第4話 入学式閉会、新たな幕開け
「くそ……全て無になったか……」
「嘘だったのですね、君が主席だったなんて」
振り向くとそこにいたのは生徒会長 双葉栞だった。
「何故、祝辞を霧嬢さんにさせたのですか?」
「祝辞は入学主席がすることは分かっていた。だから、それだけ辞退することを先に理事長に前もって言ってたのさ」
「君は主席という重みを理解していないようですね」
「主席なんてただの肩書きにしかならない。別にそれが欲しくてここに来たわけじゃないんだ。祝辞なんて俺じゃなくても問題ない。狭霧の方が適任だと思ったからそうしたまでだ」
事実は隠蔽して答える。だが別に主席なんて欲しいなんて思っていないのは確かだ。
「最初に会った時から優秀そうに見えたのだけど、その勘は当たっていてそれも主席だったとは」
「だからなんだ?」
「お願いがあります。 ……御影くん、是非生徒会に入っていただけませんか?」
「断る。そういうのは俺のすることじゃない」
「ですが……」
「断る。他のやつに頼んでくれ」
そう言って居心地が悪いのでその場を後にした。帰り際に狭霧と日和と合流する。
「悪い……会場出るべきでは無かったな」
「いやでも、想定外だったんでしょ?」
「ああ、そんなものがあるとは思って無かったからな」
「私もびっくりしたよ……」
こそっと狭霧が言ってくる。
「これから大丈夫かな?」
「分からん……何もなければそれでいいが」
「うん……私はまだいいけど焔くんは……」
「……」
「何2人でコソコソ話してるの?」
ジト目でこっちを見てくる。
「な、なんでもないよ!」
「反応があからさますぎるだろ……」ボソッとつぶやく。
「もしかして、生徒会長と話してたやつ?」
「見えたのか?」
「目が良いのと、読唇術出来るから分かるんだよねー」
何それすごい。
「凄いね!なんて言ってたの?」
おい、余計なこと言わなくていいからな。
「えっとねー」
「教えんでいい」軽く頭を叩く。
「あうっ……酷いな焔くん!」
「余計なこと言おうとするからだ」
こんなバカなことやる連中だが妙に居心地がいいのは何故なのか不思議でならない。
家に着く前に日和と別れる。
「それじゃ、今度は5日の時かな?」
「そうだね、それまでは少し休みらしいから」
「じゃあ、またその時に」
「おう、じゃあな」
「またね日和ちゃん」
そう言って俺と狭霧は日和とは逆の方向に向かう。
「結果的に大変な一日になっちゃったね」
「ああ…… まあなんともならなければそれでいいよ」
そう、家族に影響が無いことを祈るしかない。
「誰も原因を知らないし、知るべきではないしな」
「そう……だね」
「それは狭霧も一緒か」
「でも、焔くんほどではないから私は」
笑顔でそう答える狭霧。
「何かあったら力を貸すよ?」
「それは頼もしいな。それじゃあ、俺のところの本の整理を……」
「それは、自分でやってね?」
「ですよね……」軽く断られた。
雑談しながら歩いてたら、すぐに家に着いた。
「それじゃまた後で」
「おう、待ってる」
別れてそれぞれ帰宅した。