日本で訳の分からない奇病が流行り始めたので、その「奇病」でいじめっ子をぶっ飛ばします
とりあえず短編書いて見ました。
最近読み専だったので連載の方はもうしばらくお待ちください。見てる人いるのか分からんけど
日本では今、未知の奇病が流行っている。
そんな事がテレビで発表されたのは、つい数ヶ月前のことだった。
その「奇病」とは、人の身体が―――――――――
――――――――獣人、というような姿に、なんの前触れも無く変化してしまうのだった。
これは日本のとあるところに住む、猫子彰の話。
毎日学校ではいじめられて、誰にも助けられず、また誰かに助けを求める事も出来なかった。
「学校を卒業するまで、こんな目に会い続けなければいけないのか」
そう思ったのはいつからだろうか。
そんなことを思いながら、今日もまた学校へと通う。
家族に心配をかけてはいけないと、そう思っているから。
今日も、明日も、明後日も、3日後も4日後も5日後も――――――――――100日後も。同じような日を繰り返して行く、そう思っていた。
そんな中、テレビで「奇病」が流行っているというニュースを見た。でもそんなのは今はどうでもよかった。
「早く卒業したい」
「早くこんな生活を終わらせたい」
「早く、こんな生活から抜け出したい」
そんな事しか、考えていなかった。
違和感を感じ始めたのはニュースを見てから十数日後の事だった。
クラスの過半数が学校を休んでいる。
その時に頭に流れてきたのがニュースで見た「奇病」だった。
どんな病気なのかわからないけど、とりあえず学校に来れなくなるぐらい辛い病気なのだろうか。
そんな自分のことをいじめるような奴らや、いじめには加担せず、ただ周りで笑ったりただ傍観している奴らを心配するほどお人好しではない。
その次の日もいつも通り、学校へ行く。
その日は昨日よりも休みが多かった。
人数が少なくなったからか、いじめもあまりされなくなった。
やはり、いじめられるより、いじめられない方がいい。
そんなことをわざわざ再認識するのは何か違う気がした。
そんな事がしばらく続いたある日の朝、体に違和感を感じた。体のあちこちが痛むが、昨日も殴る蹴るなどのいじめはなかったはず。
とりあえずいつもとは少し違う痛い頭を掻きむしりながらベッドから起き上がろうとする。
すると手に何かが当たった。髪や頭皮とは少し違う感触で、少し生暖かった。
頭に何かついているのかと思い、そばにあった鏡を見てみた。
「…?…っ⁉︎」
驚きで声が出なかった。
頭に付いていたのは…耳だった。
それも、人間の耳ではなかった。
そして、本来耳がある位置には何もなかった。
鏡の奥には、何かふさふさしたものが動いている。
それが自分の尻尾だと分かるのには時間はかからなかった。
その瞬間、テレビでのニュースが頭をよぎった。
ほんとかよって言いながらいつも聞き流してたあのニュース。
まさか自分が発症?してしまうとは。
「まさか、夢?」
そう言ってほっぺたをつねる。
めっちゃ痛かった。
ほっぺたつねっても痛い、これは夢じゃない。
「これからどうしよう、学校は…」
学校は?今行ったらどうなる?
もっと酷くいじめられる?いや、寧ろみんな気味悪がったり、病気が感染るだとか言って、近づいて来なくなるかも知れない。
それはそれでいっそ楽だなんて事を考える僕は相当追い詰められているのかなんて思った。
ハァ…これからどうしよう……
学校に行く気はもちろん、生きる気力さえ失いかけていたその時だった。
ドゴォォォォ…ン!という轟音が聞こえてきた。
慌てて音のする方を見ると、2階の僕の部屋からギリギリ見える位置にある学校の校舎の一部分が、酷く壊れていた。
慌てて僕はそこから飛び出した。
珍しく慌てたのがいけなかった。
僕は2階から落ちてしまっていた。
こんなので僕は死ぬのか。
今までの人生はなんだったんだ。
ズシャッという音がして、地面に落ちたことを教えてくれる。
だがしかし、それだけだ。
「死んで、ない?」
僕はちゃんと生きていた。
でも、周りが全く知らない景色に変わっていた。
「ようこそ、こちらの世界へ」
そんな声がして後ろを振り向くと、思わず目を背けてしまうほどの眩しい光が出ている、女の人の姿があった。
「あなたの世界では、神々でも予想外な事態になっています。それをあなたの手で止めて欲しいのです」
僕はもう訳がわからなかった。
「あなたにはここで力をつけてもらいます」
時は経ち、数年後。
あの日、家を窓から飛び出した時と全く変わらない容姿で、彰はそこにいた。
轟音が鳴り響いた、あの時の、あの場所に。
よく見ると、学校はまだ綺麗な状態、つまり轟音が響く少し前。
彰は学校へ、一直線に走った。
家々の屋根を飛び、最短距離で学校へ。
キチンと、学校の鞄を持って。
いつもとは違うことが起きる、学校へと走った。
その時の姿は、人間の身のこなしではなかった。
いつもよりだいぶ早く学校へ着き、いつものように用意をしていたその時。
外から何かが来る気配がした。
席を立ち、窓を開け、向かってくるものを片手で止めた。
それは、人間のではない、異形のものだった。
体中には獣の毛が生え、頭頂部には獣の耳を有し、腰の後ろからは獣の尻尾が出ている。
その姿はまさしく、いつかのテレビで見た「獣人」という姿はだった。
でもそんなもの見ても僕は驚いたりしない。
そんな反応が予想外だったのか少し狼狽えるその相手。
そして相手は、僕に人間じゃ見ることさえ出来ないような速度で伸びた爪を振り回してくる。
いきなり攻撃なんて、酷いなぁ。
周りのクラスメイト達は、異形の存在と目の前で聞いなり繰り広げられた常人ではない戦いのせいで、みんな教室から出て行ってしまっていた。
むしろ好都合。
相手が当たらないだとかなんでだ、なんてわめきちらしているけど、ただただ耳障り。
机や椅子が飛び、黒板は割れ、壁は傷つく。
そんなこともお構いなしに、僕に向かって攻撃してくる。
徐々に焦りが見え、動きも乱雑になってきた。
さて、そろそろ終わりにするか。
開いている窓を背に相手が飛ぶように調整して、相手の懐に潜り込み腹に拳を入れる。
相手は窓から外に出る。間髪入れずに僕も出る。
その時には、僕も人間の姿ではなかった。
僕の姿に驚いたのか、一瞬攻撃の手が止まる相手。
その一瞬で、一瞬にも満たないような速度で、僕は相手を地面に叩き落とした。
受け身も取れず、砂の上に落ちたヤツは、人間の姿になっていた。
生きてはいるようだったが、体がボロボロだった。
よく見たらそいつは、前に僕をいじめていたヤツらのリーダー的存在だった奴。
そして、コイツはこの数日前から学校を休んでいた。
おそらく、数日前からこの姿になっていたのだろう。
そんな奴に別段興味があるわけではないので、さっさとその場を後に飛び立つ。
周りに集まっていた、沢山の野次馬達を無視して。
それから僕は、別の世界、つまり異世界で暮らす事にした。
いじめられる心配もなく、そして冒険などで食べていけるぐらいの力もある。
ここからが、僕の新しい一歩だ。
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