鍛冶町へ一時帰還
負債神は女神の癖に窃盗をするという神らしからぬということで、反省を込めあの後雷鞭にて気絶させて吊るしておいた。
朝になりユウヤとセツナが目を覚ます。
俺はあれからコーヒーを飲みながら今後のプランを思考していた。
そして二人に簡単な経緯と今後の動きについて説明する。
返済額には届いてないし、コロシアムも優勝を目指してみたいところではあったが、今度またルナさんと一緒に来ようということで納得してもらう。
カジノが〜っとセツナが言っていたがそれも今度またやるということにて話が進んだ。
良かった。ここであそこに吊るされてる女神がこの話を聞いていたらこの街から離れなくなりそうだからな。なんで後輩の尻拭いやらなきゃとかカジノから離れないとかうるさそうだしな。
「ということでまずは鍛冶町に戻ってルナさんの様子とロイさんに経緯を説明しようと思う。王都にはできたらルナさんも連れていきたいがどうかな」
二人も残念な顔をしていたけど今度の機会にしてもらう。だって俺一人じゃ冒険できないからな。いやひたすら逃げてれば出来なくはないか.....。まあ全員で行く方が楽しいということにしておこう。
俺達三人の支度が出来たところで出発する。
負債神?
狩られた獲物のように雷鞭で棒に括りつけて運んでますよ。動かれたら面倒なので意識戻ったら落とすの繰り返しで強制的に旅立つのだ。
宿のオジサンにすごい顔をされたが、無事街を出ることができた。
数回意識が復活したが間髪入れずに雷鞭にて意識をら落としてるので抵抗されるとこもなかった。
「ふぅ〜。ここまで来れば大丈夫だろう」
俺は担いでいた棒を手放す。
「ヘブシッ」
マンガのような声と共に意識が戻るミラ。
「ふぁぁぁぁ。よく寝た。でも目の前に大量のお金がある夢を見たまではなんとなく覚えてるんですけど、そのあと意識が飛び飛びなような.....。っというかここどこですか?」
あれだけのことをされても夢だと思うこいつの神経の図太さに敬意が生まれそうだ。
ユウヤとセツナがそんな光景を見て哀れんだ目でミラを見ている。
うん。この女神バカなんですよ。
まあそれから経緯を簡単に端折って説明する。他の女神の話は出さないし、借金の連帯がとれるかもみたいなことも話さない。話したら絶対に面倒な話になる自信がある!
負債神が一人でも戻るといっていたが、ミラ自体お金が一ゴールドもないという現実と共に諦めたようだ。まあまた今度来るのでその時までくらい我慢してもらおう。だらけ切ってたら連れてこないけどな。
こうして俺達は改めて鍛冶町へと向かうことになった。
「ヒャッホー!!」
旅路は驚くほどに順調だった。下りということでセツナが氷で大きめのボードみたいなものを作り出し全員がそれに乗って滑り落ちていく。
余りの速さに魔物達も手出しがまるで出来ない。舵取りをセツナが行っているが天才ドライバーのような運転テクニックでたまにトリックを入れつつ魅せる走りを見せてくれる。
途中負債神が色々なものを目と鼻から出していたがお構い無しに飛ばすセツナ。
「ギブギブ本当にギブ」
そんな懇願の声も風に流されセツナには届かなかったのだ。
出発から半日も過ぎる頃には鍛冶町に到着する。行きは二日もかかったのにな。
夕日が訪れると共に俺達は門を潜る。
そこには盛大なパーティーの準備が行われていた。