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公園へ辿り着いたサンタは、一目散に彼女のもとへ歩み寄り、立ち止まった。彼女が彼を見上げると、また片膝を着いて彼女へ風船を手向けた。そして風船から一輪の薔薇になると、彼女は彼を見つめた。
「やっぱり貴方だったのね。
あの贈り物も、その薔薇も。
街の騒ぎを聞いて、
私は直ぐにあなただと気がついた。
あなたのこの贈り物も、とても嬉しいの。
でもやっぱり貴方は、みんなの貴方。
私だけの貴方にはなれないでしょう。
いいえ、そうならないでと私も思っているの。
私は貴方に私だけを見ていて欲しい。
私だけに贈り物をして欲しい。
そう思ったりもしているわ。
でもそれ以上に、
みんなの貴方を私は好いています。
私だけの貴方になった貴方に、
私はきっと愛想が尽きます。
この一輪の薔薇は、私には過ぎた贈り物。
貴方はやっぱり、みんなの貴方で居て欲しい。
私はそんな貴方を好いています」
翌日からサンタは鈍った身体を元に戻そうと、ただただ家に引きこもり、踊りや手品に化粧を練習した。そして彼が広場に出るまでの数ヶ月、街ではこんな声が溢れていた。
「良い子にして居れば、
またサンタは来てくれるよ」と。




