第107話 サリーさんの呪いを殺す旅!
「大丈夫ですか!サリーさん」
蒼字は慌ててサリーさんに駆け寄ると、大丈夫だから席に戻れと一蹴された。そんな理不尽な!
「はぁー今日は厄日かい、何度驚かされるのやら、心臓が保たないよ!悪いが説明してくれるかい」
「それはちょっと……俺の口からは話せないですよサリーさん」
「それはそうかい、たださっきも言ったが私は全部している。ソフィのこともネヴィア王妃の事もね」
サリーさんから重々しい雰囲気を感じる。
「そうですか……ちなみにギルマスもご存知なのですか?」
「うん、知ってるよ!私もミネルヴァ姫の先代にあたる王族の呪いを診たことがあるからね。私じゃどうにもならなくってお手上げだったよ。この中で知らないのはキャンベルくんだけだよ」
「そうですか」
蒼字は頷き、キャンベルさんを見る。
「私は外しますね」
キャンベルさんは席を立ち上がりドアに向かうと、
「キャンベル、良いわ!一緒に聞いて頂戴」
「お姉様!それは良くないのでは?」
アルヴィア姫は慌てて止めようとする。
「良いのよアルヴィア、だって私の呪いは解けるのだから、内緒にしていても意味ないわ!」
ミネルヴァ姫はニコニコと笑顔。
「………うん、そうですわね。お姉様の呪いは必ず解きます。ですから、聞かれても問題ありませんわね!」
アルヴィア姫も笑顔で応えた。
「キャンベルさん許可が出たみたいなんで座ってください。説明しますんで」
蒼字は一口お茶を飲んで、呪いを封印した方法と今後の方針について説明した。
「そうかい、まさかそんなことが出来たとは、蒼字あんたはすごいよ!私にはあれに立ち向かう勇気はないよ」
いつもと違いずいぶんと弱々しくサリーさんが小さく見えた。
「サリーさんも呪いに関わっていたんですか……」
「私の話もしないといけないかね」
一度目を瞑り過去を思い出す。そして心を落ち着かせてから語り始めた。
サリーさんは高名な魔術師に連なる家系の一族で、特にサリーさんの母親は一族の中でも随一と言われていた。ある日、王からの命を受け、サリーさんの母親は城に出向いた。そしてソフィの呪いを知る。当時は王妃様が呪いを受けていたのだか何としても外に出たかった。王妃はサリーさんの母親に懇願し解呪を試みることとなった。しかしそれは失敗に終わる。直接呪いに触れたサリーさんの母親は魔物化し兵士達によって処理された。サリーさんはその時解呪の補佐をしていた。つまり母親が殺された瞬間に立ち会っていた。サリーさんの話では王妃達に恨みはないと言っているが話をしている表情からすれば思うところはあるのだろう。
「魔術師は呪いを相手にする事が多々ある職業だがあれほど強い呪いは見たことがないよ、母が幾重にも構築して作った術でも軽く蹴散らされたからね」
サリーさんは過去の話をしだしてからぷるぷると腕が震えている。大丈夫かな?
「あんたはそれをやって退けたと!」
「え!?いや、また!封印だけですけどね」
「十分さね。希望とやる気が湧いてきたよ」
サリーさんの目がギラギラしている。こえ〜。
「まさかこの歳になってこんな気分になるとは、フッフッフ、その旅、私も参加させて貰うよ」
「それってソフィの呪いを探す旅にですか?」
「いや、違うね。呪いを殺す旅によ!私は大して役にはたてないだろうが、そいつに一言文句を言ってやらないと気がすまないよ!いいね!」
正直面倒くさそうなのでついて来ないで!と言いたいところだかさっきの話を聞いたあとではそんなことも言えず何より断る方が面倒くさい。
蒼字姫様達の了承を得てサリーさんの同行を許可した。
「それでは話は終わりましたしそろそろ行きますか」
「お待ちください蒼字もう少し宜しくて」
「アルヴィア姫どうしました?まだ何か確認したいことでも?」
「はい、キャンベルとお話したいですわ!」
えー!?アルヴィア姫も!?笑顔でお願いされる。
しかし、人とは不思議なものだ!1日でここまで変わるものなのか、アルヴィア姫の固い雰囲気が大分薄れている。城に帰ったら元に戻ろのだろうが、こんな笑顔を見せられたら断れないよ〜
「ま〜もう少しくらいは良いですかね。アルヴィア姫もキャンベルさんとお知り合いですよね〜副団長ですもん!」
ルビー頑張れ!遅くなりますゴメンナサイと心の中で謝罪しつつ話にまざる。
「キャンベルが出て行った時、必死に止めたこと思い出すわ」
「その説は大変ご迷惑をお掛けしました」
「良いの!理由は分かっているから、でもそろそろ戻ってきても宜しいのでは?」
「いえ!?そういう訳には……」
たじろぐキャンベル。
その目線の先にはギルマス。
「あの〜アルヴィア姫、今キャンベルくんを引き抜かれますとギルドが大変なことになるので勘弁願えないでしょうか〜」
「確かにキャンベルのような厳しく指導力のある人材が居ると気が引き締まりますものね!抜けてしまうと一気に緩んでしまうかも、でもキャンベルにばかり頼ってはいけません!そろそろあえてギルドの為に手放すのも……」
「上手い事を言われますね。しかしそうはいきませんよ!キャンベルくんは私のものです!いくら姫様でも渡しませんから」
激しい視線の衝突!睨み合う二人の矛先は!
「キャンベルどう思われます!!」
「キャンベルくん分かるよね!!」
二人の大物から受けるプレッシャーにキャンベルさんは一歩二歩と後ろに下がる。
「お二人共落ち着いてください。あとギルマス!ワタシのは完全否定しますので、アルヴィア姫申し訳ありませんが私は国王軍に戻るつもりはありません!まだやるべきことがありますので!」
「………そうですか、それはとても残念ですわ。では今度は友人として招待しますので来てください」
「姫様!?それは恐れ多いといいますか」
「断るのは駄目ですわ!それは了承して頂きますよ!」
「アルヴィア、私も一緒に良いかしら?」
「お姉様もちろんですわ!あ〜楽しみです!」
楽しそうにしている姫様に対し、キャンベルさんは胃が痛そうに手をお腹に当てる。ご愁傷さまです!
そんなことを考えていると視線に気がついたのかキャンベルさんは蒼字を鋭い視線で返し、少しだけ口角を上げる。
「はい、私も楽しみです!その際は是非とも蒼字様も、お呼び下さい」
「えぇーー何でですか!関係ないですよね!自分?」
「い〜え、蒼字様と姫様達との関係をお聞きしたいですし、それに一時とはいえ同じパーティを組んだ仲ではありませんか!私も一人では緊張してしまいます。一緒に来て頂けますよね?」
いつものキリッとした顔ではないが笑顔の裏にいつもと同じ威圧感がある。行くしかない……ガクッ。
その後、二人の姫様達に捕まったキャンベルさんはいつになくあたふたしつつ会話を楽しんでいた。
蒼字は早く帰りたかったのだがなかなか言い出せず、終わるまで待つしかないと諦めてしまった。しかし、もし早く帰れていれば、この後のトラブルは起きなかったかもしれない。と言うことを今の蒼字は知る由もなかった。
(ルビー待ってろよ!もうずく帰るからな!)




