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第25話 伝説の剣


「どうしたんですか?行かないんですか?」

 リルは俺の不審な動きに気づいて声をかける。


「あ〜うん、ちょっと待っててくれる」

 俺は幽霊の男がいる場所に足を進めた。



「どうも、こんにちは、もしかして意識があるのかな?出来れば成仏した方が良いと思うんだけど」


「そうか。やはり君には私が見えるのだな。良かった。助けてほしいのだよ」


 へぇーこれだけはっきりと意識を保っているのは珍しい、大抵は自分が誰なのかまた何をしているのか分からずボーッと突っ立てるのが浮遊霊なんだけど、この人は違う。強い思い意思があったからこそこれだけ喋れる。


「はい、出来ることならやりますよ。そうすれば成仏出来るんですか?」


「もちろんだ!何としてもアレを届けて欲しいのだ」


 アレってなんだ?


「ここから少し離れた場所に洞窟がある。そこに私の剣が刺さっているから、それを我が子孫に届けて欲しい」


「それってまだ届けることができる人なんですよね」

 見る限りこの人だいぶ昔に亡くなってる。届けてもこれなんですか?ってなるかもしれないぞ。


「大丈夫だ!きっとまだ探しているはず!『聖剣エクスキャリバー』を、これがなければ世界を救うことは出来ない!」


 ……………なんですって?

 エクスキャリバー………良く聞く伝説の剣の名前、偶然ってあるもんだな。


「ちなみにあなたの名前を聞いても」


「そうであった私の名はアーサー、宜しく頼む」


「…………あの〜それだと多分オレでは抜けないのではと思うのですが〜」


 よくある話では血筋の者じゃないと抜けないはず?



「それは問題無い、私も力を貸そう。だから是非とも頼む」

 頭を深々と下げるアーサーさん



「頭を上げてください。抜けるなら持っては行きますから」


 アーサーさんに案内され洞窟に向かう。

 リルもレイチェルも良くわかっていないが何も聞かずついて来てくれた。


 洞窟には特別な結界が張られておりレイチェルもこの洞窟を知らず驚いていた。(興奮)



 中にはかなり装飾がされ輝いている剣が岩に刺さっていた。


「これがエクスキャリバーか〜カッケ〜」

 

「この剣を持っていって欲しい。すまないが剣の柄を持ってくれ」


「はい、分かりました」

 俺は軽く握ろうと思って触ると「カタン」……「あれ?」

 エクスキャリバーは地面に倒れた。


 アーサーさんは顎が外れる勢いを超えて地面につくほど驚いている。幽霊だから出来る芸当だね!


「アーサーさんアーサーさんしっかり」

 肩を揺らし正気に戻そうとする。


「なんだね!君はもしかして私の子孫か!」


「いえ、違いますから、動揺してますね。まずは落ち着きましょうか」


 す〜は〜す〜は〜深呼吸をするアーサーさん(幽霊です)


「どう言うことだ!これは女神様に認められなければ持つことが出来ないと聞いていた。なぜ君が持つことができるのだ!」


 駄女神のせいかよ!ちなみに俺は認められて無いけどな!


「ま〜なんでも良いんじゃないですか?これ持ってけば良いんですね」


「なんか、君、急に不機嫌になっているがどうしたのかね?」


 腹パンを思い出しただけです………


「それでこれをどこに持っていけばいいんですか?」


「この国の王に渡して欲しい」


 しまった忘れてた。今までの流れでこの人、王様や〜ん!つまり渡す相手は王族の人、そんなのどうやって渡せば良いんだよ。


「頼む!それではな!」


「あ!ちょっ待ったー」

 アーサーさんは満足して消えてしまった。

 つまり成仏した。この後どうするのよ?


 俺はガックリと肩を落としリル達の方に顔を向ける。

 

蒼字そうじさんだいぶ疲れていますし、もう一日レイチェルさんの家に泊めて貰いましょう」


蒼字そうじって、役者さんなの?迫真の演技で驚いちゃったよ〜」


 リルには心配され、

 レイチェルには拍手までされ称賛される。

 今のやり取り見えてないもんな〜。

 つまり俺ってただの不審者……だよな。


 更に肩を落とすことになったが、このままだといかんと思い、信じてくれるか不安だか説明した。


 初めは何言ってるんだろうと不審な目で見られていたがリルは何故かあっさりと納得しレイチェルに至っては新しい取り組みが見つかったと興奮していた。


「でも、これを渡すのは無理だと思いますよ」

 リルの言ってることはごもっともで、俺も王族に会うなって不可能だと思う。


「うん、そうだね。それなら私が貰うっていうのはどうかな〜」


「ダメに決まってるだろ」

 エクスキャリバーが気になって仕方がないのは分かる。恐らく相当凄い剣、しかしアーサーさんとの約束があるしそう簡単には諦められない。


「ま〜何にしても、このダンジョンから脱出してから考えるとするよ。レイチェル、悪いんだけど下層に行く方法を教えてよ!」


「了解!まずはあそこ行こ〜」

 レイチェルが先程の建物を指を差し案内してくれた。


 中には階段があり、ここを降りていくと下層に行けるんだと思うけど上層への階段はどこだ?


「レイチェルどの辺なんだ?特に見当たらないけど」


「隠し扉だから普通は分かんないよ!実はこの壁の裏にある」


 レイチェルは鍵出しを壁に向けると、壁が左右に移動し隠し部屋に入ることが出来た。中には魔法陣が描かれており。やんわりと光を放っている。


「ここから一気に地上まで移動することが出来るよ!」


 なるほど!転移装置みたいなものかな、これなら安全かつ早く登れる。最高だ!レイチェル


「レイチェル本当に助かったよ!」


「え!そうそんな大したことないけどな〜」

 何故か照れるレイチェル。


「それじゃ俺達行くな!」

 

「うん〜ん」


 俺とリルが魔法陣の中に入ると徐々に光り出す。


「レイチェルさんありがとうございました」

 リルがお礼を言う。


「レイチェルまたな!気軽に来れないからちょくちょくは来れないけど、絶対また来るよ!」

 俺は手を振り別れを告げる。


 光は強くなり目の前も見えなくなってきた。

 少し浮遊を感じ光が収まっていく。

 もう移動したのか?



「………あれ?なんで居るのレイチェル」

 まだ、移動してないのかな〜。


蒼字そうじさん、ここ地上だと思います」

 リルに言われ上を見ると空だった。


「なんで!レイチェルが居るの?」


「なんか…淋しくなっちゃって…ついて来ちゃった!」


 

 なんだと!?……一年も潜ってればそうなるわな!


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