で答えてくれた。

 最初の可愛いリルがそこに居た。

 

……………『良かった!』

 

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