「パラレルワールドに行きたい」
「パラレルワールドに行きたいんですよ。
もう1つの平行線の世界ってヤツ?
だって、楽しそうじゃないですか。
この世界には起こり得なかったであろう出来事とか
この世界には存在していない飲み物とか
見たことないものばかりを見るの楽しいじゃないですか。」
「お前は何を言っているんだ。
ここがもう、パラレルワールドだよ。
ここはな、あのルートを進んだ世界から視た、
"もう1つの選択肢"を選んだ世界だよ。
だからあの世界には起こらなかった出来事が起きてるし
あの世界には存在していない飲み物もあるし
あの世界の住民からすれば見たことないものばかりだぞ。」
「え!ここパラレルワールドなんですか?!
ていうか、なんで世界毎の違い知ってるんですか?!
え、あの世界とかこの世界とか言ってて、もしかして行ったことあるんですか?!
これはあの、こことは違う世界という意味ですよ?
え~~~教えてくださいよ!」
「悪いなのび太。・・・いやのび太じゃねえか。
残念ながら、お前は俺の移動方法を使うことが出来ない。
免疫力の問題もあるし何よりも体力がな。
お前程度じゃ半年は動けなくなるぞ。」
「えっ・・・そーれーはちょっと・・・キツイですね・・・。
ていうか何で僕のことをのび太って呼んだんですかね。
ん~・・・でも"俺の移動方法"ということは
他にも移動方法は存在するということですよね?
できれば・・・可能な範囲で・・・教えていただけて欲しいなぁ~・・・。」
「確かに他にもあることは事実だが。
どれも同じようにハードな移動方法だ。
正直に言えば、俺の移動方法が一番楽だ。
だがそれでもお前にとっては鬼畜極まりない手段だろう。
よほど鍛えない限りは無理だから諦めろ。
だがそれらは戻ってくることが前提の移動手段で
実を言うと簡単に行ける手段はあるんだ。
それはお前が日々、"選択"を続けることだ。
この"選択"というのは別に内容は問わない。
今後の進路とか転職先みたいな一大事でも構わないし
今日のお昼は何食べようか的なレベルでもいい。
日々に存在する"選択"において、"1つ"を選ぶことで
その選択肢を選んだ世界という体の、パラレルワールドに行くことは出来る。
もちろん、"選択"前の世界に戻ることは出来ないし
もう1つの選択肢を選んだ場合の世界へ移ることも出来ない。
だが、これを聞いてお前が「当たり前じゃん。」と思うように
俺たちは常に、パラレルワールドを生き続けているんだ。
後戻りの出来ないパラレルワールドをな。
だからな、お前はお前のままでいい。
お前の日々は、無限に存在するパラレルワールドへ繋がる道の連続だから
そのまま生きているだけでいい。
そしていずれかわかるさ。
お前の住む世界は、並行して存在する世界の1つにしか過ぎないのだと。」
「なんだかすごく壮大な話だなぁ。
あとシメがちょっとしたメッセージじみてて面白かったです。
ところで話を戻しますけど、なんで僕のことをのび太と呼んだんですか?
もしかして、別の世界では僕はのび太なんですか?」