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第93話 アルヴィア姫の悩み


 さくらとの修行を約束した後、さくらは一花いちかさんを

連れて帰っていった。

 俺は今後の事を考え軽くため息をつき、冒険者ギルドに

行ってキャンベルさんの様子を見ることにした。


「お!やっと来たな!よぉ!英雄くん」

 ギルドに顔を出すといきなり肩を組まれハイテンションな

ガルムさんに捕まった。


「何です!?突然変なこと言って!それに酒臭いですよ

離れて下さい。臭い臭い」

 ゴンゴンとガルムの頭を叩く。


「あーごめんね蒼字そうじ魔物騒動が解決したって

言って我慢していたお酒をがぶ飲みしてるから

何言っても今は聞いてないわよ」

 セラさんが見かねてこっちに来てくれた。

ただセラさんの顔も赤い飲んでるな。


「なんか思っていたより元気そうで良かったです。

あれからは特にはなにもなかったですか?」


蒼字そうじ達が出て行ってから二度襲撃が

あったけど規模がそれ程大きくなかったから何とかなった

被害もそれ程出てないよ」


「それは良かった」


「ホントだよ!でも誰かは知らないけど!

冒険者をあんなに大人数回復させてくれなかったら

こんなにどんちゃん騒ぎはやれなかったよ!

本当にどこの誰なのかしら〜姿を現して感謝させて

くれても良いと思うけど!」

 セラさんは下から覗き込むように見てくる。


「そうですね!感謝していればどこかで伝わるん

じゃないですか」

 俺は軽く返答しておいた。たぶんバレてるな、アハハ


 酔っぱらいのガルムはセラさんに任せて、

キャンベルさんを探していると、ギルマスのナトリさんと

話をしているキャンベルさんを見つけた。


 近くまで行くとナトリに声をかけられ、

挨拶をした。


「お疲れ様です!ナトリさん、お忙しいところすいません。

キャンベルさんの様子を見に来まして、なんか手伝うと

ないかな〜って」


「フフッありがとう!君のおかげであの後の襲撃

にも耐えれたよ。怪我人も大した事はないから、今回は

君に苦労はかけないよ!」

 ナトリさんは疲れが色濃く出ているが笑顔で

答えてくれた。何より今回の事が解決出来て安心

しているのだろう。


蒼字そうじ身体は大丈夫なのですか、

こちらは特に問題ありませんから休んでいて下さい」


「キャンベルさんありがとう!俺は特に

問題ないですよ。さっきベットで寝たら

大体回復したかな」


「そうですか、見た目よりだいぶタフな身体を

しているのですね!」

 キャンベルさんは笑いながらこちらを見ていたが

突然目の色が変わり真剣な顔になった。何故だろうと

目線の先を見ると、


「ゲッ」俺はやや後ろに後退する。そこには……


「アルヴィア姫様、この度は魔物の討伐、この町を

救って頂き有難う御座います!」

 少し離れた位置でアルヴィア姫が来ており

ギルマスのナトリさんが相手をしていた。しかし

アルヴィア姫はナトリさんの話など一切聞いておらず

こちらを見ていた。


 俺はキャンベルさんに軽く手を上げ挨拶をして

そそくさと離れようとすると、


「そこのあなた!少しお話がしたいのですが

宜しいでしょうか!」

 アルヴィア姫にかなり大きな声で止められた。

 姫様に止められて逃げる訳にもいかず、仕方なく

話を聞くことにした。


 その後、別室に移動して、アルヴィア姫と

二人で話すことになり、前と違いアルヴィア姫の

表情は固く、やや怒っているようだ、逃げたことを

謝った方が良いだろうか……


「すぐにお会いできて良かったです。場合によっては

国中を探させるつもりでした」


「それは大変な事にならなくて良かったです。アハハハ」

 取り敢えず笑って誤魔化そう。


蒼字そうじ様、私は貴方を逃がすつもりは

ありません。どんな事をしてもです!」

 アルヴィア姫から強い決意を感じた。

 

 その時俺は思った。この人は何でそこまで国の為に

出来るのかと、俺みたいな会って間もなく喋ったことも

ない男と結婚、俺が逆の立場だったら絶対嫌だね!


「分かりませんね!アルヴィア姫が俺の力が欲しいのは

分かりますけど、そこまでする必要がありますか?

そもそも勇者であるさくらや陽菜乃ひなのがいるし

それに俺は魔王軍との戦いに協力すると言っているわけ

ですし十分だと思います。何故そこまでするんてすか?」


「そうですね、それに関しては私の個人の思いが

強く反映されているのかも知れません、私は必要とされ

役に立ちたいと、そう強く思っているのです」

 

「えっと……アルヴィア姫は十分役に立ってると思いますよ」

 アルヴィア姫は言葉を重ねる事に影がかかっていく。

 何でだ!俺は短い間ではあるが、王都でのアルヴィア姫の

人気はかなりの物だった。今回の事もそうだが自ら戦場に

赴き指揮を取り、内政面でも庶民に耳を傾け、より良い

方向へと導く政策を行っていると聞いている。

 はっきり言ってむしろ一番働き成果を上げているのでは

ないだろうか?

 

「いえ、そんな事はありません!私はもっともっと

国民の為に成果を出さなければ、お父さん達に認めて

貰うことは出来ません」


 ん?今の言葉には違和感があるぞ。


「アルヴィア姫ちょっと聞きたいんだが、親に認められ

たいから頑張っているのか?」

 俺は結構考えずに言ってしまった。


 明らかな動揺、顔も体も強張っている。

何か言おうとしては口を紡ぐアルヴィア姫


「落ち着いて下さい。すいませんつい気になって

あんまり考えずに言ってしまいました」

 今の反応を見てあまりにもデリカシーのない発言を

してしまったと思い、俺は平謝りする。


「…………あの……ごめんなさい、かなりお恥ずかしいところを

お見せしてしまいました。あなたの言う通りですね。

私は国民の為と言いながらなんて身勝手な事を

考えてしまって」

 アルヴィア姫あまりの恥ずかしさと後悔で

両手で顔を押さえ「う〜う〜」と唸っている。


「あの〜勘違いしないで下さいね!親に認められたいと

思う事は別に悪いことじゃないですよ。どちらかと言うと

俺はそれに巻き込まれると思うとなんだかな〜と

思いました」


「あーーすいません身勝手な私をお許し下さい!」

 しゃがみ込み顔を伏せて落ち込む。

 

 ついついからかってしまったので、

ここからはちゃんとしよう。


「親が何とかあるかも知れませんが、実際に国民からは

すごく感謝されているのは事実です。十分な成果だと

本心から思っていますよ俺は……」


「そう言って頂けるのは嬉しいのですが……」

 アルヴィア姫が喋っている途中に突然


「カシャンカシャン、カシャンカシャン」

 

…………うるさい


「なんだ!言いたい事があるのか?キャリーちゃん」


「あんまりイジメないであげてよ!アルヴィアは

結構不器用なんだから、健気に親に認められようと

頑張ってるのにあの頑固オヤジは全然認めようと

しないのよ!なんの役にも立たない王女と

いつも女の子の尻ばっかり追いかけている王子に

比べてアルヴィアは偉いんだからね!」

 カシャンカシャンと音を立て興奮するキャリーちゃん。


「なにそれどういう事よ?」


「それについては私からお話します」

 アルヴィア姫は覚悟を決めたようで理由を

教えてくれた。

 

「私には兄と姉がいます。兄は昔から自分に正直な人です。

やりたい事をやるやりたくない事はやらない。そして

高慢な男です。周りの迷惑など考えずに発言しかき回す。

私もそれでどれだけ苦労したかわかりません。正直……

大嫌いです。それでも兄はこの国の王を継ぐ正統後継者、

誰よりも大切にされています。姉はとても綺麗で儚い人

です。いつも消えそうに儚い姿でこの国の人柱の呪いを

請け負っています。自分が辛いのに国の為、家族の為に

自分を律し陰ながら私達を支える憧れの人です。

そして私はなんの力も無く役割もありません。

父も母も私にはさほどの興味もありません。

認めさせたかった。私もこの国の王族の一員として

家族として支えてるって、だから私は死もの狂いで

指示された事はこなし成果を上げるため駆け回りました。

それでもまだまだなのでしょうか、未だに私を見ることは

ありません」


「それはお疲れさんだ!だがやはりあんたの身勝手で

俺は動かない。俺は俺の意思で動く」


「そうですよね。フッ随分と私は我儘のようです。

そんな事では協力はお願いできませんね」

 アルヴィア姫はうつむき、自分を卑下していた。


「ん?勘違いしなさんな。むしろ協力は前より前向きに

なったぞ!なんて言うのか親近感が湧いた。意外と小さい

悩みで悩んでいるんだな〜って」


「な!?ち、小さい悩み」


「あ〜変な事言ってすいません、王族みたいな

偉い方でも庶民と同じ様な悩みを持つんだな〜と

思いまして、ま〜規模感と大変さが全然違いますけど……」


「王族も人ですから悩みは案外似たようなものです。

例えば悩みを聞いてくれる親友が欲しいとか、

ここ最近はキャリーちゃん様に聞いてもらっています」


「そうよ私が聞いてあげてるの、蒼字そうじアルヴィアは

悪い子じゃないわよ!何とかしなさい!」


「何とかとか言ってもね〜結婚はちょっと……

正体もバレますし」

 とてもではないが考えられん!


「そうですか……分かりました……もう少し考えます!」


 諦めてはくれないんですね………



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