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一輪のピエロ  作者: I.me
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サンタの日常は、眺めるようなものになった。その中で、彼には気になった事があった。雑貨店に居る時も、お菓子屋さんに居る時も、広場で長椅子に座っている時も、聞こえてくる子供達の声に、欲しいものがあったこと。自分には欲しいものが無かった彼は、それ等を皆へあげたくなった。サンタも裕福な訳は無い。しかし、その気持ちは日に日に強くなり、彼は皆にあげることにした。


女性との事があって数年経ったその日、皆の欲しいものを買い込み、サンタは久々に以前着ていた容姿に袖を通した。しかしその姿は以前とは全く違っていた。ずっと整えることをしていなかった髪や髭はフサフサで、引きこもることも多くなっていた事でふくよかな体型に出っ張ったお腹で、服はいっぱいいっぱいになっていた。雪色の風船にそれぞれ詰め込むと、彼は外へ出た。準備をしていて気がつかなかった彼は驚いたが、外はもう夜が深まる頃だった。皆は寝静まり、雪が降り積もったあとの空には、満点の星空が広がっていた。荷物は多いが、足取りは軽かった。しかし彼は大きな失敗に気がついた。届ける場所が分からなかったのだ。仕方なく彼は、紙にそれぞれ名前を書いて風船へ結ぶと、広場の噴水の前へ風船を置いて帰って行った。


翌朝広場は子供達の喜ぶ声で溢れかえった。誰がくれたかは分からない、ボールやお菓子にお人形と。それぞれに欲しいものが、貰えたようだった。サンタは夕方に目を覚ますと、いつものように外へ出て買い出しをした。街はプレゼントの話で溢れていた。聞こえる声にサンタは、とても嬉しく思っていた。帰り道、彼が公園を通ると、あの時の女性が長椅子に座っていた。そしてその手には、あの時受け取って貰えなかったはずの、枯れた薔薇があった。彼は彼女の前を素通りして帰った。


サンタは次の日になっても、公園で見た彼女の様子が忘れられなかった。夕方外へ出ると、プレゼントはサンタからの贈り物だと、皆に知れ渡っていた。容姿が違い過ぎて、彼がサンタだとは気付かれないが、贈ったことは知られてしまったようだった。夜になり彼女が居るかと期待をして、サンタは公園へ行った。そしてそこに彼女は居た。昨日の夜と同じように、手に枯れた薔薇を持ち、長椅子に腰掛けていた。それを見た彼は家へ戻り着替えて風船へ薔薇を閉じ込めた。



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