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抱壊の夜叉  作者: 香月夕月
第1章 憂鬱な始まり
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第8話 狙う者を狩る

 翌日目覚ましが鳴り、体を起こす。

「……そうか、こいつも寝てたんだったな」

素早く目覚ましを切り、かなめを起こさないようにベッドを出て着替える。

俺は階段を上がり、居間へと向かう。

「おはよう焔」

「おはよう美里姉」

軽くあいさつを返し、顔を洗いに洗面所にいく。戻ってくる頃には、コーヒーが用意されてた。

「そういえば、かなめが部屋にいなかったんだけど……」

「ああ、俺の部屋で寝てたんでな」

「もしかして……」

「何もなかった」

皆まで言わずとしても答えられたので答えた。

「まだ全部言ってないわよ!」

「言わずとしても美里姉がいいそうなことは分かるから」

俺は真顔で答える。美里姉がふざけると余計な思考をするので考えてることがすぐ分かってしまう。

「ちょっと様子見てくるわ」

「あ、焔ついでに今朝の依頼渡しておくわ。」

「……面倒くさくないことを祈るよ」

「ふふん、それはお楽しみねー」

依頼の紙を受け取り、自室に戻る。戻ってみると、まだかなめは寝ていた。

『今日くらいは寝させておいてやろう』

そう思って、和室の方に移動する。渡された依頼の内容を見ると面倒くさくないほうが多かったのでとりあえず安堵。しかし1件だけあったのでかなめのイベント依頼の前にこなすことにする。

依頼主と電話をしたところ、10分後に商店街を抜けた広場に行くとのことだったので用意して出かける。

美里姉のいってらっしゃいという声に返事をして出る。

「今日も悪くない天気だな」

快晴で気温もちょっと寒いくらいでちょうどいいくらいだ。

俺は少し急いで商店街に向かった。約束された時間から3分過ぎたくらいに広場についた。

 依頼主を探していると、恐らくと思った人物がいたので声をかける。

「依頼主の方ですか?」

「あ、はい…といいますと」

「はい、今回担当させていただく者です」

俺らの依頼では自分の名前は名乗らないのが基本で、向こうから言われない限りは名乗らないことになっている。

「あ、よろしくお願いします」

依頼主の人は推測するに16か7くらいの女子高校生だ。

「それじゃあ、今回の依頼の詳しい話をお願いできますか?」

「はい、実は学校までのボディーガードといいますか…ついてきてもらいたいのです」

「何か問題があったんですか?」

「ええ、最近妙な視線を感じて……」

「妙な視線……ですか?」

「はい……ストーカーとかされてるんじゃないかなって……」

「なるほど…分かりました。依頼の内容は警護ということでいいですね?」

「はい、お願いします」

ということで彼女に同行することに。この手のことは結構最近では多く、実際何人かを逮捕するに至ることも少なくない。

「あの……」

「はい、なんでしょう?」

「その、随分と若いですよね」

「ええ、一応学生ですから」

「そうなんですか!?」

「大学生なんで」

「それだったら、今日は学校なんじゃ……」

「始まるのが遅いので。だからここにいられるんですよ」

「なるほど、そうだったんですか……」

こうしている今も気配を察知しているが、特につけられてる感じはしない。

『彼女の勘違いならそれでいいけど……』

もう少しで学校に着く。

「そろそろですね」

「はい、特に問題無かったですね」

「そのようですね…とりあえず何もなくて良かったです」

「はい。ありがとうございました」校門で別れる。

「その、報酬は……」

「何もなかったですし……高校生ですから今回は結構ですよ」

「その、すみません。色々とよくしてもらって……」

「いえ、では私はこれで」

その場を去り、家へと帰る。元来た道を戻っていく。

「……」

先ほど、一瞬だったが異様な気配を感じたところに戻ってきたが……

「無いな……」

さっきは彼女がバックにつけていたヘアピンが落ちてたのだが、それが無くなっていた。「やはりさっきの気配はストーカーの奴なのか……」

面倒だが、探すことにする。

『そういえば、さっきの落ちていたところの近くに人がいたな……』それも見知った顔の。

「いたいた。おい日和!」

「あれ?焔くんじゃん。どしたの?」

「いやちょっとな……それより、さっきこの辺を通ったやついたか?」

「え?さすがにそこまでは気がいってなかったからなー。あ、でも男の人が何か拾ったのは見たよ?」

「そいつどっち行った?」

「確か、そこの交差点を右に行ったかな?」

「分かった。サンキュー助かった」

「何かあったの?」

「まあな、ちょっとそいつに用があってな…じゃあまた今度」

「あ、うん。気をつけてねー」

手を振って返しながら、さっき言われた方向に向かう。

「確かここは、奥に行ったら通行止めだよな…」

ならばこの辺に住んでるのが一番考えられる。

『さて、どうするかな……』

それらしき人物は見当たらない。

仕方ないので美里姉に電話を入れる。

「もしもし、どうしたの?」

「今日渡された依頼のやつの中に、女子高生の依頼あったでしょ?」

「あったね。それがどうかしたの?」

「それのやつ、どうやらストーカーらしき人物が本当にいるらしい。探したんだけど、終わってからだったから見つけるのは困難だったんだけど」

「場所はおおよそ検討がついてる感じ?」

「ああ、場所は高校から約200メートル離れた辺りの住宅地かと」

「分かったわ。後は私がやるから」

「すんません、頼みます。これから家帰るから」

「はいはい、了解」

通話を切り家へと向かう。30分ほどかかって家に戻ってくる。


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