第2話 生徒会長との出会い
「私を知らないのですか?」
「ああ、だから誰だと聞いている」
「態度の悪い生徒ね君は……私はここの大学の生徒会長をしています」
「それで、その生徒会長は俺の読書を邪魔しに来たということでしょうか?」
「いや、そういうわけではないですけど……この場所に人がいるとは珍しいと思って見ていたの。普段ここに訪れる学生は私だけですし」
どうやら殆ど人が来ないような場所のようだ。それは嬉しい限りだ、落ち着いて読書出来る場所があるならこの大学も捨てたもんじゃない。
「そうか」
「君は……新入生?」
「どう見てもこの格好で来てるならそうだと思いますけど?」
「そうよね。随分早いわね……式までまだ時間があるというのに」
さっきも同じように聞いてきたやつがいたが事情を知らないのでかいつまんで話した。
「なるほど。友人の付き添いだったの。なら君の友人は主席入学ということですね」
「まあ、そういうことになりますね」
嘘である。
「いい友をもっているようですね。しかし、君も相当頭が良さそうに見えますけど?」
「それはないな……第一この態度ですから」
「ふふ、そうなのかもしれないしそうでないかもしれませんね」
どっちなのだろうか……
「そろそろ失礼します。私もリハーサルに参加するので。また後ほど……」
それだけ返事して彼女は去っていった。
「やっと、落ち着いて読めるか……」と言った矢先に携帯が震える。狭霧からの電話だった。
「どうした?」
「あの、焔くん学部長と理事長が呼んでるんだけど……」
さっそくの面倒事らしい……入学式で早々かとは思ったが……行くしかない。
「分かった。場所は?」
「理事長室だよ。私は行けないけど……」
「問題ない」
「それじゃあ、よろしくね」
そういって電話は切れた。ため息を一つついて向かう。
広大なキャンパスを5分くらい歩いて理事長室に辿り着く。
「失礼します」
ノックしてドアを開ける。
「おお、来てくれたかね!」座っている人がそう言ってきた。
この人がこの大学の理事長らしい。隣にいる人が学部長のようだ。
「君が、御影焔くんだね?」
「はあ、そうですが……何か用でしょうか?」
「君のような素晴らしい生徒が入学式の祝辞を辞退するというのが考えられなくてね。今更だが、考え直す気はないかい?」
少々発言したことに怒りが込み上げてくる。狭霧のことなんてどうでもいいかのように言う発言は納得がいかない。
「お断りします。それに霧嬢狭霧も私と同じくらい優秀な成績のはずです。私じゃなくても充分その役割を担う人物だと思えるのですが」
「しかしだね……」
「理事長がどう言おうと私の意見は変わりません。お断りします。」
「そうですか。分かりました。ですが……生徒会長の祝辞の時には出てもらえないだろうか」
少し考えるが、それくらいなら影響ないと考えた。
「分かりました。それは受けましょう」
「おお、そうか!ならよろしく頼みましたよ」
結果的に入学式の壇上に上がることになってしまった。