長い夜の始まり 1
日が暮れだす頃には村にいる人全員に知れ渡った。
やはり女性と子供を中心に不安の声が上がったが女性には宿のおばちゃんことリゼさんが、子供にはルナさんが対応していた。
俺は特に役に立てる場面がなかっためセンズを4等分にして皮袋に詰めている。
治癒使いの人数がやはり少ないということであとで村長ことベルゼルさん、ロイさん、リゼさんに渡しておこうと思う。
夜になりどうやら作戦位置に人を配置できたようだ。教会前には幾人かの冒険者を含めベルゼルさん、ロイさん、リゼさんが集まっていた。
この後の大まかな流れを確認しあっている。
冒険者のなかからはやはり情報源について言われたがベルゼルさんとルナさんが保障するということで納得してくれた。
ふぅ〜ありがたい。あとはいつ現れるかだな。
探索部隊が早目に帰って来てくれればいいが、長引くほど不安や不満が増すだろうしな。
しかしそんな考えなどまるで考えていないような獣の行進の振動が伝わってきた。
なるだけ早く動いてよかったと思うとともに、もしも知らなかったらかなり混乱していただろうと思い冷や汗が背中を伝う。
不利になりえる戦況にならなかっただけありがたいと思いつつも相手の規模は未知数だ。安心なんて勿論できない。
朝日を無事に見れることを願いつつ、いや必ず見るのだと誓いそれぞれが各配置へ走りだす。俺はすぐさまベルゼルさん、ロイさん、リゼさんを呼び止めて準備しておいた皮袋を渡す。
「重傷には効果を確認していませんが多少の傷なら一粒食べれば治るはずです。活用してください」
3人は軽く頭を下げ再度走り出していった。
さあ俺も頼まれたからには命を賭して子供たちを守り抜こう。教会の中へ入ると子供たちはかなり怯えているようだ。
(そうだよな。こんな30過ぎの男でも怖くて足が震えているんだ。怖くないはずがない。ならば俺だけでも顔は笑って心配させないようにしよう)
そうして俺は子供たちに笑いかけ大丈夫だと精一杯の強がりな笑みを作り、入り口の前に座るのだった。




