ホントの執事とダメな私
「後は安静にさせておけば大丈夫でしょう」
それは、私が呼んだ医者の言葉だった。
「ありがとうございます」
私はベッドの上でスヤスヤと眠っている執事を見てから礼をする。
「ううん……やっぱりこうなっちゃったか……」
私の隣で呟いたのは瑠奈だった。
何故瑠奈がいるかというと、お医者様が瑠奈のお父様であるから。こんな夜遅くに屋敷に来てもらえたのはこの部分が大きい。
「やっぱり……? どういうこと?」
「絢介君もこうなったし話しておいた方がいいかな……あのね、絢介君はここ数日、風邪をひいてたんだよ」
「風邪? あいつ、そんな素振りは見せてなかったけど……」
いや、サインは出ていたのかもしれない。妙にフラフラしていたのは寝不足なんかじゃないのではないか。
「絢介君は由香に心配をかけたくなかっんだよ。まあ、トドメはあの雨だろうけどね」
「雨?」
「そうだよ。最近降ったでしょ? 絢介君、カサも持ってなかったからびっくりしたよ」
「傘……」
私は数日前のことを思い出していた。あの時、私は絢介から折畳み傘を借りたんだ。絢介はほかに傘を持っていると言っていたけど……
「なかったんだ……なんでコイツは……」
私は無性に腹が立った。私に休みが欲しいと言わなかった馬鹿な執事に。そして、それに気づけなかった愚かな私に……
「そういうことだよ。あんまり自分を責めたらダメだよ?」
「教えてくれてありがとう……それにしてもどうしてそんなこと知ってたの? 知ってたなら--」
「絢介君に口止めされてたから。ほら、私は保健委員だからさ。雨に濡れながら歩いていたるのを見たのは偶然なんだけどね」
「そう……だったのね。話してくれてありがとう、瑠奈」
「ううん。あとはお父さんの言った通りに安静にさせてあげてね。起きたらお粥を作ってあげたら喜ぶと思うよ?」
「ええ、分かったわ」
私は瑠奈と瑠奈のお父様を見送り、キッチンに向かう。
「お粥ってどうなって作るんだっけ……お湯にお米を入れたら……できないわよね……」
こういう時は文明の利器インターネットだ。私はサイトを参考に四苦八苦しながらお粥を作った。
私が部屋に戻ると、執事はちょうど目を覚ましたようだった。
「すみません、お嬢様。私が不甲斐ないばかりに……」
それは執事が私に気づいて発した言葉だった。
私は呆気にとられた。なんでこいつが謝っているのだろう。なんでこいつは申し訳なさそうな顔をしているんだろう。悪いのは全部私なのに……
「なんであなたが謝るのよ! 悪いのは全部私でしょ!!?」
私は声を荒らげた。私は周りを何一つ見ていない。いえ、見ようとしないだけだわ……
こいつはサインを出していたのだから。だけど、人はそう簡単には変わることはできないのは事実。それなら私にできることはひとつだ。
「お嬢様……?」
「約束して。これからは少しでも具合が悪くなったら絶対に言って。……絶対よ」
これが今の私にできることだった。目が熱い……涙なんて流したのは何年ぶりだろう……
「はい。分かりました」
執事は優しい目で頷いた。
「分かったならいいわ。はい、これ。食べなさい」
執事にお粥を差し出す。
「ありがとうございます。では、いただきます」
最近サボってましたm(-ω-`;m)ゴメンナサィ
ひさ久しぶりの更新です!
とりあえず、一段落です