第113話 危機から脱出
前からは赤い人、後ろからは暴走した兵士達、前も後ろも進めないならどっちでも良いわよね。
「アルヴィア、赤い人が何なのか分かんないけど、私が絶対にぶっ飛ばすから私の後ろに着いてて」
アルヴィア姫は言われるままに後ろに下がり、陽菜乃は銃を構える。
「さっさとぶっ飛ばすわよ錬金術……ショットガン錬成」
持っている2丁拳銃を重ねるとショットガンに変形した。
ショットガンを持ちトリガーに手をかける。
弾丸は魔力、属性は火、『バーニングショット』
火球は無数に広がり赤い人へと飛んでいく。
火球が当たると赤い人は吹き飛び赤い血を撒き散らした。
「よし!全然強くないじゃん!アルヴィア行こう」
「待ってください!陽菜乃、あれを見てください」
アルヴィアに言われて見た先には赤い血がうねうねと動き集まっていく。渦を巻くように血はうねり中心から現れたのは先程の数倍の大きさの赤い人。
「チッ、再生するの面倒ね!どうせ身体の中に核となる何かがあるんでしょ、一発じゃ当てられなかったけど連射ならどうかしら『バーニングショット』
陽菜乃は巨大化した赤い人を連続で攻撃、血が飛び散り原型が無くなっていく。
「オラオラ倒れろ!倒れろ!」
完全に吹き飛ばし陽菜乃は撃つのを止める。
「はぁーはぁー、これでどうよ!」
今の攻撃で魔力を一気に消費、かなり疲労したが後ろから迫る兵士達の事を考えると一刻も早くここを突破したい。
「ちょ!うそでしょ!?」
血は再びうねうねと動き出していた。
このままだとまた再生してしまう。
『あれだけ撃っても当たらない!?……撃ち漏らしたの?」
驚きを隠せない陽菜乃、しかしそんなことをしている暇はない。追っては迫っている。陽菜乃は頭をフル回転させ思考を働かせた。
陽菜乃はショットガンから2丁拳銃に戻し、再び魔力を銃に込め始めた。
「方法を変える。弾丸が魔力、属性は雷、『雷走結界』」
放たれた二つの弾丸が赤い人の両端で止まり、弾丸から雷が発生、ドーム状に雷が走り赤い人を捉えた。
「アルヴィア、あいつは動けないからその横を抜けて
逃げよう!」
アルヴィアは頷き陽菜乃と一緒に走り出した。
……………▽
少し時を遡り
「落ち込まないでさくら、これからよ。これから!」
「ありがとうお母さん、別に落ち込んている訳じゃないの、考えてた、どうすればお母さんとシンクロ出来るのか」
「ん〜……考えても分からないけど、さくらなら出来る。頑張ろう!」
一花はファイト!!とさくらを応援する。
その時「バキッ」と大きな音が聞こえた。その音がする方向へ走るさくらと一花、その先には護衛兵が血を流し倒れており、赤い人影が部屋に入っていく姿が見え急ぎ部屋に入る。部屋の中では真っ赤な人がミネルヴァ姫に話しかけていた。
「少し見ない間にずいぶんと様変わりしましたねペトロス大臣!」
「フン!好き好んでこんな姿になった訳ではないわ!おのれアビスー!騙しよって〜許さんぞ〜」
真っ赤な姿をしたペトロス大臣は頭からぴゅーぴゅーと血を飛ばし怒っていた。
……………▽
アビスとペトロス大臣が接触した時に遡る。
「やぁーペトロス大臣ご足労させたね」
「ほぉーあんたが大司教ゾールか?まさか子供の姿とは驚きだ」
現れたのは十二歳くらいの少年、黒く長い髪を肩まで伸ばし中性的な顔、ぱっと見では美少女と思える顔立ちだ。しかし、声を聞いただけで感じるあらがえない圧迫感、ただの子供ではない。
「お願いしたいことなんだけど、連れて来て欲しんだ。ミネルヴァ姫を彼女が必要なんだ!」
「ふん!生贄か……だがそれは簡単ではないな。いくら私の立場でもミネルヴァ姫を城から連れ出す口実は作れん」
「そうだよね彼女呪いがかかっているから、出したくないか、でもそんな悠長なことを言っていても良いのかな?」
「ほぉー流石はアビスと言ったところか呪いのことを知っているとはな、だが何が言いたい。断ると何か私に不利益でも?」
「それがね、どうも取引の件を国王軍が嗅ぎつけたみたいで、ペトロス大臣のところにもこのままだと行っちゃうんじゃないかな〜って、ボク心配しちゃって!」
あっけらかんと話すゾール、
「何だと!?貴様らしくじったのか!」
怒りをあらわにするペトロス
「ん〜しくじったのがどちらかなんてどうでも良いじゃ、今はこの問題をどうするかだよペトロス大臣」
ゾールは覗き込むようにペトロスを見る。この時ペトロスは何かに飲み込まれたように承諾してしまった。
「あ!そうそうペトロス大臣にプレゼントだよ!これは君の助けになるから是非とも使ってよ!」
……………………▽
「くそ〜あの時の宝石でこんな姿になってしまったわ!ミネルヴァ姫、あんたをなぶり殺しにしたいところだが、どうやら制限がかけられているようだ、手がだせんわ!予定通り私と来て貰おう」
ペトロスはミネルヴァ姫を捉えようと腕を伸ばす。しかしまるで壁があるかのように腕が進まなくなった。
「そこまでです!ミネルヴァ姫には手は出させません!」
「なんだ!クズがまだ居たか?……ん?勇者か」
ペトロスは振り向くとそこにはさくらと一花が居た。
「ちょっとさくら、あれめちゃくちゃ怖いわよ!」
「うん、だけど助けないとだね!お母さん行くよ」
『『念動力』』
恐ろしい圧力がかかった力の波がペトロスを飲み込み壁に激突、血が壁に大きく広がり潰れた。
「ミネルヴァ姫、大丈夫でしょうか!」
「ありがとう、さくらさん助かりました」
ミネルヴァ姫は笑顔で感謝を述べる。
「シューン」鋭い赤い刃が伸びさくらを狙う。
「さくらに手は出させない!」
一花は念動力で障壁を張る。
「カキーン」と金属が衝突する音が鳴り防ぐ。
壁からはさらに追撃の刃がズーッと生えてきた。
それを見たさくらはミネルヴァ姫の手を掴み外へと飛び出した。
……………………▽
さくらの視点
部屋から飛び降りそのまま屋外に、城内を走り少しでも早く離れる。得体の知れない相手、私はミネルヴァ姫の身の安全を最優先に行動をする。
「ミネルヴァ姫、大丈夫でしょうか?」
「え〜大丈夫ですよ!城の中で引きこもっていましたがしっかりと運動もしていますし身体強化魔法くらいなら出来ますから、ご心配ありませわ」
「そう…ですか……それは助かります急ぎましょ」
あれ?どうしてだろう。前みたいな圧迫感がしない。それに凄く柔らかい笑顔、ミネルヴァ姫ってこんな人だったけ?
「さくらさん、あそこに身を隠しましょう」
「え!?……ミネルヴァ姫あそこはすぐに見つかってしまうのでは?」
ミネルヴァ姫が指差す先には少し大きめの倉庫のような建物が休む分には良いが追いかけられている今、隠れているとすぐに疑われそう。
「フフッ大丈夫です!さ〜行きましょう〜」
ミネルヴァ姫は私の手を引き倉庫の方に走る。
私は引っ張られながら何故か明るく嬉しそうに逃げるミネルヴァ姫を見て疑問に思った。




