災厄の序章
それは矢のように降り注ぐ雨の降る日だった。
体には雨の冷たさ、突き刺さる痛さ、そしてそれが血があふれ出す傷口をさらにえぐる。
ひどい頭痛だ。
わんわんと脳内に響き渡る。
ベートーヴェン交響曲第5番運命の炸裂音を奏でる。
傷だらけの心と体をさらに浸食してゆく。
そして、見えない傷口はさらに深さを増してゆく、、、
シンラはいつものように学校へ行く。
いつものおじちゃん、いつもの犬、いつもの踏切、他愛もない学校生活。
そこには何も輝きはなくただ決められたルーティーンをこなしていくような感じである。
いつものようにシンラは寝たふりで休み時間を過ごしていた。陰キャの特権である。
が、 「しねー」
幼馴染のユリアである。
人前で大声を出すのはやめてほしい。
僕はこいつと何の関係もないし、関わりたくもない。
ただ周りからは冷やかされることが多々ある。
そんな日々がメリーゴーランドのように巡り巡るものだといつの間にか思っていた。
しかし、このあと起こる事件が歯車の位置をバラバラにしてしまうなど誰も思いすらしなかった。
そう、人類の約半数が死滅したあの最厄がおこるまでは、、、、、、、
この小説を書くにあたって、キャラクターの名前の提案をしてくれた友人たちに感謝します。