第102話 美人バサミ
蒼字は二人を連れ部屋に戻ると今後のことについて話をすることにした。
「はぁー疲れた。お偉いさんとの食事はやっぱり無理だわ!想像以上に肩凝った。食事はみんなと楽しく食べないとな」
「そうなのですか、私はいつもは一人で食べていますので、よく、分かりませんが…」
アルヴィア姫がさっき見せた悲しそうな顔を一瞬出す。
「ん?王族は忙しいから一緒には食べる時間が合わないんですか?」
「いえ、そういう訳ではありませんわ。ただ私が家族の一員に認められていないだけですの」
アルヴィアがまた悲しそうな顔をすると、
「もう、そんな事ないわよ!アルヴィア、私はそんな風に思っていないわ、あなたは私の大事な家族よ!」
ミネルヴァが後ろからそっと抱きしめる。
そんな姿を見て美しき姉妹の姿だな〜と思いつつも、美人同士が絡み合うと、なんか百合百合しくってちょっとエロいとか俗っぽい事を考える俺はいけない人?心の中で少し反省しました。
「ゴホン、それでは説明をするんで聞いてください。呪いの原因、つまり発生源の場所をまずは突き止めなければなりません。現状かなり遠い場所で位置をはっきりと掴めておりません。そこでお願いなのですが、ミネルヴァ姫には発生源の場所を突き止めるために王都を出て一緒に来て貰いたいと思います」
「ちょっと待って頂けますか、王都を出れば呪いが起来てしまいます」
アルヴィア姫は立ち上がり蒼字を止めようとするが、「アルヴィア待って話は最後まで聞きましょ、使徒様が何の考えもなしにそんな事は言わないでしょ」
ミネルヴァ姫がアルヴィア姫を落ち着かせるよう声を掛ける。
「もちろん、そこが重要なところとなります。今は呪いがミネルヴァ姫に影響しないように抑えているだけで、魔物化の呪いは抑えられておりません。ですのでそれも抑えようと思います!」
「簡単に言われますが聖神教会の方々でも出来なかったことです。本当に出来るのですか?」
アルヴィア姫は信じたい気持ちと信じられない気持ちがぶつかり合い、なんとも言えない顔をしていた。そして蒼字はあっけらかんと出来ると答える。
「そもそもその認識は間違ってます。魔物化の呪いは抑えられています!城内にいればと言う限定的ではありますが!」
「でも、それでは外には出られないのでは?」
ミネルヴァは不思議そうな顔をしているが、
蒼字の次の言葉に期待をしていた。
「そうです!なので結界の条件を変えます」
「条件ですか?」
「そう条件です。城内からミネルヴァ姫に変えたいと思います」
ミネルヴァ姫とアルヴィア姫は首を傾げた。
蒼字が言っている意味がまったく分からなかったからだ。
「ミネルヴァ姫の呪印は城内に設置されている石碑とか頭像に施された魔法陣によって抑えられています。これは過去の聖神教会の方々が作り出した特別かつ強力な封印術、これのお陰で呪いが抑えられてる。ならこれをもっと身近なものに転記すれば良いと思うんですよね。つまりミネルヴァ姫の持ち物で結界を形成すれば移動は可能なのです!」
「そんな事が可能なのですか!?」
ミネルヴァ姫は驚き、動揺していた。
ミネルヴァは生まれてから城を出たことがない。外に出られる等言われれば期待で胸がいっぱいになってします。ミネルヴァからすれば夢のような話なのだ。
「ですので、日頃身に着ける物をいくつか持って来てほしんですよ。お願い出来ますか?」
「も、も、も、もちろんです!すぐに持ってまいりますので待っていてください!」
「お、お姉さまーお待ちおー」
ミネルヴァ姫はバタバタと慌てて部屋を出る。その後ろをアルヴィア姫が追いかける。不思議な光景を見ることが出来た。
蒼字は笑っていた。
あんなに美人な人でもあんなに慌てた顔が出来るのだと。
………………▽
「お、お願いします!使徒様!」
フーンっと鼻息が聞こえそうくらい興奮している。ミネルヴァ姫の落ち着いた雰囲気が崩れて少し面白い。
「それじゃ〜魔法陣がある石碑に移動しましょう」
「はい、分かりました。行きましょー!」
………………▽
石碑がある場所に移動
「ミネルヴァ姫、こっちに来て転記する物を出してください」
ちょいちょいと手を動かし呼びつける。
王女に対して失礼かな〜……ま〜いっか!
「この腕輪なんですけど、宜しいでしょうか」
これはまた綺麗なサファイアがはまった腕輪。これなら出来そうだな。宝石の部分に転記するか。
蒼字は懐から筆を出し、石碑にかかれている魔法陣に筆を当てなぞりながら魔力を吸い取る。
「オッケーそれでは腕輪に転記しまーす」
腕輪の宝石部分に筆先を当て魔力を抽出し宝石に魔法陣を刻み込むことに成功。これなら問題なさそうだ。あと5箇所やっちゃいますか!
それから他の魔法陣の転記にも成功!準備は完了した。
「あの〜使徒様……これで本当に結界を移すことが出来たのでしょうか?」
「え!?あ〜そうですよね。城内にいたら分かんないですよね。じゃ〜外に出ますか!」
そう言って蒼字達は城の城門に向かう。
「ちょっちょっとお待ちください!」
ミネルヴァ姫は門の前で足を止める。
「申し訳ありません、私本当にこの門をくぐっても宜しいのでしょうか、もしも失敗していたら呪いが拡散され人々が………」
ミネルヴァ姫は転記が上手くいっておらず魔物化することを強く不安に感じている。周りからは散々城を出てはいけないと言われていただろうから身体が言うことを利かないのかも?仕方ない。
蒼字はミネルヴァの手を取り、
「へ!?あ!ちょっとまってくださ〜い」
蒼字は問答無用で引っ張った。
「取り敢えず、最初の一歩ですね」
ミネルヴァは後ろを見ると城門を超え外に出ていた。周りには兵士達がいるが特に変わった様子はない。
「私、外に出られたのですね!?」
両手で顔を抑え喜ぶミネルヴァ姫
蒼字はあまりにもミネルヴァ姫が感動していたので調子に乗った。
「アッハッハーどうよ!俺のおかげだ感謝しろ〜なんちゃって」
蒼字は腰に手を当て笑っていると、ミネルヴァ姫に抱きつかれ、「あふっ」っと声が漏れる。柔らかくて弾力のある衝撃がお腹の当たり伝わりそのうえいい匂いがして頭が一気にクラクラする。
いかん!股間が上昇して来た。下がらねば!蒼字が腰を引こうとするとまさかの邪魔が入る。
「ドン」後ろから柔らかい衝撃が、後ろは見えないがすするような泣き声が聞こえる。この声はアルヴィア姫だ!どうやら歓喜のあまり?感謝から?理由ははっきりしないがアルヴィア姫にも抱きつかれている。これは非常にまずい!逃げられん!上昇がとまら〜ん!
美人バサミ恐るべし!
蒼字は諦めた。




