第3話 入学式の罠
しばらくして狭霧と日和と合流した。
「そろそろだね!」
「行きましょうか」
3人で会場に向かう。会場には多くなる前に座ることができた。20分後に式が開始された。
「そろそろ、狭霧ちゃんの出番だね!」
「そうだな」
隣を見てみるとかなり緊張してるようだった。顔が固まっていて余裕がないように見える。
「狭霧」
「え、え?な、なに?」
「お前ならやれる。いつだってそうだっただろ?」
「う、うん……」
「なら大丈夫だ、うまくいく。」
昔から手を握りながらそう言って勇気づけてきた。
「ありがとう。いつもこうしてくれるよね?」
「お前のことは他の誰より知ってるつもりだからな」
「ふふ、そうだね」
「続きまして、入学生祝辞。生徒代表 霧嬢狭霧」
「はい! 行ってくるね」
「おう」「頑張って!」
小さくそう言って送り出した。5分くらいの祝辞を喋って壇上を降りてきた。
「お疲れさま!すごいよかった!」
「ありがとう日和ちゃん」
「やっぱり、お前でよかったよ。間違いなかった」
「そ、そう?ありがとう焔くん……」
「続きまして、生徒会長祝辞。生徒会長 双葉栞。生徒代表 御影焔」
「「え?」」
「はい。まあ、ちょっとあったのさ……いってくるわ」
互いに壇上に上がる。
「あ、あなたは!?」
「まあ、少し頼まれまして……よろしくお願いする」
「え、ええ……」
狭霧と同じようにしっかりとした祝辞を披露してくれた。
最後にその祝辞を受け取り壇上を後にする。
「とりあえず終わったか……」
「続きまして、特別授与を行います。霧嬢狭霧、御影焔。壇上にお上りください」
「どういうことだ?」
「私もさっぱり……とりあえず上がらないと!」
「え、えっと行ってらっしゃい?」
日和に見送られ、再び壇上に上がる。
「優秀な功績により、当大学から表彰をします。副主席 霧嬢狭霧君おめでとう」
「あ、ありがとうございます」
「そして主席 御影焔君おめでとう」
「ちょっと待て。どういうことだこれは。聞いていないぞ」
「入学式に主席、副主席の表彰をするのがこの大学のしきたりでね」
「くそ……」
畜生、完全にしてやられた……その横にいた生徒会長は驚いた顔をしていた。
「どうも……」
感謝のない返事をして壇を降りた。とりあえずさっさとここから出たかった。
「悪い、先出るわ」
「え?でも……」
「また後で合流する、すまん」
そう言って会場を後にして外に出る。