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くすのき君は妖怪が見えるけどそれはともかく趣味の人である。  作者: くずもち
第二章

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神木杏樹は絡まれる

 つい驚きのあまりぶっ飛ばしてしまった杏樹は慌てて落っこちた巨大蝙蝠を介抱した。


 だがしばらく痙攣して動けずにいた蝙蝠だったが、すぐに復活してすごい勢いで怒り始めた。


「なにすんの! 痛いじゃない! っというか熱いじゃない!」


「ゴ、ゴメン。でもいきなり頭の上から話しかけてくるから……」


「もう! ……でも、ちゃんと見えてるみたいね。私の見立て通りだわ」


 巨大蝙蝠は派手に吹っ飛んだ割りにはたいして堪えていないらしい。


 そして知能がとても高いようだ。


 よしと杏樹は方針を決め、即決で元来た道を駆け出した。


 逃げるのは非常に役に立つ。


 ただし―――それは逃走が成功した時に限った。


「うっ……!」


「いきなり逃げるなんてひどいと思うんですけど?」


 バサバサと闇の中から大量のコウモリが杏樹の逃走経路に回り込んできた。


 そして杏樹の目の前で黒い塊になると、今度は人型に変化して嘆かわしいと額を押さえていた。


「ええっと……あなたは?」


「ようやく話す気になった? こういうの人間はめんどくさくない?」


 まず間違いなく普通の人間じゃないと、そう確信した上で杏樹は尋ねる。


 暗がりから姿を現した人型の妖怪はなんというか―――とてもダイナマイトなボディの女性の姿をしていた。


 妙に胸元が強調されたドレスを着た身なりは、路上で出会うにはかなり違和感が先に立つ。


 だがドレス自体着慣れているのか妙に似合っていて、吸い寄せられるような魅力があった。


「ハァイ。初めまして……私はリリー。あなた達で言う……そうね、吸血鬼って呼ばれてるわ」


「……サキュバスとかではなく?」


「違いますー。立派な吸血鬼ですぅー。あんな低俗な奴らと一緒にしないで欲しいんですけど?」


 ヒラヒラと手を振り心外そうだが、微妙に納得がいかない。


 しかしなんというか……ちょっと軽めだな吸血鬼。


 思わぬ知名度の高さを誇る妖怪の登場に杏樹はゴクリと喉を鳴らした。

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