第7話 かなめからの依頼
「うーん!サバの味噌煮おいしー!」
晩御飯には狭霧からサバの味噌煮が追加され、3人で飯を食べる。
「さすが狭霧さん……味が絶妙で美味しい。今度狭霧さんにもおしえてもらおうかなー」「私とはまた違った味の出し方をするからね」
「まあ、俺が作るよりかは3人とも美味いから何も言えないな」
「あれ?もしかしてふてくされてる?」
「いや、そうじゃない……」
変なとこで合ってもいない感づき方をしないでくれといつも思う。
夕飯を食べ終わり、風呂に入って出てと一通り済ませたので自室に戻った俺は、いつも通り本を読む。
しばらくすると、襖を叩く音がする。
「誰だ?」
「あ、お兄ちゃん。あたし」
「おう、入っていいぞ」
「うん、失礼するね」
「それで、どうかしたのか?」
「ちょっと厄介な依頼があるから手伝って欲しいんだけど…」
「ふむ」
俺は本を閉じ、かなめの話を聞く。
「それで、どんな内容なんだ?」
「これなんだけど…」
かなめがパソコンを持ってきてたのでその画面を覗く。
「中央本宿のイベントヘルプの依頼?」
「なんか、お祭りをやるみたいなんだけどそのスタッフが足りないらしくて応援に来てもらえないかって依頼なんだけど」
「なるほどな。それの依頼の厄介なことって?」
「うん。ヘルプの人数が当初一人って言ってたからあたしがやるって言ったんだけど…」「人数がやはり見込みより足らないから増やすことは可能かってところか?」
「ご名答。あと私含めて3人は欲しいらしいんだ」
「そういうことなら俺も行こう。あとは美里姉が行けば…」
「それがきついんだって言ってたの。他の依頼と被って抜けられないらしいから」
「あと一人か……うーん、ちょっとここにいて待ってろ」
「う、うん」渋々頷くかなめを和室に置いて、俺は例の通路から狭霧に相談することに。
「おい、狭霧いるか?」
「え?焔くん?」
「そうだ、開けてくれ」
この通路は狭霧の押入れに通じている。ちなみに狭霧の親たちはこの通路を知っている。避難する時はここを活用できるようにもなるので了承済みだ。
「待って、今開けるね」
押入れの扉が開くと同時に明かりが入ってきて眩しい。
「明日暇か?」
「うん、空いてるけど?」
「なら、依頼に協力してくれないか?」
俺は、先ほどの話を簡単に説明した。
「なるほどね。そういうことなら協力するよ?」
「すまない、依頼の報酬は払うから」
「別に大丈夫だよ?」
「いや、ここは払うべきところだからな」
「う、うん……分かったよ。じゃあ、明日呼んでね?」
「オーケー、じゃあ明日な」
「うん、おやすみ!」
最後におやすみと言って俺は戻る。
「待たせたな」
「ううん、それで……」
「狭霧が引き受けてくれたから集まったな」
「え?本当?なんか狭霧さんに悪いな……」
「まあ、緊急だから仕方ないだろ…」
「そうだね…明日お礼言っておくね」
「おう、そうしてくれ」
そう返して、再び本を読む。
「部屋に戻らないのか?」
用件は伝え終わってるはずだから部屋に帰るかと思っていたらまだ部屋にいる。
「ダメかな?」
「いや、ダメじゃないけど…なんかあったのか?」
「ううん、そういうわけじゃないよ?」
ますますわけがわからなくなってきた。
「まあ、いてもいいが…」
べつに本を読む邪魔をしてくるわけでも無いからな。
それから1時間くらい経過した。かなめはまだいる。
「俺そろそろ寝るけど?」
「それじゃ一緒に寝るね!」
「……今なんと?」
「一緒に寝るって」
「意味がよくわからないんだが……」
「いや、文字通りだけど?」
「ごめん、言い方を間違えた。意図が分からんのだが?」
「特に意味はないよ?」
意味もなく兄と寝るってどういうことなのか俺には理解不能だった。
「まじでなんかあったのか?」
「ううん、何もないよ?」
ケロっとした顔ではてなを浮かべる。
「お、おう……」
「それじゃあ、先に入ってるねー」
書庫と反対の襖の奥にかなめは消えていった。
「……」
もうなんでもいいや、と諦めて俺も自室に入る。まじで入ってるので、何も考えずかなめの入ってるベッドに俺も入って寝ることにした。