表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/45

第三十三話 戦闘開始

このお話は初投稿版の58部分にあたります

 トモを先頭に、念の為に手をつないで一列で穴に向かって歩いた。

 そのはずなのに、穴に落ちることはなかった。

 突然ふっとあたりが真っ暗になり、いやな空気に包まれる。


「――入ったな」


 トモのつぶやきに『(まが)』の異界に入ったとわかった。


 いやな空気はどんどん濃くなる。


「…予想どおり、かなり瘴気が濃いね」


 ヒロのつぶやきに、これが瘴気かと納得する。

 空気が重い。ねばねばとまとわりついてくる感じがする。


 つないでいた手を離し、全員無言で刀を出していた。

 周囲を囲まれているのがわかる。

 歩みを止め、五人の背を合わせ円陣をとる。

 これでどの方向から襲ってこられても対処できる。



 異界に入った途端、霊玉の共鳴感が一段強くなった。

 ここだよ。ここだよ。と存在を示し()いている。

(まが)』がどこにいるか、つよく感じる。


「――『(まが)』の場所、わかるか?」


 トモに問われ「わかる」「オレも」とそれぞれ答える。

 答えながらじりっと動いて、佑輝が『(まが)』の正面に位置取るようにする。

 何度も修行した、作戦どおりに。


 その間にもぞわり、ざわりと何かが近づいてくる。

 一匹二匹ではない。

 数え切れないほどのモノに囲まれている。


 以前の自分だったらこわくて泣き叫んでいた。

 あの幻術訓練を重ねた今は大丈夫。

 全体を見回せている。呼吸も安定している。霊力もめぐっている。

 みんなも一緒にいる。大丈夫。

 ぐっと刀を握りしめ構える。


「予定通り、一気に殲滅(せんめつ)、のち、ダッシュ。いいな」

「おう」

 小さく答えながら全員刀に霊力を込めていく。


 まだだ。まだ。もう少し、引きつけてから。

 緋炎様に教わったとおりに。


「三」

 トモのカウントにタメを作る。


「二」

 呼吸を整える。

 大丈夫。いつもどおりに。


「一」


『悪しきモノ』の姿が視界に入った。

 その途端、ぞわり、と巨大な蟲や獣が飛びかかってきた!


「今だ!!」

「うおおおおおおお!!」


 トモの声に合わせ、全員が同時に刀を振り抜く!

 霊力をたっぷり乗せた、全力の一撃だ。


 ゴウッ!!

 晃の前の『悪しきモノ』は、すさまじい炎に包まれて一気に燃え上がった。

 ギャアアアア! と、断末魔の叫びが辺りに響き渡る。

 その叫びだけでも以前だったら気が狂っていただろうと思われる、恐ろしい叫びで空間が支配される。

 どれだけの数がいたのか、どれだけの数を滅したのかわからない。

 わかるのは、この一帯の『悪しきモノ』はいなくなったということだけ。

 取りこぼしがなかったことにほっとする。


「行くぞ!」

 すぐさま全員で駆けだす。


 一番攻撃力がある佑輝の斬り開いた道を走る。

(まが)』に向かって一直線だ。

 先程からうるさいくらいに共鳴している。

 こっちに来いと引きつけられる。


 すぐに新たな『悪しきモノ』が立ちふさがってきた。

 幸い進行方向のみで、後ろからは追ってきていないようだ。

 佑輝が足をとめ、タメをつくり霊力を込める。

 他の四人はひたすら駆ける。

『悪しきモノ』に接触する寸前で左右に分かれる。


「はあッ!!」

 佑輝の雷撃が正面の敵を撃破する。

 再び道ができる。

 何度も練習した作戦が成功したことに小さくガッツポーズをしてしまう。

 ナツの土壁で左右の敵を押さえ、駆ける。

 佑輝もすぐに追いついてきた。

 駆けた先にまたも『悪しきモノ』が待ち受けている。

 どうやら自分達が『(まが)』に向かっていることはお見通しのようだ。

 強く賢いモノほど、先回りしているのかもしれない。


 今見えるモノで全部だろうか。わからない。

 まだまだ闇に潜んでいるのかもしれない。

 目の前には五体ほどの『悪しきモノ』が確認できる。

 後ろからはまだ追ってこない。

 

『悪しきモノ』は二列になった状態でぞわぞわと待ち構えている。

 自分達があの奥を目指しているとわかっているのだ。

 固まらず広がっているので、先程の一撃離脱の作戦はとれない。


「一人一体!」

「いちばん右!」

「そのとなり!」

「真ん中!」

 トモの叫びに、全員が足を止め自分の狙うモノを指定する。

 これも作戦どおり。

 混乱を避けるため、冷静でいるために、何度も試してみてこの形になった。

『悪しきモノ』も様子が変わったのに気付いたのか、ぞわりと近づいてきた。


「行くぞ!」

「おう!」

 トモの掛け声に応えて同時に刀を構える。


「三、二、一、今だ!」

 ゴッ、とそれぞれの霊力を込めた一撃が敵を襲う。

 佑輝が狙った一体は倒せたが、四体はまだ生きている。

 これまで倒してきたモノよりも数段強いようだ。

 それでも動きは止められている。

 追撃し、さらに二体しとめる。

 動きだした残り二体を二手に分かれて何とか倒した。


「行くぞ!」

 トモの声に反射的に駆けだす。

 今の戦闘でかなり霊力を使ってしまった。

 体力もかなり使った。はあはあと息が乱れる。

 他のみんなも同じようだ。

 このまままた襲われては、封印にまわす霊力が残るか心配になる。


「もうすぐだ!」

 トモの声にはげまされ足を動かす。

 もう近い。それは自分でもわかるが、目の前にはどこまでも続く暗闇しかない。

 後ろから敵が迫ってくるのがわかる。

 先程ナツの土壁で押さえていたモノの生き残りが追ってきたのか、新たな敵なのかはわからない。

 とにかく走る。走る。

 しかし、敵も速い。

 もうすぐ追いつかれてしまう。


 このまま進むのか?

 それとも立ち止まって迎え撃つのか? 

 迷いつつも足を動かし、トモの指示を待つ。


「ここだ!」

 トモの声に視線を向けるも、やはり何もない。

 ただ、トモの指し示す空間からより強い共鳴を感じる。

 今までで一番強い音で、リリリリ! リリリリリリ! と、鳴り響いている。

 身体が、魂までもが震えるようだ。


「結界が張ってある! 行くぞ!」


 トモが近くにいたナツの腕をつかむ。

 ナツが佑輝に手をのばし、佑輝があわててその手をとる。

 ヒロがすぐに佑輝の服をつかみ、晃の腕を引っ張る。


 ヒロに引っ張られながら「最後のとどめ!」と、追ってくるモノに一撃をぶちこんだ。

 敵はもうすぐそこまで迫っていたようで、晃の一撃が被弾したようだ。

 ギャアアアア!! と叫びながら炎に巻かれていくのが見えた。

 

 ヒロにさらに引っ張られ、何とか体勢を直してついていった。

次話は明日19時に投稿します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ