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第36話 ムーラン村の惨劇


 今日も順調に商品が売れている。しかし在庫が無くなりすぐに切り上げることに本来良いことなのかも知らないが、噂を聞いて来てくれている人もいて商品をお渡しできないのは申し訳ない。


 そこで、以前から考えていた増産の発注先について商業ギルドのサリーさんを尋ねることになっている。



 俺達は店を閉め、商業ギルドへと向かった。

 


「あの〜こんにちわ!サリー様と面会の約束をしているのですが、呼んで頂けますでしょうか?」


「はい!話は聞いております。リル様、こちらへどうぞ!」


 俺達は奥の客間に通された。

 少しするとせかせかと早歩きの音がしたと思うと「バン」っとドアが開き、サリーさんが入って来た。


「お〜リル久しぶりだね〜会いたかったよ〜」

 サリーさんはリルを抱きしめる。


 前も思ったが、サリーさんはリルを溺愛している。

 何がどうなったらこうなるんだと思うほどに……



「リル、話は聞いているよ!上手くやっているようじゃないか!なかなか面白いものを売るね〜」


「サリーおばあちゃん知ってるの?」


「もちろんさね〜商売は情報戦争だよ!いつ何時どこにどの商品がどのくらい欲しいのかなんていうのが分かれば儲けられるのさ〜」


「あーお父さんも良く言ってました!」


「ハッハッハ、それは私の口癖みたいなもんさね!ライドンのやつが真似したのさ〜」

 サリーはご機嫌に笑っていた。


「それで、商品の発注先なんだが、ギルドで契約しているところがある。そこなら安心して紹介出来るし、私がひと声かければ格安だよ!」


「本当ですか!サリーおばあちゃんありがとう」

 

 ……サリーさんは本当にリルに甘い



「そんだ。ちょうど良かった!蒼字そうじとやら一つ頼まれ事をしたいがいいかい」


「は〜何でしょうか?」

 突然何かを思いついたようにサリーさんから依頼が入る。何故かニヤニヤしている気がするがま〜良いか。


「後追いにはなるが冒険者ギルドにも伝えておくから悪いんだが、ここから南西100km程先にあるムーラン村にとって来て欲しいものがある。詳しくは此処に書いてあるからすぐにお願いするよ」


「え!?すぐにですか!」

 面倒くさいな〜……けどお世話になるわけだし出来るだけ希望にはそいたいし。


「分かりました。出来るだけ早く行ってきます」


「お〜助かるよ!宜しく頼む」



…………▽

 こうして急ぎムーラン村に向うことになる。

 綺麗なところかな〜食べ物とか美味しいと良いけどな〜。などとやや浮かれていた。


 俺はワクワクしながら走っていた。

 このぐらいの距離なら今の俺ならそうはかからないな!


 異世界に来て身体能力が格段に上がっている為、軽く走っているつもりでも時速60kmに達していた。このペースなら2時間くらいで着きそうだ。

 

 ん?なんかあそこでやってるな〜?

 

 走っていると目の前には土煙が舞っていた。

 よく見ると人影が見える。行商人の荷物を狙った盗賊と護衛の冒険者が戦闘を行っているようだ。


 どうしようかな、助けたほうが………ま〜様子見するか。


 危なさそうになったら助けに入ればいいし。

 俺が入るまでもないかもしれないし。

 

 そんな事を考えて見ていると、あっさりと盗賊は倒され冒険者達の圧勝、遠くから見ていると魔法使いの女性がこちらに気が付く。


「ん?…………え~~~」

 火の玉が十数発空から飛んできた。


「おわーーー」

 ピョンピョンと跳ねて慌てて躱す。


「おーい!逃げられると思わないことだな」

 どデカい斧を振り上げ威圧する冒険者。

 ……何故こうなった。



 3人の冒険者に囲まれ逃げ場が無くなったのだが、

 どこかで見た覚えがあるような…………


「あ!あの時のう〜ん確かにガルムさんの」


「あぁ?お前オレを知ってるのか」


「あーガルムが前絡んでた子だ!」


「何だそれ?」


「ガルムがどうせ酒によって絡んだのでしょう」


 なんか3人で仲良くガヤガヤと話し合っているのは良いのだが、斧は下ろして欲しい。怖いわ!



「アハハ、ゴメンネ!盗賊の仲間かと思って……」

 この魔法使いの女性はセラさん。なんとなくだがしっかりしてそうでおっちょこちょいタイプの気がする。


「セラはいつも確認してから行動して下さい。いつもそれがきっかけで面倒事になっているんですから」

 この盾使いの長身の男性はソーラさん。恐らくこのパーティのしっかり者、物事を冷静に見て動ける司令塔役だと思う。


「そうだぞ!セラは落ち着きがないんだよ!」

「はーガルムにだけは言われたくないしー」


 今言い合いをしているガタイの良い男性はこのパーティーのリーダーのガルム。喋っている感じはお調子者だけど多分……この人はかなり強い!さっきの戦闘中、身体から出ている闘気オーラが半端じゃなかった。今まで見てきた戦士の中で一番強いんじゃないか?


 ガルムさん達はムーラン村に物資を届ける行商人の護衛を請け負っている途中と言う事でせっかくなので俺も一緒に村に向かう事になった。


 馬車に揺られブ〜ラブラ、村に着くまでソーラさんと話をしながら時間を潰す。ソーラさんはよく喋る。ガルムさんのパーティーはやっぱり凄かった。王都ラダマンテュスでは数少ないSランクパーティーで特に実績があるのはガルムさんSSランクに近い実力者でもそれならなんで護衛任務なんてしているんだろう。この依頼普通ならCランク相当の依頼のはずだけど?


「あ〜当然の疑問よね!私達あんまりランクとか気にしてないのよ。その日に美味しい料理とかお酒が飲めれば十分、つまり楽しく過ごせれば満足なわけだから、無理しない程度に依頼をこなしているわけ」


「へーそう言う人もいるんですね。俺もどっちかって言うとそっちタイプかも」


「え!そうなの?何ならパーティーに加わっちゃう」

 

「それもいいですね。けど、正式にでは無いですがパーティーメンバーみたいなのがいるんで、すいません」


「え〜そうなの残念」

 

 それからも他愛のない話から途中で話に混ざってきたガルムさんの冒険者としての心得見たいな物を聞いて楽しく過ごせた。


「お〜し村についたぞ〜」※行商人


 村は自然豊かなザ田舎と思わせる。家や田んぼがあり落ち着きそうな村だった。


「あれ?おかしいな。いつもなら呼ばなくても衛兵が声をかけてくれるんだが?」※行商人


 確かに少し静か過ぎる気がする……


 中に入ると人っ子一人いない。どう言うことだ?

 行商人の人はここの出身みたいで顔色が真っ青になっている。この異様な雰囲気に家族や村人になにかあったのではないかとを心配しているようだ。


 周りの家に声をかけても誰もいない。

 行商人のマリトさんが村長の家を確認したいと言ったので俺達もついて行くことにした。


 村長の家へ向かうとそこは血飛沫が飛びちりそこら中に惨劇が広がっていた。


「そんな〜……なんだ……これは……」

 マリトさんは地面に膝を付き呆然とする。


「これは酷い!恐らく魔物でしょう。喰い散らかしている」


「ごめん!ちょっと気分が………」

 セラさんが青白い顔をしている。


「セラとソーラはここに居ろ!マリトさんのことは頼んだ。俺が中を確認する」


「あ!俺も行っていいですか?」


蒼字そうじ無理するな!これはかなり酷い。それに中はもっと酷いかも知らない」


「えっと、多分大丈夫なんで行かせて下さい」


「あ、あ〜お前がよければいいけどよ!」

 ガルムさんの許可を得て家の中へと入る。中は濃い血の匂いが漂い。普通なら入れば体調を崩しかねないが、俺は霊とのやり取りである程度耐性があるからなんとかなる。ガルムさんも今までの経験で耐えることができるみたい、厳しい顔つきをしてはいるが体調は問題なさそう。


 気になるのはここで死んでいるのは男性ばかりで女性がいない。


「残念ながら生きてる人はいないようだ……」


「あ〜そうですね!()()()()()()はいないですね!」


 俺は奥の部屋に向かう。

 奥には呆然と膝をつき下を向いている老人がいた。


「絶望に囚われているか、仕方がないよな、すまないけど協力してもらうよ!」


「おじいさん!おじいさん!聞こえますか?」


「……………………」


 意識がしっかりとしていない!

 このままにしておけば成仏出来ず彷徨うことに……


「おじいさん!お願いだ!話を聞いて欲しい。助けたいんだ!他の村人はどこに行ったんだ!」


「お〜みんな〜すまない、無力な私を許してくれ」


 反応があった!話しかけ続けないと


「村人が見当たらない。どこに行ったか教えて欲しい」


「女、子供は攫われてしもうた。あいつがあいつが突然魔物を連れて、みんなを連れ去ったのじゃー」


 あいつ…………魔物じゃないのか?


「その人達はどこに行ったんだ!助けたい!教えて欲しい!」


「分からない!分からないんだ!すまないすまない」

 男は頭を抱えて塞ぎ込んでしまった。


 う〜んどこに行ったかわからないか〜。

 助けに行くに為には、居場所が分からないとな〜。


「おい!オレを頼るべきじゃないのか?」


「あ!風太ごめん忘れてた。でも匂いで追うってことだと思うけど、そこまで追えるのか?」


「ふん!お前は気がついていないようだが、こちらの世界に来て力を得たのはお前だけではない!」


「え!………えーーー風太もか!?」


「ま〜そういう事だ!確かに追うのは難しそうだが、やる価値はあると思うぞ!」


「そっか!やるしかなさそうだな!」


蒼字そうじ大丈夫か?一人でブツブツ喋ってるけど、一回外出ようぜ」


 ガルムさんに心配され外に出ると、セラさんとソーラさんがこちらに歩いてくる。


「どうでしたか」

「誰も生きてなかったよ!」

「ウソ!この村の人みんな死んだの?」


 3人とも暗い顔になり後から来たマトリさんは再び塞ぎ込んだ!


「あ!全員ってことはないみたいですよ!」


「え!?本当かい君!」


「おい蒼字そうじテキトウなことを言うなよ!マトリさんの事を気遣ってのことだとは思うが、あとで真実を知った時………」


「あ、いや確かに今はどうかは分かりませんが連れ去られたみたいなんで生きてる可能性があります。でも、時間が経てば経つほど生存率は下がると思うので早く見つけましょう!」


「でも、どうやって……」

 セラが不思議そんな顔でこちらをみている。


「風太!頼む」


「あ〜任された」

 忍者が現れるが如く風にまかれ現れる風太に、ガルムさん達は驚きの声をあげる。


蒼字そうじお前召喚士だったのか!」

「すっごーい初めて見た」


 ガルムさんとセラさんが驚きの声をあげ、ソーラさんは驚いた顔で固まっている。


 

「え〜っとなんかおかしかったですか?」


 ここで固まっていたソーラさんが突然動き出し凄い勢いで語ってくれた。


 話によるとこの国には召喚士は存在しない。これはある国でしか取得出来ない魔法のため使い手と会うことがかなり稀で貴重だとソーラさんが熱く語ってくれた。しかしここで一番分かったことはソーラさんが実は魔法マニアと言うことだ。


「すまない!今はそれどころではなかったな」

 少し恥ずかしいそうにしている。


「それじゃ改めて風太行けそうか?」


「あー余裕だ!早いとこ行こう。血の匂いも混じっている」


 俺達は風太の案内で攫われた村人の救出に向かった。 

 

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