徹夜執事はダメ執事
「お嬢様、朝です」
ノックが聞こえたと思うと、そんな声が聞こえてきた。
「うそっ!? 寝坊した!?」
私は思わず時計を見たが、時計は私がいつも起きるよりも十分早い時間を示していた。
「お嬢様。それはいくらなんでも失礼かと。私は執事にございますよ?」
「これが、あなたじゃなかったらこんなに驚いていないわよ」
私は小さくため息をついた。
「お嬢様。ため息をすると幸せが逃げてしまわれます。地域によっては妖精を殺してしまうという話もございます。お嬢様は妖精ハンターでも目指されているのですか?」
「どういう意味よ、それ」
「いえ、他意はございません。最近お嬢様はよくため息をついているようですから」
「だから誰のせいよっ!!」
「お嬢様、朝食にございます」
執事は食堂に朝食を運んでくる。
「あら、早起きしたのに今朝はえらく簡単なのね」
今日の朝食はバタートーストらしい。おまけにサラダとスープがついてきている。
「いえ、お嬢様。私は早起きしたのではありません。友人と夜を徹して今期のアニメの議論を致していたのです」
「あなた……本当に執事という自覚はあるのかしら?」
「勿論にございます。そもそも、私は仕事をおろそかにしたことがございません」
執事は自信満々にそんなことをいう。
確かに、やれば疎かにはしてないような気がする。基本的にやらないけど……
「あんたはなんで執事なんかしようと思ったのよ……」
前に述べたとおり、こいつはお父様が生きている頃に拾ってきた。ほとんど養子のようなものだったんだけど、あいつはいつかを境に執事の修行を行っていた。それまでは普通に同い年として遊んだりしていたっけ……
あの頃の記憶って曖昧なのよね……こいつに何かあったのかしら……?
「不思議ですか?」
「ええ。あなたが執事になった理由が全くわからないわ」
「そうでしょうか? 執事という仕事は住む場所が提供されますし、給料もそこそこ。衣服に関してはこの執事服ですし、最高な仕事ではございませんか。それより、そろそろお時間です。用意を」
「ええ、わかったわ」
なんだか、お茶を濁された気がするわ……