アーベル村村長
村長は村人全員からの信頼も厚くとても義理深い人だそうだ。
村というだけありそんなに遠くないところに村長宅はあった。
よく思ったらこの村に来てから必要以外のところは回ってなかったななどと考えていると、ルナさんは村長宅の門前に立っている門番らしき人と話している。
話に入ろうとしたところで門番が村のほうへ走っていった。信頼できると言っていた人を呼びにいってもらったということだ。
ノックをし、ルナさんを先頭に村長宅へ入る。中はとてもシンプルな作りながらもどこか厳格な雰囲気が漂っている。
奥を見ると50代くらいであろうかシブいおじ様がこちらを睨んでいた。顔にはかなりの古傷がある。眼光も凄い。かなり怖い。自然と少し警戒してしまう。
「ルナちゃ〜ん、今日も可愛いねぇ!元気にしてたかぃ?こんな朝早くからなんのようだい?彼氏の紹介かい?」満面の笑みで茶化しながら聞いてくる。
《ズコーーー》
俺は盛大にコケそうになった。ギャップ!これがギャップ萌えなのか!?頭が動揺している。
「村長さんおはようございます。今日も相変わらずですね。実は相談したいことがありまして突然の訪問申し訳ございません」
ルナさんはいつものことのように話を進めている。ということはこの話し方が平常運転なのだろう。
おっと挨拶しないのは失礼だ。少し動揺してしまったが挨拶挨拶。大人のマナーだ。
「はじめまして。少し前からこの村に滞在させていただいています。真といいます」
鋭い眼光で睨まれる。怖い。かなり怖い。男の前だと厳しいタイプのかたなのか。
「おぉ〜。噂は聞いてるぞ。変な格好でルナちゃんのところに運ばれた新米冒険者で変な実験をやっているらしいってな」
豪快に笑っている。どうやら本当に気さくな人のようだ。顔は怖いけど。
こちらも笑っていると入り口からノックが聞こえた。
入ってきたのはとても顔を見知っている人達だった。
武器屋のロイさんと宿のおばちゃんだ。
なぜと思って不思議な顔をしているとルナさんが小声で『この2人は昔村長とともに冒険していたメンバーでこの村を立ち上げたときからいるらしいです』と教えてくれた。
なるほど。かなり驚いたがメンバーは揃った。オークのことについて相談することにするか。
ちなみにのちに知った話だが宿のおばちゃんは強力無比な魔法使いで昔宿にイチャモンをつけてきた冒険者を半殺しにし噂が出回り宿泊客が来なくなってしまったらしい。
その代わりタチの悪い冒険者も来なくなったため村人からは感謝されているということだ。