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くすのき君は妖怪が見えるけどそれはともかく趣味の人である。  作者: くずもち
第二章

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そう言うことなら仕方がない

 部室にて僕、楠 太平は本気を出した反動で完全に気が抜けていた。


 ああでも、安綱先輩にもお礼をしないといけないし、ヒガンにも戦闘用ボディを作らないといけないから、本当に忙しいのはここからなのかもしれない。


 だが同時にここからが一番楽しいところでもあると気合を入れ直した僕に、神木さんはすまなさそうに声をかけて来た。


「あの……なんか今回は面倒をかけてごめんね」


 だが僕は神木さんに向かって首を横に振る。


「そんな謝罪は見当違いだよ。元々は僕の落ち度だ。むしろ引っ張りまわして申し訳なかったくらいだよ」


 確かに何とかせねばという想いはあった。しかしその過程は非常に有意義なものだったのだと僕は断言出来もした。


「……いや。正直に言えばいろんなものを作れて超楽しかった……」


 焼き物というのも新境地。


 中々難しかったが、ハニワのギミック作りなんかは死ぬ程楽しかった。


 また一つ素敵な物をこの世に生み出してしまったと震える僕に神木さんはアハハと笑った。


「よ、喜んでもらえたならよかったけど」


「そうだとも」


 それに重要なことも一つある。神木部員に、楠部長はようやくそれっぽいことができたのだ。


「今回の事は模型部の活動には全部必要なことだったんだよ。心穏やかじゃないと模型など作れないぞ? 神木部員」


 ニヤリと笑ってそう言った僕には驚き顔の神木さんの表情は新鮮だった。


「そうかも。うん。確かにちょっと心が軽い」


 だが僕はふと気が付く。


 彼女の模型部入部の理由は、僕が妖怪に詳しいからだったと。


 しかし、僕の妖怪の知識なんて偏りすぎているのはもう神木さんも理解していることだろう。


 考えてみれば刀剣部を紹介した以上、もはや模型部は用なしなのではないだろうか?


 途端に心配になって、でももしそうならなるべく理想に添える形で協力したいとも僕は思うわけだ。


「そういや神木さん。刀に興味があるなら―――そっちでもいいんだよ?」


 だからやんわりと尋ねると神木さんはキョトンとした顔をして腕を組んで唸る。


 そして思ったよりあっさりした声色で答えた。


「うーん……いや。いいかな」


「そう?」


「うん。模型部で頑張ってみるよ楠部長」


「むっ…………そうか」


 そうか。神木さんがそう言うのなら仕方がない。


 どういうわけかさっきまでより若干軽い心持ちで、僕はさっそく作業に取り掛かることにした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 兼部すれば良いのに。 どっちも捨てがたい。
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