負債神逃げる
頭の中で聞くべきことを考える。
負債神はどのようか存在なのか?
なんでこの世界にこれるのか?
俺のステータスのことについて
いい情報とは?
他に知っていることは?
あとは元の世界に戻れるのか?
最後になぜ裸じゃないのか?
こんなところか。
うん?最後おかしいか?まあ重要なことだ。
負債神の顔を再度確認すると呑気そうな顔で茶らしきものを飲み、ツマミのセンズを食べている。
宿命の女神とか説得力なさすぎる。そもそも俺の女神はルナ様だ。ルナ信者だからな。
ふぅ〜まあ折角の機会だ。聞くことにするか。
まずはなぜ裸でないのかを聞こうとしたが、そもそもこの自称女神の存在がよくわからん。こちらの世界に来れるのか聞いてみる。
「私は位が高くそこそこ顔も広いので、他の世界に顔を出すなど簡単なのです。早逃げのミラという2つ名もあるほどです」
ふふん。っとドヤ顔だ。
俺は拳を握りこむ。強くツッコんでやろうか。いやまだ我慢だ。抑えろ俺。色々納得できないが聞くほど頭が痛くなりそうだ。次だ。ステータスについてだ。
「ステータスですか?あぁ。あなたを落とした後ステータススロットを回してですね。
確変しウハウハだったんですよ。そして大量のステータスコインをゲットし換金...じゃなかった。ステータスの数値を振ることになったんですけど普通に万能ではつまらないじゃないですか?
ですが力や耐久なども面白みに欠けると思い、当たったらやられるそのギリギリのやり取りのほうがあなたも楽しいと思いまして素早さ全振りにさせていただきました。
あとは消去法でMPに全振りしたのですが、その後のアビリティにもMP関係がついたので私の勘もなかなかですよね』
うん。
が、ま、ん。
が、ま、んだ。こいつが適当なのは分かっていたことだ。
お前の価値観で、この世界を必死に生きることになったのかと激しくツッコミたいが聞くことがまだあるんだ。
ヤるなら最後だ。冷静になれオレ。
「ステータスに関しては分かりました。職業とスキルについて教えて貰えませんか?」
「この世界の神に色々な職業が乗っているタブレットを渡されなんでも選んでいいと言われまして、まあ適当に勇者って強そうですし勇者でいいかと思ったのですが、あなた勇者って顔じゃないじゃないですか?
それで目を瞑って職業押したので実際職業知らないんですよね。
なのでもちろんスキルも何が当たったかは確認してませんよ♡」
なにが当たるかわからないほうが面白いでしょ♡みたいな顔をしている。
.....。
.....。
いかん。殺気が溢れ出てしまいそうだ。
アビリティについては当てたはいいが、効果や発動についてはよく知らないそうだ。
ふぅ〜。もうすぐ話も終わるな。俺はベットの横に立てかけておいた雷鞭を自然と手に取り準備を整える。
「いい情報というのは.....」
よくぞ聞いてくれましたという顔をされた。
「それは今ここにいることに繋がるのですが、なにやらあなたの全ステータスなどを決め、こちらの神に渡した際なぜか怒られてですね。
借金のために預けていた私の神器がこの世界にあるらしいのですが、あなたのために力を授けようと神がカスタムされたそうです。
なんとそのカスタムというのはMPを上乗せした分威力が乗算されるというものです。
しかも私の神器ですので初期効果も抜群のそんな弓ですよ。
それはそれはあなたも使いたいでしょう!
あなたなら私も貸すのは満更ではありませんし、こちらの神も渡してこいと言われたので今日は私の神器がどこにあるかを教えて差し上げようと思いまして」
なにやら聞いたことのある説明分だな。
「なんとこの村に置いてあるのです!貴方を落とす際武器位置を確認して落としたので間違いありません」
ふとまさかと思い先ほど雷鞭のあったところに立てかけてある弓を見る。
負債神が俺の視線の先にある弓を見ると目が異様に瞬きをする。そして目が泳ぎこちらに視線を向けずにいる。
.....。
沈黙が流れる。
.....。
「えっと.....その弓の名は神弓ミラです。ご寵愛くださいませ。そして私は用事が済んだので帰ります。では!」
負債神は一目散に扉を開け逃げるように去っていった。逃げ足速いな。
《ガチャッ》
再度扉が開いたと思うと顔だけを覗かせた負債神が「飲み物とお菓子ありがとうございました。美味しかったですよ。お礼にお告げです。近いうちにこの村はオークの軍団に襲われます。とても危険なので逃げたほうがいいかもしれませんよ。では!お邪魔しました」
《バタン》
本当にお邪魔だったな。
逃げるのが早すぎて元の世界に戻れる術を聞けなかった。
次に会うときは雷鞭で縛ったあとに色々吐かせるか。
しかし最後の最後に重大なことを。
近いうちとはいつかわからないがオークの軍団というと聞くからに危険そうだ。この村には感謝しきれない思いがある。
いまはもう夜中だ。
明日朝早くルナさんのところに説明して、どうするかを相談することにしよう。
全員で逃げればいいのだ。命さえあればやり直せるのだから。俺はここの住人が好きだ。誰1人死んでほしくはない。