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くすのき君は妖怪が見えるけどそれはともかく趣味の人である。  作者: くずもち
第二章

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楠君は考えた

「はぁぁぁぁ……」


 僕、楠 太平は長いため息をついてた。


 というのも我が家の問題が思わぬところで表面化してしまったのが事の始まりだった。


「まさか、暴漢が侵入してくるとは……」


 ハァと特大のため息をついた僕は今回のやらかしを深く反省した。


 結構自信満々に同級生に先輩面したというのに、まさかの招待した我が家で、神木さんが妖怪に攫われるという大事件。


 安全は保障する! 大丈夫! などと自信満々で宣言していた愚かな男を殴りたい。


 しかしもう神木さんには多大な迷惑をかけた後だ。


 ここは彼女にアドバイスをした責任として、少なくとも今回のようなことが起こらないようにアフターケアを施さねばならなかった。


「そうだ……そうでもしないと面目が立たない」


 僕はそう結論付けた。




「えー、此度はわたくしの不注意で大変なご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」


「いや、いいよ……なんならちょっとお金持ちになっちゃったしアハハハ……。アレ、今からでも楠君が管理してくれてもいいよ?」


 まずは謝罪から入った僕に神木さんは表情筋をひきつらせる。


 何なら今回の臨時収入の一部を譲り渡そうと言うか、押し付けようとしてくる神木さんである。


 なぜだかとても微妙そうな表情の神木さんだが、僕はそこはきっぱり首を横に振った。


「だが断る。まぁ引っ越ししたばかりでしょうし、今回の補填に当てていただけたらなーと思う次第です。まぁもらうまでには時間かかるだろうから気長に待ってたらいいよ」


「……助かるけれど。なんだかなぁ」


「それよりも、誘拐未遂だよ。なんと謝ったものやら」


「そっちは本当にいいから。半分私が持ち込んだようなものだし。ケガもなく無事に済んだんだからそれでいいじゃない?」


 そう言ってくれる神木さんだがこれはけじめの問題だと、男、楠 太平は思うわけだ。


「そう言うわけにはいかない。自宅に招待したにもかかわらず、不審者の侵入を許したばかりか誘拐までされる体たらく。おまけに護衛代わりに紹介したはずの白は……いろんな意味で残念だった。もうなんだか会わせる顔がない感じですよ?」


 それに事件が解決したからと言って、神木さんの認識は少々危機感がないというモノだ。


 まぁ普通妖怪からの誘拐を警戒してセキュリティなんて考えないかもしれないが、起こってしまったのなら備えることも大切だと言うのが僕の結論である。


 神木さんはアハハと笑い、白を擁護した。


「白にも助けてもらったから……そう言えば白の顔を見ないけどどうしたの?」


「いや……白は今反省中だから」


「反省中?」


「そう―――反省中だから……」


「う、うん」


 神木さんはこちらの顔を見て押し黙る。


 ちなみに白は山神様のところで短期集中特訓中である。


 というわけで白と神木さんと一緒に行動させるという案はなかったことにしてもらおう。碌なことがない。


 しかしそうなると―――また神木さん周りの防備が甘くなるのは避けられないのは問題なのだ。


「それで、神木さんの身の守りをどうにかしようと思うんだけど」


「う、うん……」


「ひとまず僕の家の結界を譲るのは予定通りでいこう。機能すると思う」


 こちらは僕の作った神社のプラモデルを譲るだけだ、簡単なものだし結界もそん所そこらの妖怪が太刀打ち出来るものじゃない。


「だけど……問題はそれすら意味がなかったってことなんだよね」


「それは相手が悪かったとしか」


 状況を思い出し神木さんは悩まし気に唸った。


 実際ストーカーが龍みたいな大物とつながりを持ってやって来るなんて相当なレアケースなのには違いない。


「だけど、実際神木さん誘拐されちゃったわけだし、気分的にはもう一工夫ないと安心出来ないと思うんだよ」


 今回の場合一番重要なのは実際の効果ではなく神木さんの安心だと僕は思う。


 そこをどうにかしなければ、豊かな気分で部活動などできるはずもないだろう。


「それは……まぁ出来ればそうしたいけど。いくら何でもとは思うよ?」


「うーん。……僕の知り合いにあの手の大物がちょいちょいいるのも……かなり不安」


「ちょいちょいいるんだ……」


「い、いるけど……逃げられるくらいの備えは有っていいはずなんだよ。相手が何であれ」


「出来るのかなそんなこと?」


 小首をかしげる神木さんに残念ながら僕はふがいない返事を返す他なかった。


「残念だけど、いい案は正直ない」


「ないんだ……」


 だが案はないが考えがないわけじゃない。


 僕は拳を握って力説した。


「普段ならまぁ何とかなるかとあきらめるところだけど、今回は―――ガチなので」


 そう宣言した僕は、ちょっくら動き出した。


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