第23話 シャドウオーガと哀れなレイチェル
シャドウオーガの攻撃を後退しながら躱す。
攻撃の糸口を見つけれない俺は試しにもう一度一文字を放った。すると再び「ヒュッ」と姿が消える。俺は周囲を見渡すがどこにもいない。
「ん?」そこで違和感に気がつく。
ヤツが居た場所にある影からモコモコっと何かが移動する気配を感じる。なるほどアイツは影の中に隠れて移動していたのか!
それならヤツを影のない場所に移動させて…いやもっと良い方法を思いついた。「ニッシッシ」
影の気配を追うと予想通りそこからポコっと出て来た。確認良し。
シャドウオーガは影を飛ばしてくるがそこは冷静に受け流し相手が動き出すのを待つ。
また影に潜った。こちらに向って来る。気がついてから見てみるとよく分かる。
よく見るんだアイツの逃場が一箇所しかなくなった時を狙って………「ここだ!『一文字 一閃』」
予定通りスポンっといなくなった。
さてさて行き先はあそこだな!
来る!『一文字 一閃』
「ズバッと」胸に大きく刻まれる一撃。ダメージを負ったシャドウオーガはフラつきながら逃げる。
影のそばに行くと飛び込むように入る。しかし!
「種が分かると大した事なかったな!」
…………………『破魔のふで払い』
影魔法を無力化、シャドウオーガが飛び出る。
驚き動揺するシャドウオーガ。
ドトメだ!『一筆書き一閃 乱』
筆の乱れ書きによる連続斬撃!
シャドウオーガは黒い煙を吐いて消滅した。
「ふ〜危なかった!イレギュラーはもういいつーの」
先の戦いを含めてなんとか生き延びた。
ホッと一息ついた。
「いや〜なかなか有意義な実験だったね‼」
「レイチェル、どの辺が有意義なんだよ!(怒)」
「え⁉ そうだね〜まずは影を使う個体は始めてだし影移動はカッコよかったよね〜それからそれから」
「あ!もう良いです。有意義で良かったですね…」
レイチェルと俺では感性が合わなかった。
「蒼字さん怪我は?」
「リル大丈夫だよ。今回怪我はほとんどしてないよ。ただ神経すり減らすギリギリの戦いだったから疲れた〜」
「あ!疲れたなら休んでく?私の家すぐそこだから」
指を指し「寄ってく」みたいなポーズを取る。
レイチェル、正直関わりたくない気もするけど正直疲れて休みたい。
「レイチェル寄らせてもらうよ」
「了解!久しぶりのお客さんだ〜」
スキップをしながら門の方へと歩いていく。
リルには無言の返事をしてついて行った。
………………▽
ここは20階層、普通ならボスが居そうな場所のはずなのだが、リゾートにでも来たような素晴らしい山、川、湖………空気が美味しい〜。
「なんじゃここは………?」
呆然とする俺とリルを気にせずレイチェルはドンドンと進んで行く。しばらくすると可愛らしい家とその隣にいかにも実験棟みたいな大きな建物が立っていた。一瞬不安になったが可愛らしい家の方に案内してくれた。
家に入ると結構普通、なんか変に期待してしまった自分がいた事に少し恥ずかしくなった。
「本当に久しぶりのお客さんだよ!1年ぶりかな?」
「ここって誰か来るんですか?」
「うん、二人ね!二人共忙しいからなかなか来ないけど友達なんだ〜」
話によると二人は幼馴染みで一人は勇者、一人は大魔法師を目指し今も活躍していると嬉しそうに話してくれた。
………………▽
話は変わりこの場所について聞いてみた。
「あ〜そうだよね私は二十階層で暮らしている。目的は発明と術の開発、ここには様々な魔物が居てね。材料にも困らないし実験をしても誰も文句を言わないから良いんだよね〜」
「よくこんな危ない所で暮らせるよな。あ!そう言えば聞きたいんだけど普通なら20階層ってボスがいるんじゃないのか?」
「うん、そうだよ。でもね〜出てこれなくしたんだ〜すごいでしょ〜」
「ん⁇……そんな事出来るのか?」
「そうなんだよ!私は天才だからね!余裕余裕、これについてはまだ色々と不明点があるけどボスが生まれる過程を調べた事でボスを出現させない方法を確立したんだ!偉いでしょ〜!」
凄いけどレイチェルを見ているとそのまま賛辞を送れないのは何故だろう。取り敢えずリルと一緒に拍手しておいた。
「それで、どんな方法なんだ?」
「おいおい蒼字くんそんなこと簡単に教えるれる分けないだろ!」
「それはそうですよね。分かりました」
「仕方ないそこまで言うなら教えてあげよう!」
結局聞いてほしんだよね~…
レイチェルはウキウキワクワクしながら語ってくれた。
魔物はダンジョンから生まれる。
魔石を核として身体を魔力で生成する。
これはボスと言われる魔物も同じで魔力を素に身体ができている。それではどうすれば良いか実に簡単である。魔力が集まらない様にすれば良いだけの事、レイチェルは20階層の至る所に魔力を拡散させる装置を設置してボスの出現を阻止することに成功した。しかしここで疑問が残った。
確かにそうすればボスが現れないとは思うのだが最初にここに来た時にはボスが居たはず、レイチェルが倒したのか?
その疑問にもレイチェルは答えてくれた。
先程話に出て来た親友の二人、このダンジョンに初めて潜った時にパーティーを組んで来たらしい。この二人の協力のもと20階層のボスを倒しその後、安住の地を手に入れる為、せっせと装置を作り設置した。
このことからここは安全なのだと安心することができた。そして安心すると腹が減った。「ぐ〜」とお腹の音が鳴る。
レイチェルお腹が減ったんだけど……
「はい!」
「?」
俺の手の上には小さな錠剤が?
「レイチェル、なにこれ」
「ん?お腹空いたんでしょ!食べていいよ」
「いや、これって」
まさかレイチェル、これで終わらせるのか?
これはあくまでも栄養補助する為の物だぞ!
「はい!」
「ん!?」
目の前には皿いっぱいの錠剤。
「そっか!一個だけだとお腹が膨れないもんね!たくさん食べていいよ!バリバリ、バリバリ」
皿いっぱいの錠剤をスプーンですくって食べているレイチェルの姿を見て、俺は哀れに思ってしまった。
「リル〜〜ご飯だ!いつもよりもうまい飯を作ろう」
俺が叫ぶように言うとリルは無言で頷いた。
ご愛読して頂いた方、本当にありがとうございます。
面白く書けるよう今後も頑張っていきたいと
思います。(*´ω`*)
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