雪花の姫
まだまだ慣れないので至らないところもありますが、大目に見ていただけると幸いです。それではどうぞ!
「澪も元気そうでなによりだな。さてと、帰って紅茶でも飲むか。」
理事長室を後にし、和人は廊下を歩いていた。そんな時、廊下に人だかりができていた。
「なんだ?ちょっと覗いてみるか。」
するとそこには、先ほど理事長室で出会った青みがかった銀髪の女子生徒セレスと、大柄な男子生徒が言い争っていた。
「おい、俺と決闘しろって言ってんだよ!新入生主席だかなんだか知らねぇが、そのすました顔見てるとむかつくんだよ!」
「・・・。」
「おい!聞いてんのか!!」
「・・・あなたには興味がない。」
「なんだと!?」
そこからさらに男子生徒の口調は荒々しくなっていく。
「なーんか面白そうだな。」
和人も周りの生徒と一緒に見ていると、後ろから声をかけられた。
「あら、あなたはさっきの・・・。」
和人が声に気づき後ろを振り向くと、先ほど道案内してくれた赤髪の先輩がいた。
「先ほどはありがとうございました。」
「いえいえ、気にしなくていいのよ。」
和人は改めてその女子生徒を見てみた。燃えるような真紅の髪で腰まで伸びている。少し好戦的な目つきをしているが、そこがまた彼女の魅力なのだろう。とても良いスタイルだった。
「そういえば、まだ自己紹介してなかったわね。私はこの学園の生徒会長をしている、篠田明美よ。よろしく。」
「生徒会長さんでしたか!?自分は宮野和人といいます。よろしくお願いします。」
和人が初めて声をかけたのはまさかの生徒会長だった。
「ええ、こちらこそ。それにしても、また始まったわね。」
「また、とはどういう意味です?篠田さん。」
「明美でいいわよ?」
「い、いえ、その、しの・・・」
「んんーー?」
どうやら逃してくれないらしい。
「あ、明美さん。」
「うん!なに?」
明美はご満悦のようだ。
「またってことは前にもあったんですか?」
「あの2人は初対面だと思うけど、あの男子生徒のほう、ライネル君っていうんだけど、彼は気に入らない人がいるとすぐに突っかかってくるのよ・・・。困ったものね。」
と、額に手をあてながらため息をついた。美人がやると1つ1つの動作が美しい。和人と明美が話している間も、言い争いは続いていた。
「はやくどいて。」
セレスが見下した目をして言う。
「なめてんじゃねぇよ!俺様の言うことが聞けねぇのか!」
ライネルはさらに声をあげた。
「これはおさまりそうにないわね。そろそろ止めようかしら。」
明美は2人が止まらないとみるや、自ら止めに入ろうとした。
だが・・・
「俺は去年の剣戟祭の代表をつとめた男だ。その気になればお前なんて一瞬で倒せる。それともなにか?もしかして負けるのが怖いか?」
ライネルが挑発じみた目を向けると、セレスは目つきが変わり、
「へぇー、あなた強いの?」
と、抑揚のない声で言い、初めてまともに顔を向けた。これを見た和人は、
「ふーん。データ通り強さには過剰に反応するな。」
と、漏らした。
するとその声が聞こえていたのか、
「みたいね。」
明美も納得していた。
一方、初めてまともに返事を返されたライネルは、
「当然だ。お前みたいなひ弱な女が〈鋼鉄の剛腕〉の二つ名を持つ俺には勝てねぇ!」
と、好戦的な笑みを浮かべた。
「なら、見せてくれる?あなたの強さを。」
ここにきてセレスもやる気のようだ。周りの生徒達も興味ありげに見つめていた。
『おいおい、なんだ?あの2人やるのか?』『〈鋼鉄の剛腕〉と〈雪花の姫〉が試合だとよ!』『見ものだな、こりゃ。』
周りの生徒達も興味深々なようだ。
「わかった。試合をしましょう。」
セレスはあくまでも冷静に答えた。それに対しライネルは、
「そうこなくっちゃなぁ!」
やる気満々のようだ。
「生徒会長、演習場をお借りしてもよろしいでしょうか?」
セレスは明美に問う。
「わかった。理事長には私が言っておく。第2演習場なら使っていいわよ。ああでも、理事長が来るまで始めちゃだめよ。」
「ありがとうございます。」
礼を言うなり、セレスは銀色の髪をさらりとゆらし、歩いていった。周りの生徒達も試合を見るためについていった。
「さて、それじゃあ、うわさの〈雪花の姫〉の強さを見に行くとするか。」
和人も興味をそそられ、演習場へと向かった。
次からは戦闘シーンに入る予定です。戦闘シーンって書くの大変そう・・・。次からはもう少し文量を多くしたいと思います。更新が遅れるかもしれませんが、読んでいただけると嬉しいです。評価お待ちしてます!