プロローグという名のプロローグ
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2030年8月夏休み
俺は自分が生まれ来た時代に後悔していた。
別に人生に絶望して死にたくなるような出来事があったわけでもなく、ただ漠然ともう少し遅れていたらこれ程悩む必要はなかったと考えていただけだ。
高校3年生の夏休みと言えば、大学受験対策に予備校に通う生徒がほとんどだろうな。しかし、俺にはそれは無意味な事だと思っている。
あと何年かしたら人間は働く必要がなくなる可能性が非常に高いと知っているからだった。
俺の父親がそう言ってたので、勉強するのがバカらしくなっている。
働かなくていい時代に生まれてたらこんなに悩まなくてもよかったのにな……。
そんな悩みが一瞬で吹き飛ぶとは、今の俺には予想出来なかった。
「もう、いい加減にしてよね。私がスランプなの知ってて、そんな風に真横でいつまでもダラダラとゲームなんかしてるの?ほんとこれだから将来の夢がニートな人は気持ち悪いんですよ。こんな人間滅びてしまえばいいわ」
なんて精神的ダメージは常に致死量超えるマシンガントークを乱発する奴を、これから俺はしばらく面倒見なければいけないなんて最悪だとしか言えない。
俺が数日前にタイムトラベル出来たなら、父親の依頼は絶対に断れと言いう。必ずだ……。
まずはこのいきさつから話すべきだろう。
数日前の俺にバトンタッチだ。