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第30話 猫耳食堂


「おはよう、リルもう起きても大丈夫なのか?」

 昨日バグる程疲れていたはずだが、チーちゃんとご飯を作っていた。


「すいません、昨日はご心配をおかけしちゃったみたいで」

 アハハと笑って誤魔化すリル、まだ頭の中では商売のことを考えてるのは明白、なので俺が一時間で考えたアイディアをご飯を食べながら話そうではないか。


 などと考えていたらパンさんから的確なアドバイスを頂く。

 ①お客様のニーズに合わせた商品を売ること

  つまり何が欲しいかを知らなければならない。

 ②商品を置く場所は整理、整頓、清潔、清掃が

  出来てなければならない。

  汚ければ買わないし綺麗に並べてあれば

  目に止まりやすい。

 ③接客は笑顔で対応、心を込めて対応すれば、

  親しみやすくまた来やすい。

 ④目立て!どんな方法でも良い人の目について

  なんだろうと思わせ商品を見てもらう機会を

  増やせは買ってもらえる可能性を上げれる。

 ⑤これが最後になるが、一つでも良い。

  これはと驚かれるようなヒット商品に

  なりそうなものを売ること。

  (これが一番難しい)


 この五つを守れは商人としてはやっていける。


 ②と③はなれるだろうけど、あとの三つをなんとかしないとな!


 ①のニーズ、一体何が欲しいのか知る方法とかあるか、うーん聞き込みでもするか。


 その後リルとレイチェルとチーちゃんそして俺の4人で話し合いをすることになった。


 ①は俺とチーちゃんで今露店を出している周辺に知り合いがいるのでそこで話を聞く。


 ④の目立つに関しては任せて欲しいとレイチェルが自信満々に言うので任せることに。


 ⑤ヒット商品は俺のアイディアが採用されレイチェルが同じく製作する。


 と!言うことで俺はチーちゃんはとあるお店にお邪魔していた。


 ここの店主シナネさんに話を聞きに来た。シナネさんはこの場所で長く食堂をやっておりご近所さんとの繋がりご強く、恐らく必要とする情報を多く持っているとチーちゃんが教えてくれた。

 

「こんにちは!シナさんーー」


「あれ?チーちゃんじゃない。今日はパンさんはいないのかい?」


 ちょっとガタイの良いおばさんが出て来た。どうやらこの人がシナネさんみたいだ。しかし今はそんなことはいい、気になるのは頭についているピクピクと動く耳。

 

 ここは猫耳食堂、つまり猫の獣人が開いているお店!?


「チーちゃんこの人誰なのかしら?」


「シナさんこの方は蒼字そうじさんっていって………」

 チーちゃんがオレについて簡単に説明をしてくれた。前も思ったけどチーちゃんは年齢の割にしっかりしているな〜。


「ふ〜ん、そうなのかい。それで今日はご飯食べに来てくれたのかい」


「はい、ご飯を食べに来ました。あと聞きたいことがあってシナさんちょっと時間ありますか?」


「あ〜ゴメンネ!今忙しい時間帯だからご飯でも食べながら待っててくれる」


「あ、はい、急いではいないので食べながら待っています」




 …………▽

 ここは良いお店みたい。

 周りを見るとみんな和気あいあいと楽しそうに食事をしている。時間帯の問題か奥様方が多い気がする。

 

 周りのお客さんを見ていると頼んだ物が来た。

 頼んだのはセットメニュー、メインは鳥肉の香草焼きにシチューとサラダがついている。これで1200リオンなかなかリーズナブル。


 食べてみると……「なに⁉これは!」

 元の世界でも食べたことがあるのに、なんという旨味、まるで違う!それに焼き加減がとっても良い、鳥の引き締まった肉の歯ごたえが最高、香りがさらに食欲をそそる。


 シチュー、これも凄い!、旨味がガツンと強く感じて、ここにも肉がしっかりと入っている。口に入れるとホロホロっとくずれ柔らかい。


 サラダはシャキシャキ新鮮、ただ出来ればドレッシングが欲しいかな………


「いや〜どれも美味しい。なんかびっくりしちゃったよ」


「それは良かったでしゅ……はい、お水でしゅう」


 …………突然声が聞こえた。

 けど誰も居ない?と思ったら机の下からちょこんと手が出てきた。下を見た目ると。


「カワイイ」つい漏れてしまった。そこには可愛らしい猫耳少女が居た。ぱっと見まだ7〜8才くらいの少女、どうやらお手伝いで水を配っている。


「こんにちは、水をくれてありがとうね!」


「はいでしゅ。シーもお仕事出来るでしゅ」


 なんて可愛い生き物!なんか無性にヨシヨシ撫でてやりたい衝動にかられる。


 ほわほわと温かい気分になった。

 チーちゃんはシーちゃんと知り合いのようで仲が良いみたいだ。


 しばらくは話をしていると仕事が落ち着いたのかシナさんが来てくれた。シナさんは椅子に座りシーちゃんを膝の上に乗せて話を聞く体勢をなる。


「で、私に何のよう?」


「シナさんに聞きたいことがあって、リルお姉ちゃんがここの地区で商売を始めるんですけど、どんな物が売れるかと思って、参考に聞きたいんです」


「リル?ライドンの娘の?」


「はい」


「へーとうとうかい……でもまだ早い気がするんだけどね〜。ライドンならあり得るか……そっか……この辺で売れそうな物ね〜」


 アゴに手を当て少し考えている。


「ここって一般の主婦が多いから家事に使えそうなものが良いと思うけど、あんまり高価だと売れないわよ」


「つまり料理とか洗濯、掃除に役に立ちそうなものが継続的に売れると」


「そう、水場の仕事とか手が冷たくって、それに料理の下準備が大変に感じてる人が多いかな」


「なるほどなるほど……参考になる」



「おい!シナ〜、店を畳む準備は出来たかー!」


 突然入口の方から大声が聞こえた。

 入口の方を見ると身長が小さめのおっさんが態度を大きくして数人の男を引き連れ入って来る。


「はぁ〜またかい!ダズ、また頬を腫らせたいのかい」


 タズと言う男は頬に手を当て、

「よ〜シナ、いつまでもそんな態度取れると思うなよ!優しく言ってやってるうちに店を空け渡せば良かったんだよ!」


 シナさんは立ち上がり俺にシーちゃんを預け、入口の方へと歩いていく。


「大体こんな横暴通ると思ってるのかい!随分と安い金額でこの店を買い取ろうとするじゃないか、ま〜どんなにお金を積まれようが渡すつもりはないけどね!」


「は〜お金が出るだけ良いと思うだがね。それにここに価値などない。我々が有効活用してやろうと言ってるんだ。ありがたく思え!」


「話にならないね!さて出て行ってもらおうか!」

 シナさんはダズに掴みかかろうと腕を伸ばすと、横から図太い腕がヌーっと出てシナさんの腕を掴む。


「なんだい、あんた!邪魔するのかい」

 現れたのは犬の獣人。


「シナ〜お前みたいな野蛮なやつがいるからな〜。外に出るだけでも危なくて用心棒を付けてきたぞ。こないだみたいにはいかないから覚悟しておけ!」



 なんかヤバそうな雰囲気ですな。

 アイツらなんなんだ?


「もしかしてサルエム商会……」


「チーちゃんあいつらのこと知ってるの?」

 チーちゃんの話によると今この辺の地区で派閥を広げている組織でやり方が乱暴なうえにしつこい、衛兵を呼んでも商会のトップが大臣の息子らしく、大概のことは簡単になかったことにされてしまう為、なかなか誰も手が出せない。


 

「アァーー」………ガシャーン

 シナさんが机にぶつかり転倒、食器が散乱する。


「ママーー」

 シーちゃんがシナさんに向って走っていく。

 やべぇ!話を聞いてて手を離しちゃった。


「来るんじゃないよ!」

 シナさんの言う事を聞かず胸に飛び込むシーちゃん。



「は!大したことないな!所詮一般人、軽くひねってやるよ!」


 犬の獣人は腕を振り上げ小さな子が居るなど関係なしに殴りかかる。ひどい奴らだと思い。取り敢えず殴っておいた。アゴにクリーンヒットしたみたいで足をガクガクさせながら倒れた。


「なんだテメェ!邪魔すると痛い目を見るぞ!」


 後ろからさらにガタイの良い男達が並んで出てきたが見ただけで分かる。そこまで強くはない。ただあまり騒ぎにはしたくはないので、この間考えた新技を試して見ようと思う。


『影縛り』

 懐から一瞬筆を出し一振り、相手の影に墨を飛ばす。


「ん?なんだ……が、身体が………?」


 男達は必死な顔で動こうとするがまるで動かない。


「お、お前なにかしたのか!!」


「いえ、何もしていません」

 俺はしらを切る。


「絶対嘘だ!………あれ動く……いや勝手に動く?何だこれは〜〜〜」


「あ!お帰りですか!もう来なくていいですよ〜。それではさようなら〜」


 男達は店を出て行った。

 

 上手くいった。……『操影術そうえいじゅつ


 ただこの術初めてだからあんまり上手くは行ってない。3パターンしか指示が出来なかったから、そこら中にぶつかってるだろうけどま〜いっか!


「お兄ちゃん、ママを助けてくれてありがとう」

 シーちゃんが俺の足に抱きついて来たので、頭を撫でてもふもふ耳を楽しんだのは秘密だ!

 

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