第20話 VSサイクロプス
9階層 ただいま休憩中
「な〜な〜蒼字、今のどうよ!俺の動き、縫うような小刻みな動きからの首への鋭い一撃」
リッシュは双剣を構えながら先程一人で倒したミノタウロスの話をしている。とにかくテンションが高い。それにさっきから休憩のたびに声をかけてくれるようになった。最初はキツイイメージだったが、今はフレンドリーで喋りやすい。
「みんな聞いてくれ」
オーバンさんが真剣な顔で話をする。
「とうとう次は目的地の十階層だ!この下にはあの憎きサイクロプスが居る。いいかみんなビビんなよ!」
オーバンさんは全員に気合いを入れ、それに応えるようにみんなの顔つきが変わる。俺もなんだか興奮してドキドキする。これが冒険者か〜。
オーバンさんの説明によるとボス戦は俺のイメージしていたものとは少し違った。どこか部屋みたいな所で戦うのかと思っていたけど、基本的にはボスが階層内を徘徊していていつ遭遇するか分からないらしい。もしかしたら降りた瞬間ばったりなんてこともあるから常に緊張感を持って挑まないといけない。
サイクロプスについて
一つ目の巨人、全長10メートル以上と大きく、その力はそこらの魔物とは比較にならない。ただし知能はそれ程高くないので罠などを仕掛けて倒すのが無難らしい。何にしてもAランク指定の強敵。
………………▽
10階層に到着
「静かだな」
階層内は静寂に包まれていた。基本的にはボスの魔物しかいないらしいから分からなくはないけど。しかしこの静けさが恐怖心を増長する気がして俺は喉を鳴らした。
ここからは罠を仕掛ける準備に取り掛かる。
罠に使うのは閃光箱、鉄の鎖、ネバネバ玉だ!
作戦はこうだ。
まずはサイクロプスを発見して、わざと見つかり閃光箱が仕掛けられた位置に誘導、誘導者が通り過ぎたら閃光箱を発動、相手の視界を奪い足に鎖を結び攻撃しつつ倒れさせネバネバ玉で動きを抑制、ここからはひたすら攻撃をする。
ここで一番危険なのは………
「もちろん誘導役は俺がやる!」
リッシュは自ら手を挙げるが、もちろんオーバンさんもリーザさんも良い顔はしない。
「わかってると思うけどこの中で身軽で速いのは俺だ!最も成功率が高い」
オーバンさんは一度目をつむり少し考えてから、
「分かったリッシュ頼む!」
リーザさんも心配をしているが、納得はしているみたいで何も言わなかった。
「それじゃサイクロプスを探すぞ!」
オーバンさんの号令のもと俺達は歩き出す。
突然の攻撃を受けるかもしれないと思うと慎重に動かざるおえないのだが、これが辛い常に神経を張る為、体力の消耗も激しい。
俺達は運が良かった。しばらくして岩陰でゴソゴソと寝転がっているサイクロプスを発見、まったくこっちに気がついていない。全員が笑みを浮かべる。
リッシュは待機、残りのメンバーでそれぞれ罠の準備を行い。作戦が開始された。
オーバンさんのハンドサインでリッシュが石をサイクロプスの頭に投げる。見事にヒット頭をかきながら振り向きリッシュを見つけると、立ち上がりリッシュを追いかけ始める。
「ドスンドスン」と足音を鳴らしリッシュを追いかける。サイクロプスは早くはないが一歩が大きい為みるみる追いつかれるリッシュ、しかし罠はまではあと少し、逃げ切るには十分だった。でもなぜかリッシュは足を止めてしまう。
オーバンは叫んだ
「リーーーシュ何をしている早くこっちにこーい」
しかし返って来た言葉は意外なものだった。
「とーちゃん逃げろーうしろだーー!」
オーバンは勢い良く後ろを振り向いた。
「ば、バカな!ありえねぇ〜」
オーバンは驚愕する。
後ろにはもう一体サイクロプスが居た。
サイクロプスが鉄の棍棒を振り上げオーバンさんに向かって振り下ろそうと瞬間リーザさんの魔法が顔面にあたり攻撃位置がズレる。オーバンさんは直撃を免れるが、衝撃波で吹き飛び壁に激突、動かなくなる。
「とーちゃんー!?」
リッシュの叫びが木霊するなか、リッシュの後ろからもサイクロプスが追いかけて来る。俺達は挟まれる形で完全に逃場を失った。まさに絶対絶命の状態。
「蒼字さんどうしましょ〜」
リルが悲痛な顔をしている。もちろん助ける!
「任せろリル」
たぶん今の俺ならなんとかなるだろう。
俺はまずリッシュの方に向かって走りリッシュを踏み潰そうとしている足に飛び蹴りをかます。サイクロプスはバランスを崩したところで、
『縛筆』
サイクロプスの動きを封じる。
しかし力自慢の魔物そう長くは持たない。
俺はリッシュの手を取り逃げる。
「蒼字……とーちゃんがかーちゃんが……」
泣きそうな顔で俺に助けを求める。
もちろん助けに行きますよ。
リッシュをリルのいる場所まで運ぶと、そのままもう一体のサイクロプスのもとに向かう。
リーザさんと他のハゲーズはオーバンさんの方にサイクロプスが行かないように注意を引きながら逃げている。
俺がサイクロプスの前に立つと「ギロッ」と目がこちらに向け鉄の棍棒を俺に目掛けて振り下ろす。すごい衝撃と迫力、こわ〜い。
しかしそんな事はお構いなしで俺は棍棒に乗りそのまま駆け上がり顔面目掛けて飛び蹴りを喰らわす。
やっぱりサイクロプスと言えば目が弱点だよね!
………いや考えると誰でも目は弱点か。
倒れるサイクロプスを横に、落下しながらどうでもいいことを考える余裕がある蒼字。
倒れたところをハゲーズが作戦通り鎖で縛りネバネバ玉を使って拘束、俺はオーバンさんのもとへと向かった。
その場所にはすでにリルとリッシュが居て手当てをしている。
「とーちゃんしっかりしろ!」
「リッシュ、すまね〜俺のことはいい、早くかーちゃん達と一緒に逃げるんだ」
「いやだ!とうちゃんを置いてなんていけない」
涙を流し語り合う親子、俺はリルの方を向くと
「お願いします」と言われた。
う〜んどうしようかな、オーバンさんの怪我の具合からすると動けないけど命に関わるほど重症って感じじゃない。だからよっぽど治せるんだけど二人のやり取りを見ているとなんか入りづらい。
「蒼字さん早く治さないと、どんどん家族の感動話が出て、あとで二人が恥ずかしい気持ちで落ち込むことになりそうなんですけど」
ま〜この二人あんまりそう言うこと言わなさそうだから逆に良いような気もするけど、そろそろリッシュの生まれた時の話になりそうだしもう良いかな。
『治癒の朱墨』
「リッシュが生まれた時はリーザと一緒に泣いた………あ⁉痛くないぞ」
「とーちゃん動くな!傷口が広がる」
「いや〜全然痛くないんだわ」
二人は傷口を確認する。
……………▽
「リル、俺はあと一体のサイクロプスにドドメを刺してくるからこっちはヨロシク〜」
「はい〜蒼字さんいってらっしゃ~い」
こうして10階層のボス討伐任務を達成した。
ご愛読して頂いた方、本当にありがとうございます。
面白く書けるよう今後も頑張っていきたいと
思います。(*´ω`*)
「面白かったらブックマーク、下の評価★★★★★を
付けて頂くと嬉しいです。
よろしくお願いします!(◡ω◡)」




