第10話 手続きは大変で面倒くさい
「宜しくお願いします!」
想定外である。注意されたのにキャンベルさんを引いちまった〜しかし問題はないはずだ!別にやましいことがあるわけではない。失礼がないように対応すれば良いだけのこと。
「こちらこそ、宜しくお願いします。それでは始めさせて頂きます」
キャンベルさんのちょっとした所作で分かる。
この人は仕事できそだと。
見た目は身長160cmぐらいでスラッとしたモデル体型、黒髪のぱっつんストレートショートヘアーはさながら大和撫子を彷彿させる。そして特徴的なのは見る者全てを威圧する鋭い目つきと真っ赤に燃えるような灼眼。アンバランスながらもとても魅力的な女性である。
「こちらの紙に記入をお願いします」
「あ、はい!……真田蒼……?」
あれ?なんで読めるんだ。こんな訳わからん文字。もしかしてあれか!転移した際に自動言語変換機能みたいなのが備わっているのか、助かった〜。読めるし書けるぞ。あの女神なかなかやるじゃないか!
※あとで知ることになるが、蒼字は間違って転移されているためそんな能力はない。ただの偶然による能力付与。そのことを蒼字は知らない。
「はい、書き終わりました。お願いします」
「畏まりました…………蒼字様は今住まわれている場所は御座いませんか?」
そういえば俺、家なしの住むとこなしの可哀想な人だった。
「あの〜住所がないと登録できないんですか?」
「いえ、そのようなことはありません。冒険者の中ではその日暮らしの方が多くおられますので、三分の一程は住所がありません。ただし書かれてあれは緊急時に連絡を取ることが出来ますので一応確認させて頂いています」
「あ〜そうなんですね!良かった」
「それでは次にこちらに手を触れてください」
出てきたのは手の形をした装置、手を当てる所はクリスタルで出来てる。
俺は言われるがままに手を当てると、装置が僅かに光、「いた〜」指先5ヶ所がチクッとした。
「針が出ますのでチクッとします」
いやいやシレっと今言わないでくれます!すまし顔でそのまま作業を進めるキャンベルさん、その姿を見て少し文句を言いたくなった俺は「針が出るなら先に言ってくれます」と軽く抗議する。
「すいません、冒険者のくせに針が出ると言いますと躊躇する方がおられますので、効率を考えて黙っていました」
「………………」
なんて言ったら言いんだろう………この人怖い。
「それでは次に進めても宜しいですか?」
「は、はい………」
鋭い目に威圧され流されるオレ…………
「ギルドカードの製作に少々お時間がかかりますので、その間に冒険者ギルドについてご説明させて頂きます。宜しいでしょうか?」
お〜それは助かる。
「お願いします」
キャンベルさんはとても丁寧に教えてくれた。
冒険者にはランクが存在しており!下からE.D.C.B.A.S.SS.SSSと八段階ある。それに応じて受けられる依頼が決まり上のランクに上がるには実績を積み、場合によっては試験を受け合格しなければならない。
依頼はボードに貼られている依頼書を取り受付に提出、承認されれば依頼を受けられる。注意点としては依頼を5回連続で失敗すると下のランクに落とされるので無理はしない方が良い。
「お待たせ致しました。こちらが蒼字様のギルドカードになります」
渡されたのは白いカード、
カードの色はランクを表している。
Eランク=白 Dランク=茶 Cランク緑
Bランク=黒 Aランク=赤 Sランク銀
SSランク=金 SSSランク=プラチナ
大体の冒険者はDランクかCランク、Bランクが一人前Aランク以上は一流、それ以上はバケモノや英雄の扱いをされるレベルだそうだ。
「あの〜魔石の換金もお願い出来ますか?」
「はい、こちらでも可能ですが換金所は右奥になりますので魔石の換金や素材の納品の場合は今後はそちらでお願いします」
「あ、そうなんですか、今後はそちらでします。それでこれなんですけど………」
「ドス」※魔石が入った袋の音
「うん?」
キャンベルさんがやや不思議そうな顔をしている。
袋を開け中を確認して固まる。
「蒼字様、これはどうされたのですか?」
目の鋭さがよりキツくなった。なぜ?
「タピオの大森林で魔物を倒しました」
「蒼字様………それは本当なのですね!」
じーっと見つめられると怖いより恥ずかしいぞ!
「は、はい………」
「そうですか、失礼致しました」
スーッと元の顔に戻る。
「少し見ただけですがほとんどはCもしくはDランクの魔物の魔石だと思いますが、数が数だけに確認には時間がかかります。すいませんがお時間を頂けますでしょうか」
時間がかかるのか、しかし文無しの俺達は断れるわけがない。座って待つことになる。
「どのくらいのお金になりますかね蒼字さん、ワクワク」
リルは落ち着かないようで座ったり立ったりを繰り返している。
「確かにあれだけの数だからそれなりになると思うけど、お金入ったら飯にしようリル腹減ったわ〜」
しばらくたわいの無い話をしているが、落ち着きがないリルがウロウロして誤って人にぶつかる。
「あ、すいません」
リルはすぐに謝るが、
「バシッ」………「バタ」…………
「え⁉………」なにが起こったか理解が出来なかった。リルが倒れている。すぐにリルに駆け寄ると顔を赤く腫らし口を少し切っていた。………血が出ている。
「邪魔だ!ここはガキがいる場所じゃないんだよ!」
ぶつかった戦士の男がそんな事を言っていた。確かにリルがよそ見をしていたかもしれないけど、それはお互い様のはず、それにこんな小さい子を叩き倒す。どう言うつもりだ『ふざけるなよ!』
俺は筆を使いリルの怪我を治すと、
……………『治癒の朱墨』
取り敢えずそいつをぶん殴った!
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