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「言えない何かを捨ててしまった」


「いらない何も 捨ててしまおう」

そんな心持ちで身の回りの諸々を整理していました

その中で私はこれまで言えずにいた何かを捨ててしまったようなのです


言えない何かがどんなものか

捨ててしまった今、忘れてしまいました

どうしてそれを言えなかったのか

思い出そうとしても、もう覚えていません


わかることは

誰にも言えない何かを捨ててしまったことだけ


「いらない何も 捨ててしまおう」

そんな気持ちに任せて諸々を取捨選択していました

その中で私はこれまで言えずにいた何かを捨ててしまったようなのです


言えない何かは何だったのか

捨ててしまった以上、思い出せません

それはかつて、どこにしまっておいたのか

記憶を遡ってみても、心当たりはありません


残っているのは

誰にも言えない何かを捨ててしまったという記憶だけ

しかし零れ落ちたビーズとともに捨てたような覚えがあるのは

気のせいなのでしょうか


なんとも後味が悪い

私には常に「言えない何かを捨てた」という罪から

逃れることができないのです

言えない何かの正体も

言えなかったその訳も思い出せず

ただ「言えないまま捨てた」ことを刻まれ

この傷を抱えながら生きていかなければなりません

痛みは癒えたとしても、消えはしません


言えなかったそれはまるで亡霊のよう

少なくとも愛を注ぐことはしなかったことは

捨てたという事実から明らか


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