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役立たずの最強治癒(?)使い  作者: やきにく
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カジノ3

 動けなくされて5分ほど経ち、なんとか少しずつ動けるようになってきた。ガチガチだった身体に熱を感じる。そうアイツらを引っぱたく衝動に駆られた怒りの熱だ。


「お兄ちゃん、ミラさんとセツナさんもたぶん悪気はないからほどほどにしてあげてね?」


 ユウヤが俺の顔を見ながら声を掛けてくる。


 いや悪気はなくても悪いことをしているんだから引っぱたく。というか俺のチップ取ってったんだから悪気はあるだろ!.....いやセツナに関しては本当に悪気なく何倍にもして返すという、勝って当たり前のよく分からない自信かもしれないが。


 足が動くようになったところでユウヤと一緒に階段を登っていく。

 まだ絶好調ではないが、どうにか動ける。



 二階から三階に登ろうとしていると叫び声が聞こえる。


「ウソです!イカサマです!私達がこんなに負けるはずありません!!」


 どこかで聞き覚えのある声が聞こえてくる。嫌な予感がする。



 階段を登り終えるとトランプゲームのところで青ざめた顔のセツナ、真っ赤な顔をしてディーラーに食ってかかるミラがいた。その近くには半分以下まで減ったであろうボリューム感を失ったチップ袋が目に入る。


「お客様、変な言いがかりは止めてください」


 ディーラーの美少女がミラに負けじと声を上げる。そしてミラに顔を近づけ何かを言っている。



 俺達はミラ達に駆け寄るが、何かを言われたミラはさらに顔を赤くさせて震えている。



「そんなのデタラメです。言いがかりはやめてください」


 ミラは声を震わせ否定している。何かを言われたのは間違いないが何を言われたのか。


「セツナさん、マグレです!このいけ好かないちょっと可愛いからって調子乗ってるこの女がたまたま勝ちが続いただけです」


 そう言ってさらにゲームをスタートする。止めようとミラの肩を掴んだが殺気に似た気迫に圧倒されてしまった。


 しょうがないのでその勇姿?を見守る。



 ディーラーの美少女がカードをカットする。


 なにやらセツナがボソッとなにかを唱えている。するとセツナの手がいきなり悴んで身体がガクガク小さく震えている。さっきまでの俺の症状に似ているがアレよりはかなり軽度な感じだ。

 それを見たミラがチッと舌打ちをして澄ました顔のディーラーを睨みつける。


 手を繋ぐセツナとミラ。いつの間にそんなに仲良くなったんだ。



 カードが配られると手がモジモジ小さく動いている。


(おい。アレってお互いのカードを示してるとかじゃないよな?急に仲良くなって、珍しく弱気になって手を繋いでるだけだよな?それはないか.....。

 うん?そう考えるとやっぱりアレはイカサ──)


 二人の様子を見てみるとお互い手先の感覚に夢中なのだろう。すごく考え込んでいる。

 そんな時だった。


 俺の動体視力がいいから目に入ったのか、ディーラーに微かな動きがあったのに気づく。


 俺はその瞬間ディーラーの方を向く。


 そしてディーラーの美少女と目が合う。ニコッと笑うディーラーの少女。


 お互いなにかをやってるわけかよ。まあやり始めたのは身内が言うのもなんだがこいつらだろうからなにも言えないが。



 するとバカ二人は二マッと笑い、残りチップの半分を賭ける。半分と言っても金額にするとかなりの大金だ。


 俺は口出しして止めようとしたが、二人の止めるなという鋭い目によって牽制される。



「それではオープンしますね」



 ディーラーの美少女がカードをめくると予想通りミラ達の負けだった。

 顔面蒼白の二人、特にセツナはガクガクと身体中震え上がっている。


 俺は見ていられなくなり、残りチップとセツナを背負い帰るぞ、っと仲間を連れていこうとする。そんな時───


「真さん?あなたはやっていかないのですか?」


 美少女ディーラーの淡い茶色の瞳が真っ直ぐに俺に注がれる。


(なんで俺の名前知ってるんだ?)



 この階にきてから名前を呼ばれた覚えもない。少し警戒した目で見ているとさらに口を開く。



「そちらのお二人方の行ったことをオーナーに言ってしまうかもしれませんよ」


 ニコッと可愛い笑顔で怖いことを言う。


 ビクッと背中で怯えるバカAと隣で踞っているバカBがウルウルした目で俺を見ている。

 意味の分かっていないユウヤはクエッションマークを浮かべながら様子を伺っている。



「先程のゲームはお互い様だと思うんですけどね」


 俺もしっかり確認できた訳では無いが、この子がなにかをやったことに確信があったため強気に出る。


「別に身ぐるみ全部剥がそうとか公の場に突きだそうとしているわけじゃないんです」


 ニコニコと言葉を続ける。


「今日ここのディーラーで出たのも実は向こうから来たあなた達に会うためなんて言ったら信じてもらえますか?」



「は?」


 俺はなにを言ってるんだと不思議な顔をする。


「どういうことだ?」


 ふふふっ、っと食いついたのを見て嬉しそうにする。


「さあ。どういう意味でしょう?真さん、ゲームをやりませんか?勝ったらお教えしますよ。勿論負けたら残ったチップも頂いちゃいますけどね」



 こうして俺は席につき、美少女ディーラーとのゲームを受けることになった。

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